I Was Born To
             Love You
 
             〜貴方を守るために〜
  


 父の部屋からボロミアが退出したのはそれから一時間ほどしてからだった。

 「明日はゆっくり休むといい。まだ病み上がりだからな。」

 デネソールが言った。



 ボロミアはファラミアの部屋に行ってみた。

 「ファラミア・・・」

 小さく声をかけてから部屋に入った。

 ファラミアはベッドに俯せで蹲るように眠っていた。

 時折こんこんと咳をしている。

 静かな部屋では、ファラミアの咳の音と苦しげな息遣いがはっきりと聞こえた。

 「ファラミア・・・」

 ボロミアがファラミアの額に触れた。

 燃えるように熱かった。

 「大丈夫か?」

 「あにうえ?」

 ファラミアがボロミアを見た。

 眼は虚ろだった。

 「ルドを呼んでこよう。」

 「大丈夫です。こんな夜ではルドが可哀相です。」

 小さな声でファラミアが言った。

 「お前は・・・」

 こんな時でも人のことを考えるのか?

 まだ7歳ではないか。

 ファラミアはガタガタ震えていた。

 「寒いのか?」

 それには答えずにファラミアが言った。

 「少し・・・傍にいてください。」

 ファラミアはボロミアの手を握った。

 手が熱い。

 「兄上・・・寒いのですか?」

 ファラミアが言った。

 「えっ?」

 「手が冷たいです。」

 ファラミア自身の熱が高いせいなのだが、ファラミアはそれには気付いていなかった。  

 「あ・・・ごめん。いやだったか?」

 「いえ、冷たくて気持ちいいです。」
 
 ファラミアはボロミアの手をしっかり握って眠りに就いた。



 ファラミアの熱は下がるどころか、ますます上がったように思えた。

 ファラミアは時折咳き込み、ガタガタ震えながらひどく苦しそうだ。

 (このままじゃ・・・ファラミアが死んでしまう。)

 ボロミアはファラミアの部屋を飛び出した。

 ファラミアを無くしたくないから。



 ボロミアは療病院へと走っていった。

 療病院では何人かがまだ働いていた。

 「ルドは?」

 病院で働く者の一人にボロミアが尋ねた。

 「今日は帰りましたが。」

 「帰ったというと・・・」

 ミナス・ティリスの宮殿の外れに療病院の医師達が住む住宅があった。

 だが、ルドは半分はミナス・ティリスの町で暮らしているのはボロミアも

 知っていた。

 「今日は屋敷の家に居ると思います。そう言っていましたから。」

 「解った、ありがとう。」

 ボロミアはそう言うと、住宅がある方へ走っていった。



 ファラミアの担当はルドだった。

 他の医師ではいけないということではなかった。

 だが、ルド以外の医師は、元来身体が丈夫ではないファラミアを積極的に

 診療してはくれない。

 何かあっては困るし、かと言ってファラミアの面倒を見たからといって

 デネソールに喜ばれるわけではない。

 どちらにしろ、出世のためにはならない仕事なのだ。
 
 ルドは損得抜きでファラミアを可愛がってくれている。

 12歳のボロミアにもその辺りのところがおぼろげに解ってきた。

 だが、聡いファラミアはその辺りを解っているらしく、ルド以外の医師に

 診察されることをあまり喜ばない。



 「ここか・・・」

 すでに灯りは消えていた。

 来手はみたものの、こんな夜更けに訪れていいものか少し躊躇った。

 (でも、ファラミアが・・・ファラミアに何かあったら・・・)

 そう考えて思い切って扉を叩いた。

 「誰?」

 少しして不機嫌な声がした。
 
 「ルド?」

 ボロミアが言った。

 「ボロミア様、どうなさったのです?」

 扉が開いてボロミアを見たルドは驚いた顔をした。

 「ファラミアが・・・熱が高くて・・・苦しそうなんだ。

 ファラミアはルドに悪いから呼びにいくなって言ったんだ。

 でも・・・ガタガタ震えてて・・・お願い!ファラミアを助けて上げて。」

 「よく呼びにきてくださいましたね。すぐに着替えますから。」

 ルドはそう言うとすぐに着替えて出てきた。

 「さあ、行きましょう。」



 ルドはファラミアを一目見て難しい顔になった。

 「これは・・・早く呼びにきてくれて良かった。」

 「ファラミア、酷いの?」

 「そうですね。ただの風邪ではなさそうだ。」

 ルドが言った。

 「療病院に連れていくの?」

 ボロミアが尋ねた。

 「ここの方がいいですか?」

 ルドが逆にボロミアに尋ねる。

 「ファラミアが『療病院では兄上に会えない』と言って嫌がるのです。」

 「解った。ここで治療しましょう。」





四回目です。

相変わらずファラミア受難・・・

ちなみに症状は肺炎・・・ってことで・・・

でも、元気のかたまりのような私はまるつきり病気に縁がなく

故に症状などは「家庭医学の基礎知識」などからの知識です。

間違っている・・・と思った方、そんな風ですので暖かく見守ってください。

2005.03.23. Jeroen

素材提供[STAR DUST]