祝杯
 その日、私は初めて戦いに参加した。身にまとう鎧の重さに驚き、動くのがやっとで、とても剣や槍を自由に扱えるような状態ではなかった。何千人もの兵の一番後ろの方に入れてもらったが、それでも激しい地響きが聞こえ、戦闘が始まった。アレキサンダーは馬に乗り、敵、味方の間を自由自在に動き回る。彼はたくさんの敵に囲まれても少しも傷つかず、巧に相手を剣で刺していた。彼の金の髪は日を受けて輝き白い肌はその白さを増し、決して血で汚れることはなかった。ここは戦場であり、すでにたくさんの人間が倒れて血を流し、うめき声をあげていた。土ぼこりの中、叫び声やうめき声が聞こえ、地面は血の赤で染まっていた。このような光景を見るのは初めてであったが、なぜか私は落ち着いていた。この混乱の中で、アレキサンダーの体は少しも血で穢れず、ますます崇高さをましていった。間違いなく彼は神の子であり、神は彼に味方をしている。何も恐れることはない。私は剣を持つ手に力を入れ、周りの敵を冷静に1人ずつ殺していた。



 スパルタ、アテネの連合軍対マケドニアの戦いはマケドニアの圧倒的な勝利で終わった。マケドニアは遂にギリシャ全土を統一し、アレキサンダーは英雄として、大歓声をもって迎えられた。アレキサンダーだけではなかった。その戦いに参加した戦士はすべて、私もプトレマイオスもカッサンドラも英雄として迎えられた。私などは後ろの方の比較的安全な場所にいて、ただ近くにいた敵を倒しただけであり、身にあまる扱いを受けているのだが、それでもこうした歓声はうれしいものであった。私ですら勝利の歓声に酔っていたのだから、この時のアレキサンダーはどれほど勝利に酔いしれ、得意になっていただろうか。



 その日の夜は遅くまで祝宴が続いた。フィリッポス王もたいそう機嫌がよく、アレキサンダーの活躍を褒め称え、彼を後継者にするとみなの前で宣言したりまでした。みんなかなり酔っていた。私も何倍もぶどう酒の杯を重ねていた。



「やっと二人きりになれたな。長かった」
「何言っているんだよ。みんな君のためのお祝いじゃないか。君の活躍は素晴らしかったよ。アレキサンダー」
「お前がいてくれたからだよ。早く二人で祝杯をあげたかった」
「これ以上まだ飲むつもり」
「違う、こうすることだよ」

アレキサンダーは私にキスをした。お互い唇をなめあい、舌で歯をなで、舌をからめあう長い長いキス。ぶどう酒の甘い香りがした。アレキサンダーのたくましい手が私の下半身に伸びてくる。私の体は熱くなってきた。

「ヘファイスティオン、お前は本当に感じやすいな。キスだけでたってしまうのか」
「そうだよ、戦いが終わるまでは何もしなかったから」
「俺だってほら、こんなに固くなっている。ずっと待っていたんだよ。お前とこうして勝利を祝える日を・・・」
「もし、負けていたら・・・もしどちらかがけがをしていたら?」
「そんなこと考えてもみなかった。必ず勝てると思った。俺には神も味方をしてくれるし、今回はお前もいてくれた」
「僕はそんなにたいして活躍はしてないよ。ただ後ろの方にいただけで・・・」
「この目だよ、この目が俺に力をくれる」

アレキサンダーは私の目にキスをした。私はあわてて目を閉じた。彼の舌は私のまぶたから鼻、頬、口元となでていった。

「僕の目は君みたいに青くなくて真っ黒だし、肌の色だって君よりかなり黒い。僕とカッサンドラだけはギリシア人以外の人間の血がまざっているから大勢の中でも目立ってしまう」
「だからいいんだよ。何千、何万といる兵士の中で、お前だけはどこにいてもすぐに見つけることができる。この黒い目がずっと俺を見ていてくれた。俺を神でも見るような目で見ていた。だから俺はどんな敵にもひるむことなく戦うことができた」
「君は本当に神か神話に中の英雄のようだったよ。光り輝いていた」
「それは戦いの時だけか、それとも今もそう見えるか」
「いつだってそう見えるよ」
「神がこんなことしていいのか」

彼は僕の体を強く抱きしめた。

「いいよ。君は僕の神だもの。好きなことしていいよ」

私達は服を脱ぎ、ベッドの上で抱き合った。彼は私の胸の突起をなめ、下半身のほうもゆっくりなめはじめた。

「ふふ、くすぐったいよ。そんなところまでなめるの」
「そうだよ、いやか」
「気持ちいいよ」
「そうだろう、今夜はお前の活躍を祝して最高に気持ちよくしてやるよ」
「何も活躍してないよ」
「そういうことを言う口はこれでふさいでやる」

彼は自分のものを私の顔の前につき出した。私はそれを口に含んだ。太くてたくましい彼のものは私の口を簡単にふさいでしまう。こんな大きなものをあの部分に入れられるのだから、痛いに決まっていると思ってしまう。彼の指が私の穴の中に入れられた。悲鳴をあげそうになったが口はふさがれているので全く声が出ない。体をずらそうともがくが、彼の片方の手が押さえつけて動けないようにしている。指の数は増やされ情け容赦なく中をかきまわされた。今までも何回もこうしたことはあったが、彼のものを口に入れられたまま指を入れられたのは初めてであった。下手に悲鳴をあげたり歯を食いしばれば彼のものを傷つけてしまう。私はけんめいにそうならないよう努力をした。体に強い刺激を感じながらそれをこらえなければならない。下半身に意識を集中させていた。

「そんなに力を入れないで、こういう時は力を抜いた方が楽だよ。鼻で息をして・・・楽にしてごらん・・・そう、やっぱり苦しい?」

やっと彼は私の口の中に入れたものを抜いてくれた。彼は僕の顔を見てうれしくてたまらない顔をしている。

「なんだよ。人の苦しんでいる顔を見て楽しんでいるのか」
「お前は自分ではわかってないようだね。中は今あつく柔らかくなっていて最高の状態だよ」

彼のものが私の体の中に差し込まれた。今まではいつもその時は痛いと感じていたが、少しも痛みは感じなかった。私の体は楽に広がり彼のものをしっかり受け入れていた。喜びに打ち震えた体はより強い刺激を求めて自然に動き、自然にあえぎ声をあげていた。彼は腰を動かし私の体を力強く揺さぶる。私の体も彼の動きにあわせた。荒い息遣いが聞こえ、その呼吸のリズムまでもがひとつになっていた。彼と私は完全に一つになっていた。同じ体を持ち、同じ感覚で強い快感を感じていた。これ以上何も望むことはなかった。彼がその場所に達した時、私もそこにいきつき、同時に精液を吐き出していた。彼は私の体の中に、私は彼の手の中に・・・

「どうだい、よかっただろう」
「最高だったよ。でもどうしてこんなに急によく・・・」
「お前も戦いに参加して、男としての自信と誇りを持ったからだよ。お前がいるから俺は思う存分戦い、こうして喜びを分け合うことができる。俺たちはお互いそれぞれが最高の相手だよ。ずっとそばにいてくれ」
「ずっとそばにいるよ」
「愛しているよ、ヘファイスティオン」
「愛しているよ、アレキサンダー」


                              −つづくー


後書き
 このページは読んでいる人は少ないだろうと推測して、地下室行きの話しも表に置いてあるし、結構思い切った表現も使っていたりします。愛し合う場面は無意識に書いていることが多いのですが、書き終わって、2人の関係、身分とか力関係、支配する側とされる側、どちらのほうが夢中になって溺れているかなどが出てしまうと思いました。他の話でもそうですが、どんなに愛し合っている2人でも結局は対等にはなれずに、どちらかが苦痛に耐えて我慢するしかないのでしょうか?