寄生虫・原虫に付いての考察


分かりやすく説明するために語句や意味を簡素化・省略しています。
詳細をお知りになりたい方は必ず専門家に伺うなどして下さい。

ワンコを育てていると、どうしても感染してしまう可能性がある寄生虫・原虫についてお教えします。
寄生虫・原虫に感染したなどと言うと怖さを感じてしまうかもしれませんが、ごく一般にある症例であり、下記のものは、よほど症状が悪化しないかぎり重篤になることも少ないので神経質になって恐れることはありませんが、健康に害することには間違いありませんので獣医師の指導の下で早期治療を行うよう心掛けて下さい。
たとえば、症状が出ないだけで既に貴方やご家族にも感染しているかもしれない程度の話です。(現在の日本にも寄生虫に感染している人間は存外多くおられます)
知らなかったり、放置しておいてもなんら問題ない場合も多いでしょう。
(※妊婦に対するトキソプラズマは非常に危険です。)
ワンコと暮らす上での常識として頭の片隅に置いてくだされば結構な知識です。

ママのお腹の中で赤ちゃんの時に感染してしまうケースや、通常に生活しているだけで感染してしまうケースも普通にあり、河川敷や公園にお散歩したり、ドッグランやペットショップ・動物美容院でも知らないうちに感染したりします。
環境が変わったり、ストレスにさらされたり、体力・抵抗力が落ちると発症したりもします。

1.ひどく痒い{アカラス症(ニキビダニ症、毛包虫症)、疥癬(ヒゼンダニ)}
2.痒がる{耳ダニ(ミミヒゼンダニ)、蚤、マダニ}
3.下痢、軟便{原虫類(ジアルジア、コクシジウム、トリコモナスなど)}
4.下痢、体重低下、発育不良{犬回虫、瓜実条虫(サナダムシ)、鉤虫(こうちゅう)、
  鞭虫(べんちゅう)、糞線虫症}
5.飼い主の妊娠前に必ず検査を要す{トキソプラズマ}



より具体的に記します。

1.ひどく痒い{アカラス症(ニキビダニ症、毛包虫症)、疥癬(ヒゼンダニ)}

アカラス症(ニキビダニ症、毛包虫症)は、体長0.2〜0.3ミリほどのニキビダニが異常発生することにより引き起こされます。
ニキビダニを寄生させたまま、発症せず、健康に暮らしている犬はかなり多いのですが、子犬の場合、感染して発症しても範囲が限定され、症状も軽く、その九割前後は自然治癒すると考えられていますが、成犬(特に老齢期)が発症した場合は症状が重くなるケースが多いと言われております。
要因は十分に解明されてはおりませんが、臨床例から、発育状態、栄養状態が悪く、体の免疫機能がうまく働かない犬に症状が出やすく、また遺伝的に発症しやすい犬種も少なくないとも考えられています。
治療法は、薬浴剤や薬用シャンプー、効果的な殺ダニ剤の定期的な投与(経口、皮下注射、直接塗布)などを併用しますが、ステロイド剤は免疫力を低下させるため症状を悪化させやすく絶対に使用してはいけません。
治療を中断した後で生き残った卵が孵化して繁殖し再発するケースも少なくありませんので、長期治療(症状が軽くても1ヶ月以上、通常は数ヶ月間の投薬)が必要になります。
人間には人間のニキビダニが寄生しますので、犬と人間の間で病気が伝染することはありません。

疥癬(ヒゼンダニ)は、犬穿孔ヒゼンダニによりもたらされ、顔や耳、四肢などに発疹ができ激しい痒みを引き起こします。
犬同士の感染だけではなく、犬から人へと感染することもあります。
いずれにせよ痒がっているワンコの側に近寄らぬことが大切です。
治療法は、薬浴剤や薬用シャンプー、効果的な殺ダニ剤の定期的な投与(経口、皮下注射、直接塗布)などを併用しますが、ステロイド剤は免疫力を低下させるため症状を悪化させやすく絶対に使用してはいけません。
治療を中断した後で生き残った卵が孵化して繁殖し再発するケースも少なくありませんので注意が必要ですが、アカラス症ほどの長期治療は要せず(ダニの駆除薬を2〜3回、約3週間かけての投与)治療できるといわれます。



2.痒がる{耳ダニ(ミミヒゼンダニ)、蚤、マダニ}

耳ダニ感染症(耳疥癬)は、イヌミミヒゼンダニ(体長約0.3〜0.4ミリ)が寄生することにより、痒みから頭をしきりに振ったり、耳を掻きむしるなどの症状を引き起こします。
治療方法としては、綿棒などで耳垢を落とし、駆除薬を2〜3回(約3週間掛け)投与する程度の簡単な治療で完治します。

犬に寄生するノミ(蚤)は、種名こそ犬ノミ、猫ノミと区別されていますが共に犬に寄生し血液を吸います。
最近では、犬から採取されるノミのほとんどはネコノミであると言われております。
又、どちらも人間の血液すら吸うことも頻繁にあるようです。
ノミの唾液や排せつ物、吸血により、アレルギー皮膚炎や貧血が引き起こされます。
直接犬に付けるスポットタイプやスプレータイプの非常に効果の高い駆虫・予防薬が動物病院やホームセンターで販売されております。
犬に寄生することは勿論、卵や幼虫がカーペット、床、ソファー、ベッド等にも生息しますでの駆除する際は十分考慮して下さい。

マダニは、野山、河川敷、公園、道端など、雑草が多く生えている場所で散歩するなどしている犬に寄生します。
大きさも他のダニと比べ格段に大きく、簡単に目視できる2〜7mm(通常時〜吸血時)の体長となります。
愛犬にコーヒー豆のような醜悪なダニの姿を発見すると、驚愕のあまり引き抜こうとしてしまうものですが、無理やりに引き剥がすと頭部や口器の一部が千切れ皮膚に残り、体液が逆流したり、化膿するケースがありますので注意が必要です。
バベシア症感染の危険性もありますが、有効な予防薬は有りません(駆虫薬は販売されています)のでマダニからの吸血を避けるにして下さい。



3.下痢、軟便{原虫類(ジアルジア、コクシジウム、トリコモナスなど)}

ペットショップやブリーダーから仔犬をご自宅に引き取った後や、急にドッグフードが変わったり、食べ過ぎ・飲み過ぎ、寒さ・暑さで体が弱ったり致しますと、下痢や軟便の症状が現れるケースがあります。
獣医師に連れて行き糞便の検査をすると原虫が発見されることがあります。
獣医師による処方薬(抗生剤・抗菌薬)で原虫類の量を減らします。
早期に症状をやわらげるお薬を飲ませれば下痢などの症状は改善されます。
原虫の種類によって薬が違うことと、ジアルジアは消毒薬が効きにくく、特にコクシジュウムなどは殻(スポロシスト、胞子、sporocyst)が硬く薬が効きにくい場合があります。
経口感染ですので、散歩の後で足を舐めることでも感染の機会になります。
成犬になりますとほとんど症状が現れなくなります。

環境の変化、ドッグフードが変わった、食べ過ぎ飲み過ぎでの下痢軟便でしたら、食事を抜いたり、量を減らすことや、整腸剤(ビオフェルミンなど)の投与で改善されるケースは多いと経験上感じております。
その際も、水は自由に十分飲めるようにしておき、症状に改善がなかったり、血便や元気が無くなったりした場合には急ぎ獣医師の診断を受けさせるよう注意を払ってください。



4.太らない、下痢{犬回虫、瓜実条虫(サナダムシ)、鉤虫(こうちゅう)、鞭虫(べんちゅ
  う)、糞線虫症}

感染した母犬、汚染された土壌、感染した犬とその糞便への接触、感染したノミを媒介などにより感染します。
生後2週目から定期的に駆虫薬を投与することにより感染を防ぎ、除虫出来ます。
散歩道などで犬の便が放置されていたら、臭いを嗅がせないように気をつけましょう。
簡単に投与できる安価な駆虫薬が販売されております。
動物から人間に感染する動物由来感染症(ズーノーシス/zoonosis)ですので、定期的な駆虫薬の投与を心掛けましょう。



5.飼い主の妊娠前に必ず検査を要す{トキソプラズマ}

主な感染経路は経口感染で、通常時は免疫系により抑え込まれるため大きな問題とはなりにくいのですが、免疫不全の状態では重篤あるいは致死的な状態となりえます。
特に妊娠初期に初感染した場合は胎児に重篤な障害を負う場合がありますので十分な注意が必要です。
すでに陽性であれば初感染は済んでいるので胎児への影響はないと考えられます。
妊娠以降に初めて感染したか否か(既に感染していれば問題ない)が重要ですが、早期に薬剤投与することによって先天性トキソプラズマ症の発症を抑えることが出来ますので早い時期に診断を行うことが重要となります。
多くのご家庭にペットが育てられております。
すべての妊娠可能な婦女子は専門医による診断を受け、適切な対処をすべきと考えております。
トキソプラズマ症は、感染している動物の生肉(特に豚肉や鶏肉)を食べたり、感染猫の糞便に触れたりすることで感染します。
加熱すればトキソプラズマは死滅しますが、生焼け・生煮えの肉を食べた場合や、生肉を調理したまな板や包丁を使った料理を食べた場合に、感染する可能性があります。



近くの河川敷が我が家のワンコ達の散歩コースとなっており、タイミングによっては寄生虫や原虫類を拾ってしまう場合がございます。
また、元々子犬のお腹には様々な原虫類が存在します。
弊舎では、御引渡しの前に駆虫をしておりますが、完全に落としきる事は出来ません。
輸送や、兄弟犬と離れて1人になったストレス、他の理由で抵抗力が落ちる場合、大量増加する悪玉菌のような原虫がおり(流通の激しい昨今、犬はこのような悪玉菌を少量持っている場合があると聞いております。又、少量の原虫は逆に免疫になっている場合もあるそうです)、このような原虫(トリコモナス、コクシジュウム、ジアルジア等)が急激に腸内で増えて下痢や嘔吐を引き起こす場合があります。
その際は、御手数ですが飼い主様の方で獣医師による必要な駆虫、投薬等行って下さる様お願い致します。

仔犬のお引渡しから数日間は特に下痢(軟便)をしやすくなっています。
ウンチの状態を診てお引渡しを致しますが、環境変化、フードの変化(種類、量、ふやかし加減等)、寒さや暑さ、パピーママや兄弟達と過ごしていた生活が突然1匹になってしまう不安やストレス等により引き起こされます。
下痢を起こすと体力を消耗します。
食事の量を減らして、ビオフェルミン等の整腸剤がございましたら与えて下さい。
下痢だからと言ってお水を控えることはなさらないで下さい。脱水症状の要因となります。
発症が続くようでしたら、信頼できる獣医師に診て頂いて下さい。


                                            09.06/04

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