カラーブリードについて。


最近、カラーブリードについて色々な話を聞きます。

まず、カラーブリードとは何でしょうか?
遺伝学に基づいて、作出したい毛色の仔犬をブリーディングすること。

ダップル(マール)についてお話を致します。

ダックスフンドやシェットランドシープドッグ、グレートデン等に発色致します。
ダップルとは、メラニン色素の合成を阻害され白斑が生じた毛色です。
ダックスフンドの始祖から色といわれ品種的に持っている遺伝子です。
ブラックやチョコ、ブルー、レッド、クリーム等どのような色にも発生し、大変美しい色合いになります。
また、どのような箇所に発生するかも推測できず、個性としても面白く興味深い因子です。

ただ、ダップルの危険性は承知されていますか?
視聴覚や脳神経に重大な障害を持つ子が生まれる可能性の高い因子であることはご承知下さい。

片親がダップルであり、マール(ダップル)因子を遺伝した場合でも、視聴覚に障害を持つ子は3〜4割に及ぶとする文献も多くございます。
両親ともにダップルであり、両親からマール(ダップル)因子を遺伝した場合には、ダブルダップルと言い視聴覚に障害を持つ子は7〜9割に及ぶとする資料もございます。
研究資料により割合は上下致しますが、このように非常に高い数値となっております。
メラニン色素は毛色や皮膚の色だけに作用する訳でなく、神経や眼や耳でメラニンを抑制する作用(ダップル)が発現すると正常に形成されず障害をもった子が産まれてしまうのです。

考え方は人それぞれと承知していますが…
いくら美しいからと言っても、このように高確率で障害を起こすマール(ダップル)が認められていることが理解できません。
股関節・膝間接形成不全、進行性網膜萎縮症症候群等には厳しい目を向けられているのに。
目の見えない子、耳の聞こえない子が生まれてしまうのですよ。

ただ、誤った情報や噂話も多いのでお気をつけ下さい。

ダップルは、優勢遺伝子です。
親がダップルであろうと、その子にダップルが表れていなければダップルは遺伝致しません。
基本的なメンデルの法則からも、隔世遺伝しないことは間違いないのです。

交配の際にクリームを避けることは、ダップルであれば必ず現れる白斑が分かりにくいから。
レッドやゴールドとの交配を避けることも、遺伝的にクリームになりやすく見落とす可能性を減らす為。
見落とされたワンコの交配相手がダップルの場合、ダブルダップルと言い障害を持つ子を産む確率が非常に高いので。

全身に発生してくれれば、まだ分かり易いのですが…
極少量に、極僅かな箇所に、瞳の一部などと言う事例もございます。
ミスカラーと見間違うこともありますので。
親にダップルがいるなどの可能性がある場合、ブリーディングには十分な注意が必要です。
同じく、販売される方にはダップルであるかの告知を必ずなさるよう心掛け下さい。

そこまで細心の注意を払うべき、危険な遺伝子なのです。

オークションやショップで稀に見るワンコがおります。
レアカラーとして当然のように…
いいえ、普通のワンコよりも高額に販売されることもあるオッズアイ、ブルーアイ、目や耳や頭部に発生した大きな白斑。
ほぼ間違いなく、、、、障害を持った子です。

告知しなければいけないのに。
その子にも、その子の子孫にも、飼い主さんにも危険と負担を伴わせる可能性が高いのに。

小中学生の女の子の将来なりたい職業って知ってますか?
ペットショップさん!
可愛い大切なワンコを、望まれる方にお引渡しするステキなお仕事。
誰よりもモラルと知識を持って勤めたいものです。


カラー遺伝子についてご質問お受けします。
弊舎から嫁いでいない、関係を持っていない…
ご心配ご無用です。
同じ愛犬家として、知っている限りお答え致します。
一般家庭の方も、プロの方もどうぞ。

他犬舎様とお比べ頂き、違いをお分かり下さい。

いまだ公にこの件について反対している方は知りません。
狭い業界ですから非難や中傷も受けることでしょう。
それでも決心しました。
やはり危険なブリーディングは止めた方が良いのです。
どのようなブリーダーであろうとも犬が好きでブリーディングを始めたことに違いは無いでしょう。
犬の健康に留意し、素晴らしい犬の作出を目指しているはずです。
ならば繁殖を止めるしかないのです。

ダップル(マール)のブリーディングは止めましょう。
私たちが率先して告知・啓蒙して時流を変えるしかないと思います。

ダップル(マール)の美しさは十分に承知しています。
最初にダップル(マール)の子を見たときの驚きは今でも忘れていません。
淡く美しい色合いとダップル班の微妙なバランスは神の手による芸術にも感じました。
ダックスフンド、チワワ、シェットランドシープドッグ、ボーダーコリー、ウェルッシュコーギー・・・。
スタンダードのカラー遺伝子座に、M(Male)遺伝子がほんの1つ入っただけでダップル(マール)班が現れます。
全く同じ柄(ダップル班)の子はいません。
神様がその子だけに与えてくれた唯一無二の色合いです。
本当に美しい毛色だと思います。

ただ、この毛色を身に纏うためには非常に危険な賭けを行わなければなりません。
賭けに勝てれば、美しい毛色を手に入れることが出来ます。
賭けに負ければ、美しい毛色は手に入れることが出来るのですが、耳が聞こえなくなったり、目が見えなくなったり、匂いを嗅げなくなったりします。
視聴覚・臭覚に優れた犬にとって障害を持つことは、人間が思う以上に大変な不具合を持つこととなります。
現在のブリーディング技術では、この危険性を排除することは出来ません。
ダップル(マール)による視聴覚・臭覚障害は現在の獣医学では治すことが出来ません。
視聴覚・臭覚障害のほかにも、内臓疾患、脳障害、早死にが認められると記された文献もあります。

ダップル(マール)とは、M(Male)遺伝子の作用によりメラニン色素の合成が阻害され白班(ダップル班)が生じた毛色です。
メラニン色素は毛色や皮膚の色だけに作用する訳でなく、神経や眼や耳の細胞形成にも重要な役割をしており、メラニンを抑制する作用(ダップル)が重要な内臓や目、耳などに発現すると胎児期に神経細胞が正常に発達できず障害をもった子が産まれてしまうのです。
更にM(Male)遺伝子がホモ結合された「ダブル・ダップル」といわれるカラーは、死産やアルビノ、深刻な脳障害や心疾患、早死などが非常に高い確率で現れますので絶対に行ってはいけない掛け合わせとして有名です。

美しい色合いを求めるためには、愛する犬の視聴覚に障害が現れても良いと考えますか?
唯一無二の毛色を作り出すために、大切な愛犬に心疾患や脳障害が起こってもしょうがないと思いますか?

ブリーダーや愛犬家、飼育者が、毛色のために健康を害する要素を容認するわけは無いと確信します。
M(Male)遺伝子の健康に害する作用が分かる以前でしたら、ダップル(マール)を珍重し、より多くのブリーディングに使おうとしたことでしょうが、今はM(Male)遺伝子の怖さや危険性が広く謳われている時代です。
それでも、なおダップル(マール)の繁殖を進めるならば虐待にも結びつく行為でしかないと思います。
ダップル(マール)コートが無くなろうと、犬種が消えてしまったり、質が下がったりするわけもありません。
しかもM(Male)遺伝子は優性遺伝であり、比較的分かりやすく発現しますので、ブリーダーがダップル(マール)を作出しないと決めてしまえば容易に排除できる遺伝子でもあります。

1873年に発足し世界最古の歴史とプライドを持つ愛犬クラブ「ケンネルクラブ」(英国)では、チワワのブルー・マール(ダップル)のブリーディングを認めないと発表されました。
「ケンネルクラブ」は近年特に健康に危険な因子を持つ繁殖に対し警告を鳴らし、どのような優秀な犬であろうと健康に害する要因を持つ子の繁殖は否定しており、犬種によってはドッグショーの出展すら拒否しています。
世界的権威を持つ「ケンネルクラブ」がチワワのブルー・マールを認めない方針を持ったと言うことは、近い将来チワワのブルー・マールが消え去ることを意味していると考えます。
アメリカ・ケンネルクラブ(AKC)、ジャパン・ケンネルクラブ(JKC)も習うと思っていますし、そうなれば血統書の発行が出来ない犬種となるからです。

今いるダップル(マール)の子をブリーディング・ラインより外してしまうことの厳しさは私も承知しています。
それでも私たちブリーダーが先頭になり導いていかなくては視聴覚障害を持つ犬たちが増え続けるだけの状態となってしまいます。
ブリーダーとして私たちが率先しなくてはならないことだと思います。

あと1つ問題だと思うことは「ダルメシアン」についてです。
sp遺伝子によるパイボールドの作用と思われる視聴覚障害の多さです。
これはダルメシアン特有の白地に黒班を発現させるカラー遺伝子であり、このsp遺伝子が無ければダルメシアンでなくなってしまうと言うもの。
sp遺伝子の解明が遅れている上に、sp遺伝子を否定することはダルメシアンの存在も否定することになります。
犬の健康を第一に考えると申しながらズルイことですがダルメシアンについては、もうしばらく考えを深めたいと思っています。


                                           2010.3/31
ダップルの恐ろしさはインターネットで検索するだけで簡単に多くの情報を得られるようになりました。
ダブルダップルを作出する可能性の高いダップル同士の交配は絶対に忌避すべきと愛犬家の常識になりつつあると思っています。
それでもまだダブルダップルのパピーが産まれている・・・。
なぜでしょう?

独特の美しさを持つ被毛に魅せられ子犬を購入する際にダップルを選択する方が多いからなのでしょう。
ダップルコートも一時の高額な生体価格からリーズナブルな価格に下がりました。
公園やドッグランでもダップルコートのワンコを当たり前のように見ることができるようになりました。
生体数が増えると、牡牝を未去勢・未避妊状態で飼育しているお宅での自然交配の確率が高まります。
我が家の可愛いワンちゃんの子孫が見たいので繁殖させようと言う自家繁殖も進みます。
せっかく牡牝を飼育しているのだからお小遣い稼ぎに繁殖しようと言うバックヤードブリーダーも現れてきます。
ダップル同士の交配が起こればダブルダップルの作出数が増えるわけです。

先日、ダブルダップルのダックスフンドを飼育されている方からメールを頂きました。

当ページに掲載されている写真のテリー君です。
ダップルの怖さを広く伝えて欲しいと飼い主様のご希望によりお写真を掲載するご許可を得ることが出来ました。

お知り合いのお宅で生まれた子だそうです。
人間家庭のイメージを持ってせっかく飼うなら男の子と女の子が良いと考え、特に目に見える必要性を感じなかったので去勢避妊をすることもなく、赤ちゃんが授かるならそれもありがたい程度にしか考えないままで牡牝の複数頭飼育をした結果なのでしょう。

ダップルが原因と推測できる障害の内、この子には視覚・聴覚障害が確認できます。
小眼球症で眼圧はかろうじて測定できるくらい。
右目は下1/3に瞬膜の癒着があり、進行性網膜萎縮もあります。
虹彩の色はブルー。
獣医師は「見えているのではなく光と影で判別しているのではないか」と言います。
左目は黒目がありません。
眼球全体の瞬膜が癒着しています。
聴力はないですが骨伝導で大きな音とかは伝わるので多少は音を感じているそうです。
現在、内臓疾患や脳神経障害等は確認していません。
今後いかなる障害が発症するか、早死する可能性が有るかなどは神のみぞ知ることとなります。

犬が視覚や聴覚を失うことの厳しさは想像も付きますか?
この子のご先祖は視聴覚を頼りに野山を駆け回り獲物を追い求めたハンターなのですよ。
それでもこの子は頑張っています。
障害を承知している飼い主さんに支えられ、出来る限りの治療を受けながら、障害に負けることなく、一生懸命に生きようとしています。

悲しいことはただ1つ。
この子を生み出したのは人間によるものと言うこと。
もう少しダップルの怖さを教えてあげたり、知識を得るだけでこんな障害は簡単に防げたこと。


ダップルの危険性が広く知れ渡ってきたとは申せ、まだまだ伝わっていない方も多くおられます。
障害を持って生まれてしまったからでは取り返しが付かないことなので、益々告知・啓蒙をしなければならないと決意しました。

繁殖やカラー遺伝等のブリーディングに関する知識は素人よりマシという程度の驚くような獣医師が意外と多くおられることに驚きます。
「我が家で飼育している牡牝から子犬を産ませてみたい」と掛かり付けの獣医師に相談するとレントゲンを撮ってくれ、骨盤の大きさから「問題なく元気な子犬が生まれますよ!」と教えてもらえたと言う話を何度も聞いたことがあります。
産科、骨学的に健康な子犬が期待できると言う話もありがたいのですが、妊娠・出産の前に出産の危険性や遺伝上の諸問題、子犬の行く末などを信頼される専門家として熱心に教える必要が有ると確信しています。
私どもも含め犬の飼育者は絶対的な信頼を持って獣医師の言葉を信じ対処します。
その獣医師の中で知識をほとんど持っていない方がいるとは・・・。
未去勢・未避妊の雄雌を飼育していることを承知している獣医師ならば、交配〜繁殖に関して指導すべき(特にダップルやパイボールドの飼育者には)です。
素人の飼育者にダップルの危険性を告知・啓蒙するよりも、掛かり付けの獣医師が日頃より注意しダップルの危険性を説く方が一般飼育者にも良く伝わり、ダブルダップルの繁殖を阻止できると考えます。

明らかに証明されていることで犬に負担を掛けることとなるダップル、パイボールドの繁殖は絶対に行ってはいけません。
愛犬家と自負するのであるならダップルの血統を根絶させる為に、購入を勧めたり、ブリーディングを行うことは慎んでください。
ダップルの危険性を承知しながら購入したり、繁殖した者に対して、私たちはあえて「動物虐待」と思わせてもらうこととします。

  1. 6/15
改めまして、パピーズ・ママではダップル(マール)のブリーディングを反対します。

ダックスフンド(スタンダード、ミニチュア、カニーヘン/ロング、スムース、ワイヤード)、チワワ(ロング、スムース)、オーストラリアンシェパード、コリー(スムース、ラフ)、シェットランドシープドッグ、ウエルッシュ・コーギー・ペンブローク、ポメラニアン等のマール、ブルー・マール、ダップルと言われるカラーすべての交配・繁殖・売買を反対します。

今まで悩んでいました。
ブリーダーである私たちがこのようなことを述べて良いものか否か。
ブリーダー自身が同業でもある他のブリーダーに対し反対の意見を述べることについて。


以下、リンク・バナー下に続きます。

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