環境省より 「動物の愛護及び管理に関する法律」の概要について。
改正動物愛護管理法(平成18年6月1日施行)の規定に基づき、環境省では、「動物の愛護及び管理に関する施策を総合的に推進するための基本的な指針」(以下、「基本指針」という。)について、中央環境審議会から平成18年10月 13日の答申を踏まえ、平成18年10月31日に公表しました。
この基本指針は、動物の愛護及び管理に関する行政の基本的方向性及び中長期的な目標を明確化し、計画的かつ統一的な施策の遂行等を目的としており、今後、都道府県では基本指針に即し、地域の実情に応じて「動物愛護管理推進計画」を策定することとしています。
「動物の愛護及び管理に関する法律」(動物愛護管理法)は、動物の虐待防止や適正な取り扱い方などの動物愛護に関する事項、人に対する危害や迷惑の防止などを図るための動物の管理に関する事項を定めた法律で、昭和48年9月に「動物の保護及び管理に関する法律」として、議員立法で制定されました。平成11年12月第146回国会において改正、名称変更され、平成12年12月1日から施行、 さらに、平成17年6月第162国会において改正され、平成18年6月1日から施行されています。
法律の対象となる動物は、家庭動物、展示動物、実験動物、産業動物などの人との関わりのある動物とされています。
(1)基本原則
すべての人が「動物は命あるもの」であることを認識し、みだりに動物を虐待することのないようにするのみでなく、人間と動物が共に生きていける社会を目指し、動物の習性をよく知ったうえで適正に取り扱うよう基本原則で定めています。
(2)動物愛護週間
広く国民の間に動物の愛護と適正な飼養についての関心と理解を深めるため、毎年9月20日から26日までを動物愛護週間とし、国及び地方公共団体ではその趣旨にふさわしい行事を実施しています。
(3)動物の飼い主等の責任
動物の飼い主は、動物の種類や習性等に応じて、動物の健康と安全を確保するように努め、動物が人の生命等に害を加えたり、迷惑を及ぼすことのないように努めなければなりません。また、みだりに繁殖することを防止するために不妊去勢手術等を行うこと、動物による感染症について正しい知識を持ち感染症の予防のために必要な注意を払うこと、動物が自分の所有であることを明らかにするための措置を講ずること等に努めなければなりません。なお、動物の所有情報を明らかにするためにマイクロチップなどの装着を推進しています。
(4)動物の飼養及び保管等に関するガイドライン
家庭動物、展示動物、畜産動物、実験動物のそれぞれについて、動物の健康と安全を確保するとともに動物による人への危害や迷惑を防止するための飼養及び保管等に関する基準を定めています。また、動物を科学的利用に供する場合は、いわゆる「3Rの原則(苦痛の軽減等)」等に配慮するように努めなければなりません。また、実験動物を利用する際には苦痛の軽減、動物に代わり得るものの利用、数の少数化などの基準を定めています。
(5)動物取扱業者の規制
動物取扱業者(動物の販売、保管、貸出、訓練、展示を業として行う者)は、動物の適正な取扱いを確保するための基準等を満たしたうえで、都道府県知事等の登録を受けなければなりません。登録を受けた動物取扱業者には、動物取扱責任者の選任及び都道府県知事等が行う研修会の受講が義務づけられています。また、都道府県知事等は、施設や動物の取り扱いについて問題がある場合、改善するよう勧告や命令を行うことができ、必要がある場合には立入検査をすることができます。悪質な業者は、登録を拒否されたり、登録の取消や業務の停止命令を受けることがあります。
(6)周辺の生活環境の保全
多数の動物を飼うことによって周辺の生活環境が損なわれている場合、都道府県知事等はその飼い主に対して必要な措置をとるように勧告や命令を行うことができます。
(7)危険な動物の飼養規制
国が定めた危険な動物を飼う場合は、法律に基づき都道府県知事等の許可を受ける必要があり、動物が脱出できない構造の飼養施設を設けるなどして、事故防止を図らなければなりません。また、飼うにあたってはマイクロチップなどの個体識別措置が義務づけられています。
(8)犬及びねこの引取り等
都道府県等は、犬及びねこの引取りを行うとともに、道路、公園、広場、その他の公共の場所において発見された負傷動物等の収容を行います。
(9)基本指針と推進計画
動物の愛護及び管理に関する施策と総合的に推進するため、環境大臣が基本指針を、都道府県は推進計画を定めます。
(10)動物愛護推進員と協議会
都道府県知事等は動物の愛護と適正な飼養を推進するため、動物愛護推進員を委嘱するとともに、動物愛護推進員の活動を支援するため協議会を組織することができます。
(11)罰則
愛護動物* をみだりに殺し又は傷つけた場合は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処されます。また、愛護動物に対しみだりに給餌又は給水をやめることにより衰弱させる等の虐待を行った場合、あるいは遺棄した場合は、50万円以下の罰金に処されます。
*愛護動物とは、牛、馬、豚、めん羊、やぎ、犬、ねこ、いえうさぎ、鶏、いえばと、あひる、その他人が飼っている哺乳類、鳥類、爬虫類をいいます
家庭動物等の飼養及び保管に関する基準
平成14年5月28日
環境省告示第 37号
一部改正 平成18年1月20日
第1 一般原則
1 家庭動物等の所有者又は占有者(以下「所有者等」という。)は、命あるものである家庭動物等の適正な飼養及び保管に責任を負う者として、動物の生態、習性及び生理を理解し、愛情をもって家庭動物等を取り扱うとともに、その所有者は、家庭動物等を終生飼養するように努めること。
2 所有者等は、人と動物との共生に配慮しつつ、人の生命、身体又は財産を侵害し、及び生活環境を害することがないよう責任をもって飼養及び保管に努めること。
3 家庭動物等を飼養しようとする者は、飼養に先立って、当該家庭動物等の生態、習性及び生理に関する知識の習得に努めるとともに、将来にわたる飼養の可能性について、住宅環境及び家族構成の変化も考慮に入れ、慎重に判断するなど、終生飼養の責務を果たす上で支障が生じないよう努めること。
4 特に、家畜化されていない野生動物等については、一般にその飼養及び保管のためには当該野生動物等の生態、習性及び生理に即した特別の飼養及び保管のための諸条件を整備し、及び維持する必要があること、譲渡しが難しく飼養の中止が容易でないこと、人に危害を加えるおそれのある種が含まれていること等を、その飼養に先立ち慎重に検討すること。さらに、これらの動物は、ひとたび逸走等により自然生態系に移入した場合には、生物多様性の保全上の問題が生じるおそれが大きいことから、飼養者の責任は重大であり、この点を十分自覚すること。
第2 定義
この基準において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1)動物 ほ哺乳類、鳥類及びは爬虫類に属する動物をいう。
(2)家庭動物等 愛がん動物又は伴侶動物(コンパニオンアニマル)として家庭等で飼養及び保管されている動物並びに情操のかん涵養及び生態観察のため飼養及び保管されている動物をいう。
(3)管理者 情操の涵養及び生態観察のため飼養及び保管されている動物並びにその飼養及び保管のための施設を管理する者をいう。
第3 共通基準
1 健康及び安全の保持
所有者等は、次の事項に留意し、家庭動物等の種類、生態、習性及び生理に応じた必要な運動、休息及び睡眠を確保し、並びにその健全な成長及び本来の習性の発現を図るように努めること。
(1)家庭動物等の種類、発育状況等に応じて適正に餌えさ及び水を給与すること。
(2)疾病及びけがの予防等の家庭動物等の日常の健康管理に努めるとともに、疾病にかかり、又は負傷した家庭動物等については、原則として獣医師により速やかに適切な措置が講じられるようにすること。傷病のみだりな放置は、動物の虐待となるおそれがあることについて十分認識すること。また、家庭動物等の訓練、しつけ等は、その種類、生態、習性及び生理を考慮した適切な方法で行うこととし、みだりに殴打、酷使する等の虐待となるおそれがある過酷なものとならないようにすること。
(3)所有者等は、適正な飼養及び保管に必要なときは、家庭動物等の種類、生態、習性及び生理を考慮した飼養及び保管のための施設(以下「飼養施設」という。)を設けること。飼養施設の設置に当たっては、適切な日照、通風等の確保を図り、施設内における適切な温度や湿度の維持等適切な飼養環境を確保するとともに、適切な衛生状態の維持に配慮すること。
2 生活環境の保全
(1)所有者等は、自らが飼養及び保管する家庭動物等が公園、道路等公共の場所及び他人の土地、建物等を損壊し、又はふん尿その他の汚物、毛、羽毛等で汚すことのないように努めること。
(2)所有者等は、家庭動物等のふん尿その他の汚物、毛、羽毛等の適正な処理を行うとともに、飼養施設を常に清潔にして悪臭、衛生動物の発生の防止を図り、周辺の生活環境の保全に努めること。
3 適正な飼養数
所有者等は、その飼養及び保管する家庭動物等の数を、適切な飼養環境の確保、終生飼養の確保及び周辺の生活環境の保全に支障を生じさせないよう適切な管理が可能となる範囲内とするよう努めること。
4 繁殖制限
所有者は、その飼養及び保管する家庭動物等が繁殖し、飼養数が増加しても、適切な飼養環境及び終生飼養の確保又は適切な譲渡が自らの責任において可能である場合を除き、原則としてその家庭動物等について去勢手術、不妊手術、雌雄の分別飼育等その繁殖を制限するための措置を講じること。
5 動物の輸送
所有者等は、家庭動物等の輸送に当たっては、次の事項に留意し、動物の健康及び安全の確保並びに動物による事故の防止に努めること。
(1)家庭動物等の疲労及び苦痛をできるだけ小さくするため、なるべく短い時間による輸送方法を選択するとともに、輸送時においては必要に応じ適切な休憩時間を確保すること。
(2)家庭動物等の種類、性別、性質等を考慮して、適切に区分して輸送する方法をとるとともに、輸送に用いる容器等は、動物の安全の確保及び動物の逸走を防止するために必要な規模及び構造のものを選定すること。
(3)輸送中の家庭動物等に適切な間隔で給餌及び給水するとともに、適切な温度、湿度等の管理、適切な換気の実施等に留意すること。
6 人と動物の共通感染症に係る知識の習得等
(1)所有者等は、その所有し、又は占有する家庭動物等と人に共通する感染性の疾病について、動物販売業者が提供する情報その他の情報をもとに、獣医師等十分な知識を有する者の指導を得ることなどにより、正しい知識を持ち、その飼養及び保管に当たっては、感染の可能性に留意し、適度な接触にとどめるなどの予防のために必要な注意を払うことにより、自らの感染のみならず、他の者への感染の防止にも努めること。
(2)家庭動物等に接触し、又は家庭動物等の排せつ物等を処理したときは、手指等の洗浄を十分行い、必要に応じ消毒を行うこと。
7 逸走防止等
所有者等は、次の事項に留意し、家庭動物等の逸走の防止のための措置を講ずるとともに、逸走した場合には、自らの責任において速やかに捜索し捕獲すること。
(1)飼養施設は、家庭動物等の逸走の防止に配慮した構造とすること。
(2)飼養施設の点検等、逸走の防止のための管理に努めること。
8 危害防止
所有者等は、動物の愛護及び管理に関する法律(昭和48年法律第105号。以下「法」という。)第26条第1項に規定する特定動物その他の大きさ、闘争本能等にかんがみ人に危害を加えるおそれのある動物(以下「人に危害を加えるおそれのある家庭動物等」という。)を飼養及び保管する場合には、次の事項に留意し、逸走の防止等、人身事故の防止に万全を期すこと。
(1)飼養施設は、動物が逸走できない構造とすること。
(2)飼養施設は、飼養に当たる者が、危険を伴うことなく作業ができる構造とすること。
(3)所有者等は、人に危害を加えるおそれのある家庭動物等の逸走時の措置についてあらかじめ対策を講じ、逸走時の事故の防止に努めること。
(4)所有者等は、飼養施設を常時点検し、必要な補修を行うとともに、施錠の確認をするなど逸走の防止のための管理に万全を期すこと。
(5)捕獲等のための機材を常備し、当該機材については常に使用可能な状態で整備しておくこと。
(6)所有者等は、人に危害を加えるおそれのある家庭動物等が飼養施設から逸走した場合には、速やかに関係機関への通報を行うとともに、近隣の住民に周知し、逸走した動物の捕獲等を行い、家庭動物等による事故の防止のため必要な措置を講じること。
9 緊急時対策
所有者等は、関係行政機関の指導、地域防災計画等を踏まえて、地震、火災等の非常災害に際してとるべき緊急措置
を定めるとともに、移動用の容器、非常食の準備等、避難に必要な準備を行うよう努めること。非常災害が発生したときは、速やかに家庭動物等を保護し、及び家庭動物等による事故の防止に努めるとともに、避難する場合には、できるだけその家庭動物等の適切な避難場所の確保に努めること。
第4 犬の飼養及び保管に関する基準
1 犬の所有者等は、さく等で囲まれた自己の所有地、屋内その他の人の生命、身体及び財産に危害を加え、並びに人に迷惑を及ぼすことのない場所において飼養及び保管する場合を除き、犬の放し飼いを行わないこと。
2 犬の所有者等は、犬をけい留する場合には、けい留されている犬の行動範囲が道路又は通路に接しないように留意すること。
3 犬の所有者等は、頻繁な鳴き声等の騒音又はふん尿の放置等により周辺地域の住民の日常生活に著しい支障を及ぼすことのないように努めること。
4 犬の所有者等は、適当な時期に、飼養目的等に応じ、人の生命、身体及び財産に危害を加え、並びに人に迷惑を及ぼすことのないよう、 適正な方法でしつけを行うとともに、特に所有者等の制止に従うよう訓練に努めること。
5 犬の所有者等は、犬を道路等屋外で運動させる場合には、次の事項を遵守するよう努めること。
(1)犬を制御できる者が原則として引き運動により行うこと。
(2)犬の突発的な行動に対応できるよう引綱の点検及び調節等に配慮すること。
(3)運動場所、時間帯等に十分配慮すること。
(4)特に、大きさ及び闘争本能にかんがみ人に危害を加えるおそれが高い犬(以下「危険犬」という。)を運動させる場合には、人の多い場所及び時間帯を避けるよう努めること。
6 危険犬の所有者等は、当該犬の行動を抑制できなくなった場合に重大な事故を起こさないよう、道路等屋外で運動させる場合には、必要に応じて口輪の装着等に努めること。
7 犬の所有者は、やむを得ず犬を継続して飼養することができなくなった場合には、適正に飼養することのできる者に当該犬を譲渡するように努め、新たな飼養者を見いだすことができない場合に限り、都道府県等(法第35条第1項に規定する都道府県等をいう。以下同じ。)に引取りを求 めること。
8 犬の所有者は、子犬の譲渡に当たっては、特別の場合を除き、離乳前に譲渡しないように努めるとともに、その社会化が十分に図られた後に譲渡するよう努めること。また、譲渡を受ける者に対し、社会化に関する情報を提供するよう努めること。
第5 ねこの飼養及び保管に関する基準
1 ねこの所有者等は、周辺環境に応じた適切な飼養及び保管を行うことにより人に迷惑を及ぼすことのないよう努めること。
2 ねこの所有者等は、疾病の感染防止、不慮の事故防止等ねこの健康及び安全の保持並びに周辺環境の保全の観点から、当該ねこの屋内飼養に努めること。屋内飼養以外の方法により飼養する場合にあっては、屋外での疾病の感染防止、不慮の事故防止等ねこの健康及び安全の保持を図るとともに、頻繁な鳴き声等の騒音又はふん尿の放置等により周辺地域の住民の日常生活に著しい支障を及ぼすことのないように努めること。
3 ねこの所有者は、繁殖制限に係る共通基準によるほか、屋内飼養によらない場合にあっては、原則として、去勢手術、不妊手術等繁殖制限の措置を講じること。
4 ねこの所有者は、やむを得ずねこを継続して飼養することができなくなった場合には、適正に飼養することのできる者に当該ねこを譲渡するように努め、新たな飼養者を見いだすことができない場合に限り、都道府県等に引き取りを求めること。
5 ねこの所有者は、子ねこの譲渡に当たっては、特別の場合を除き、離乳前に譲渡しないよう努めるとともに、その社会化が十分に図られた後に譲渡するよう努めること。また、譲渡を受ける者に対し、社会化に関する情報を提供するよう努めること。
第6 学校、福祉施設等における飼養及び保管
1 管理者は、学校、福祉施設等の利用者が動物の適切な飼養及び保管について正しい理解を得ることができるように努めること。
2 管理者は、動物の飼養及び保管の目的、学校、福祉施設等の立地及び施設の整備の状況並びに飼養又は保管に携わる者の飼養能力等の条件を考慮して、飼養及び保管する動物の種類を選定すること。
3 異種又は複数の動物を同一施設内で飼養及び保管する場合には、その組合せを考慮した収容を行うこと。
4 管理者は、動物の飼養及び保管が、獣医師等十分な知識と飼養経験を有する者の指導の下に行われるよう努め、本基準の各項に基づく適切な動物の飼養及び保管並びに動物による事故の防止に努めること。
5 管理者は、学校、福祉施設等の休日等においても、動物の飼養及び保管が適切に行われるよう配慮すること。
6 管理者は、飼養及び保管する動物に対して飼養に当たる者以外の者からみだりに食物等を与えられ、又は動物が傷つけられ、若しくは苦しめられることがないよう、その予防のための措置を講じるよう努めること。
第7 その他
所有者等は、動物の逸走、放し飼い等により、野生動物の捕食、在来種の圧迫等の自然環境保全上の問題が生じ、人と動物との共生に支障が生じることがないよう十分な配慮を行うこと。
第8 準用
家庭動物等に該当しない犬又はねこについては、当該動物の飼養及び保管の目的に反しない限り、本基準を準用する。
ペット動物販売業者用説明マニュアル (哺乳類・鳥類・爬虫類) 環境省
動物の特性と飼養方法
http://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/pamf_rep/manu_dealer/full.pdf
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このページは、下記のリンクより 環境省の「動物の愛護・管理行政のページ」から抜粋し掲載してあります。
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http://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/index.html