健康なダックスフンドでもここまでホワイトに近づくのですから、カラー遺伝子の配列によっては驚くほど白いコートの子が生まれても不思議ではありません。
チワワもダックスも白/クリーム系のカラー遺伝子は持っていますので。
その他注意して欲しいことは、体格の違いすぎる犬種同士の掛け合わせです。
オスが大きく、メスが小さい場合は、サイズが違うことにより上手に交配ができず、いじれたオスはメスに危害を加える場合があります。
又、順調に妊娠したとしても、オスの遺伝子の影響で赤ちゃんが大きく、自然分娩が出来ない等の危険性も考えられます。
mix同士の掛け合わせになると遺伝学状複雑になりすぎて推測できにくくなったりしますが、純血種同士のクロス・ブリードならば犬種の組み合わせが重要です。
チワワとミニチュアピンシャーの掛け合わせでも、オス側がどちらの犬種かによりお顔や性格、体格まで変わります。
mix犬独自の遺伝性疾患ではありませんが、「膝蓋骨脱臼」「股関節形成不全」「CL病」「進行性網膜萎縮症症候群」等の遺伝性疾患はクロス・ブリードによっても消えることはありませんので、両親の選択は十分な注意が必要です。
ハリウッドのセレブたち多くが「パグル」を飼い始めたと雑誌で見かけたのが2005年のお話。
アメリカでブームが起こり始めている「パグル」ってご存知ですか?
パグとビーグルのクロス・ブリード(あいのこ)です。
当然、血統書などはないmix犬と言われる雑種犬です。
日本では一時見向きもされなかった雑種犬が、「デザイナーズ・ドッグ」と呼ばれ数千ドル(数十万円)と高価格で販売されるようにもなりました。
アレルギーの出にくいガイド犬が欲しいというリクエストがあった為に作出した、抜け毛の少ないプードルと人なつこいラブラドールリトリバーとの子が最初のデザイナーズ・ドッグとも言われます。
ボーグル(ボクサー+ビーグル)、ヨーキプー(ヨークシャーテリア+プードル)、シーポン(シーズー+ポメラニアン)等。
「世界で唯一」「どこにもいない子」「欲しくとも、この子しかいない」「作りたくとも不可能」等のPRが付き、どの様な子が産まれるかわからない雑種犬のデメリットをメリットに変えて人気が急上昇しています
とは言え、それなりには両親の特徴も現れ「ロングヘアー、性格の明るい、立ち耳で小振りなホワイトコートの子」が欲しいなどとおおまかな要望も聞き入れられます。
アメリカのブームに機敏な日本の風潮を考えると、今年にもデザイナーズ・ドッグとして大流行になっても不思議ではありません。
多くのサイトで「mix犬は怪しからん」「エコノミックアニマルの日本人らしい金になればなんでも作る」「命を蔑ろにしている」「純血種をバカにするな」「金儲け主義のブリーダー野郎」「だから日本のブリーダーはレベルが低い」「日本のブリーダーとは最低の人間」「欧米に見習え」…
好き勝手に言われています。
確かに欧米のトップクラスはブリーディングにしてもジャジにしてもハンドリングやトリマーにしても最高の質であると認めます。
知識も環境も日本と比べ物にならない方も多くおられます。
ショーに集うワンコも目を見張るほど素晴らしい子も多くおります。
ただし、欧米こそ資本主義の大元であることを忘れないで下さい。
金を稼ぐことは是である社会なのです。
日本では専門家に質問をすることは自己の不足している知識を補うこととして美徳とされております。
専門家も素人の質問に的確に答えることができて初めてプロとみなされる状況もあり、一部の偏屈を除くと気軽に教えてくださいます。
「聞くは一時の恥。聞かぬは一生の恥。」の諺のとおり。
欧米では、専門家に聞くことイコール費用が掛かります。
専門知識を売ることとなるからだそうです。
飼育方法だって簡単には教えてくれません。
愛犬家仲間と考えるのならば、どちらが良いと思いますか。
パピーズミルやバックヤードブリーダーなんて当たり前に英語です。
あちらで発生し、あちらで問題となり、あちらでも解決されるどころか増え続けています。
狂犬病も撲滅できず、感染症や遺伝性疾患の問題は遥かに大きいように感じます。
金儲けを主としての繁殖ではなく、ブリーディング・ポリシーを持って作出するのであれば、私達パピーママはmix(ハーフ、クオーター、デザイナーズ・ドッグ、雑種)犬も素晴らしい犬種として考え、大切に守りたいと考えます。
mix(ハーフ、クオーター、デザイナーズ・ドッグ、雑種)犬に付いての考察
mix犬の繁殖について是非を問う声が多くあります。
純血種(固定種)と言われる犬種は、世界中の地域的な在来種まで含めると、約700〜800の犬種に分けられるといいます。
国際畜犬連盟(FCI:Federation Cynologique Internationale)では339犬種を公認しており、ジャパンケネルクラブ(JKC)では、その内の185犬種を公認・登録しています(20 07年10月時点)。
弊舎の見解を述べる前に、まず「mix/雑種/混血」について考えてみましょう。
「mix/雑種/混血」とは、交雑(異なる種や異なる亜種の関係にある動物が繁殖すること)によって生まれます。
遺伝子汚染{人間活動の影響により近縁個体群と交雑(浸透性交雑)し、生物の遺伝子構成が変化する現象}により、遺伝子の多様性が崩されることが一種の環境破壊と考え批判される方がいらっしゃいます。
犬種などでは、先人が築き上げた固定種の血統を交雑により無闇に破壊してしまうと否定される方がおります。
犬のmixを否定するのであれば、同様の反対理由から人間のmix(混血児)も否定されるのでしょうか?
「人種」とは、現生人類(ホモ・サピエンス)を形態学的な特徴の毛髪、目、皮膚の色、骨格など外部から容易に観察できる形質(一般に白人、黒人、アジア人など、肌の色や顔立ちについての伝統的な人種観念に基づく差別)や、白人であってもアングロ・サクソン人やゲルマン人等の民族を下位分類(分類学)する概念です。
人種により遺伝子の構成(遺伝子プール)が微妙に異なりますが、現生する全ての人種を含む現生人類はヒト科ヒト亜科ヒト属のホモ・サピエンスただ一種なので、生物学的には同種であり、如何なる人種・民族にあっても交配可能となります。
ただ人種問題について、欧米各国では人種差別と民族差別をひとくくりにしてレイシズム(racism)と呼び、ユネスコにより195 1年に出された「人種と人種差別の本質に関する声明」で、「人種の優劣には根拠がない。」 「人種混交が生物学的に不利な結果をもたらすという証拠もない。」とのコメントをあらわさなければ成らぬ程深い問題をはらんでいます。
その中で、私たち日本人は人種差別(一部アジア諸国等を劣視する向きは否定出来ませんが)には疎いどころかファッションモデルやミュージシャンたちの混血(ハーフ、クオーター)を崇める風潮すら持っている民族です。
表立って、遺伝子汚染云々、雑種の否定云々を公言している方も見られません。
ヒトでは問題ないが、犬の混交は問題がある(悪いこと)とは到底考えられません。
交雑により新しい種の誕生につながるという進化論の説もあります。
「遺伝子汚染」と言わず、中立性を目指した遺伝子移入(introgression)という呼び方も提唱されております。
「雑種強勢(ヘテローシス)」と言って、両親よりも能力が優れており強健性(病気の掛かりにくさなど)や発育、繁殖力(早熟性・多産性・哺乳能力)に顕著な差が現れると仰る方もおられます。
また、mix犬では純血種に比べ生体販売価格が下がります。
これは、ものが悪いから価格が低いわけでもなく、単純に市場原理(需要と供給のバランス)によるものです。
ワンコを飼育するには全く問題の無いお宅でも、数万円を超える生体価格の支払いには躊躇される場合もありましょう。
別に純血種にこだわりドッグ・ショーを楽しむわけでもなく、生活の可愛いパートナーとしてならばmix犬で十分という考え方も理解できます。
動物学では種{種の学名(種名)は属名+種小名で構成される}の下位区分は「亜種」のみとなります。
すべてのイヌ(イエイヌ)は、すべて同じ1つの亜種Canis lupus familiaris (古い分類では種Canis familiaris)に分類されます。
人間によって作り出されたさまざまな品種(犬種)は、すべてイエイヌという亜種(ないし種)の中の変種に過ぎません。
「mix/雑種/混血」について是非、善悪、中傷を押し付け合うことは止めませんか。
純血種と言われる様々な犬種の尊さは存じているつもりですし、ブリーダー(英語:breeder、日本語:育種家)とは、動物の繁殖及び改良に従事する者と承知しております。
私たちは、どなたにも可愛がっていいただけるサイズやルックス、人にも他の動物に対しても攻撃性など微塵も無いフレンドリーで優しい性格、疾病に掛かりにくく健康な体を持ったワンコのブリーディングを行っていきたい思っております。
2009.5/17
最近、mix(ミックス、ハーフ、クオーター、雑種、デザイナーズドッグ、デザイナードッグ、デザインドッグ等
とも呼ばれます)犬を再勉強するに当たり非常に不快であり、納得いかず、不満を抱く事があります。
・「純血種」は「雑種」に比べて体力も免疫力も非常に劣る。
・「純血種」の寿命は「雑種」に比べて驚くほど短い。
・「ミックス犬」は「純血種」以上に免疫力が低く、寿命も短く、それどころか身体に何らかの異常を持っ
て生まれてくる子が非常に多い。
・「ミックス犬」は先天的奇形が出ることも多く…
・掛け合わせるべきではない同士を交配させると、奇形や先天疾患などが見られる犬が誕生することが
あります。
この様に、冊子やwebで公言されている方が非常に多く感じます。
なぜでしょうか?
どの様な遺伝子配列が起こると寿命が短くなったり、遺伝子不良や奇形な子が生まれるのでしょうか?
致死遺伝子は、猫(マンクス)の無尾同士のホモ接合型(MM)、馬(白毛)のホモ接合型(WW)、キイロハツカネズミのホモ接合型(YY)等が広く知られておりますが、犬ではダップル・コートを発生させるマール(Male)以外は聞きません。
私達もmix犬を産ませ、嫁がせております。
ブリーダーとしての責任を弁えているつもりです。
万一、その様に致死遺伝子や奇形が発生する遺伝子があるのなら二度と繁殖させてもいけませんし、もっと公に情報を公開しなくてはなりません。
噂に流され、間違えた情報を公開することは、mix犬を否定する事になりますし、飼い主さんの無知を笑う事にもなりますし、繁殖者を馬鹿にする事になります。
即刻その様な情報を垂れ流すことを止めるか、確証があるのなら情報源を示し可能な限り広く告知しなくてはなりません。
・犬種の特性や遺伝疾患を踏まえず、可愛さや面白さのために安易なブリーディングを煽るような行為
は、犬の為にやめて頂きたい。
仰るとおりです。
純血種、mixを問わず、遺伝性疾患の恐ろしさを認識せずに繁殖をしてはなりません。
人の楽しみや趣味、儲けの為に後世に残る疾患を繋ぐ行為は避けるべきです。
危険な可能性を持ったまま強行に繁殖するほどの必要性や美しさは感じません。
ただ、愛玩犬と言われる「トイ」は、家庭犬や伴侶、愛玩目的の為に作出され、純血種として固定化された事を忘れてはいけません。
家庭で可愛く飼える事が出来れば良い犬種なのです。
いずれmix犬から固定化された新品種が誕生しても不思議はありません。
・「ミックス犬は丈夫」というブリーダーは少なくありませんが、しかし、それは科学的根拠がないと否定的
に述べる専門家も少なくありません。
・「ミックス犬は両親の良い遺伝子を引き継ぎやすいため体が丈夫、病気になりにくい」という点も人気
の秘密。
あえてmixは強いと言うとしたら、血統が混じることにより遺伝情報も増え、種の多様性が広がることでしょうか。
それとて、新しい遺伝疾患が発生する可能性もゼロではありませんから一概には言い切れないでしょう。
もしくは「雑種強勢(ヘテローシス)」と言って、両親よりも能力が優れており強健性(病気の掛かりにくさなど)や発育、繁殖力(早熟性・多産性・哺乳能力)に顕著な差が現れると言います。
ただし、こちらも発現機構は不明な点が多く、遺伝子と細胞質との働きが関与しているだろうと推測されております。
分かりやすく例を出しますと、純粋な純血種は弱いのですが、商業種(稲や野菜等の植物、蚕、牛や豚や鶏等の産業動物 )は病に強く効率の良い品種作出の為に積極的な交雑がなされております。
・ほとんど吠えないのがいいということで購入に踏みきる人もいる。
・「世界にたった一匹しかいない」犬というのも愛犬家の心をくすぐる。
これはmix犬に対する肯定的意見であり、繁殖者や販売(ペットショップ)の都合でしょうが、遺伝学的にも経験的にも確認していませんし、理解できません。
世界に1匹だけしかいないなんてことも、特に両親が純血種ならば遺伝上は同じ系統となりますのでありえない話。
兄弟犬と違う犬種の訳が無いです。
1代雑種(F1)と言う新しい犬種と考えても良いレベルではないでしょうか。
私達はmix犬のブリーディングや遺伝、飼育に付いて、純血種よりも優れているというつもりも肯定するつもりもありませんが、同じ私達の大切なパートナーであるワンコとして言われ無き差別、非難、中傷に断固とした反論を唱えます。
純血種であろうと、雑種であろうと、私にはどちらも可愛いワンコに他なりません。
2008.3/28
mix犬の定義
純血種同士の交配による1代雑種(F1/ハーフ犬とも言われる)
1代雑種(F1)同士からの交配による2代雑種(F2/クオーター犬とも言われる)
片側が純血種、片側が雑種との交配種
両親共にどの様な血統か分からぬ同士の交配種
世論
種としての多様性、遺伝子の組み合わせで新しい可能性、遺伝性疾患の排除等を考え、肯定する人々もおります。
又、純血種を尊ぶ人々からは非難(特にブリーディングを行った繁殖者)を受ける場合があります。
今流行の純血種を謳ったワンコ達も、何世代か前は別の犬種同士を掛け合わせたmix犬でした。
種が発生した時からの固有種などありません。
現在もてはやされている純血種も、ブリーダーが目的(狩猟、門番、警護、牧羊、愛玩等)に応じた体形や性格、気質などを持った子を数世代に渡り掛け合わせ、固定化させただけなのです。
血統が固定化されたワンコを純血種とし、血統書の申請団体(KC、AKC、JKC等)がそれを認めているだけ。
mixだからと否定したり、馬鹿にするような発言は避けるべきと考えます。
考え(ブリーディング・ポリシー)を持って作出しているのでしたら、そのブリーダーを否定することもしたくはありません。
だからと言ってmix犬を絶賛するつもりもありません。
目的を持って固定化された純血種の意味を拒否するつもりがありません。
ブリーダーが目的(狩猟、門番、警護、牧羊、愛玩等)を持ち、目的とする任務に適する体形、性格、気質など兼ね備えた子を数世代に渡り掛け合わせ、固定化したのですから。
又、あえて新しい種を作る目論見も持っていませんので。
mix犬は、血的に優れているとか、強いと言う方がおられます。
掛け合わせの結果、劣性遺伝子がなくなっていく可能性が強いからでしょう。
致死遺伝子や遺伝性疾患の子がなくなっていく可能性が大きくなるからでしょう。
しかし交配相手によっては今まで持っていなかった別の遺伝子が血統に入る可能性も高くなります。
一概に延べることは避けるべきと思います。
F1と言われる1代雑種から、そのこの子から子へ…
そうなると正直言って遺伝子座を推測することは難しくなってしまいます。
カラー、サイズ、毛質、性格、気質なども変わるはずです。
両親が純血種(血統書付)からのmix犬を対象にお話致します。
問い 犬種の組み合わせやカラーの組み合わせにより、先天的な異常のあるワンコが 生まれることは
ないのか?
答え 犬種の組み合わせで発生する遺伝性疾患や異常は考えられません。
たとえば、チワワとパグを掛け合わせると高い確率で先天性異常な子が生まれる確率が上がると言うことですよね。
長くに渡り、ペットショップを営み、ブリーディングや繁殖の情報に触れていましたが聞いたことはありません。
文献にもないと思います。
カラーの組み合わせからの先天性疾患では可能性はあります。
ダックスフンドのダブル・ダップル(両親がダップル)と同様に、ダックスフンド(ダップル)、シェットランドシープドッグ(ブルーマール)、コリー(ブルーマール)、ボーダーコリー(ブルーマール)、ウェルッシュ・コーギー(ブルーマール)、チワワ(ブルーマール)等のダップル(マール)同士は異犬種間掛け合わせでも視聴覚や内臓、脳神経等に重大な障害を持つ子が生まれる確立が7〜8割となってしまうでしょう。
同様に、異犬種間であろうともパイボールの両親の場合は同様な障害を持つ赤ちゃんが生まれる確率が高くなります。
あとは、劣性遺伝子の多い親同士の交配や、希釈系(cchやd)カラーの数代に渡る掛け合わせで先天性疾患の可能性が上がるでしょう。
上記のダブル・ダップルやダブル・パイボールド程ではありませんが。
問い たとえば、チワワとダックスのクロス・ブリード(交雑)で、白いわんちゃんが生まれるのは、危険なブ
リーディングだったのでしょうか?
答え 両親の血統(カラー遺伝子)によって違ってきます。
両親の血統書や目視していないので断言できませんが、ダブル・ダップルやダブル・パイボールドでもなければ怖いことはないでしょう。
簡単にこの組み合わせからアルビノの作出もないでしょうし、ユーメラニン因子の異常減少ならば黒色部位(鼻、アイライン、パット、爪等)の白色化が起こっているはずです。
私どものホームページにも掲載しているダックスフンドのホワイトクリーム。
このたび、株式会社芸文社より「ハーフ犬図鑑」が発刊されます。
mix(ハーフ)犬の認知が上がれば面白いですね。
パピーズママからも遺伝に関してコメントを送ってあります。
是非、ご覧下さい。
2008.3/4
他犬舎様とお比べ頂き、違いをお分かり下さい。