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2018年4月2日
歯医者さんの愛
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もう14年前になります。西宮市から依頼があり「優しさというビタミン愛」という冊子を出しました。その中にある「歯医者さんの愛」を紹介したいと思います。


    「歯医者さん」の愛

歯医者さんで「親知らず」を抜きました。
ミシッという音と共に大きな「親知らず」が抜けました。
大きな穴が残りました。

帰るとき、
「もし痛くなったら、この薬を飲んでくださいね」
その言葉がかえって、不安感をよびました。

夜の10時、一本の電話がかかってきました。
「どう?痛くない?大丈夫?」
「はい、大丈夫です。わざわざありがとうございました」
「でももし痛くなったら、夜中でも電話くださいね。
すぐに診てあげるから・・・」
その言葉が私に安心感をあたえました。

あれから20年。引越しもしました。
でも歯が痛くなったら、今も電車に乗って
その歯医者さんに通っています。

(2004年2月「優しさというビタミン愛」第1集より)


今日もこの歯医者さんへ電車に乗って行ってきました。
28歳の時からですので、今年でもう34年になります。
私は62歳、歯医者さんは72歳になりました。
すっかり仲よしで、治療よりしゃべっている時間の方が長い時も
あります(笑)でもこれは私だけではありません。他の患者さんも
よくしゃべります。みんなこの歯医者さんが大好きなのです。

予約制です。でも痛い時はいつでも診てくれます。
「行ってもいいんですか?」
「だって痛いんでしょ。すぐにおいで」
と痛い時ほど、すぐに診てくれます。
他の歯科では「予約は2週間後です」と平気で言われます。

受付は、学生さんなのですが、いつも笑顔で優しいのです。
ちょっとした声かけに癒されるのです。
みんなええ子なんです。
きっと歯医者さんがそういう子を好んで選んでいるのでしょう(笑)
というかそういう教育をしているのでしょう。


私はそんな歯医者さんが大好きで、美味しいケーキを見つけると
買って持っていき、先生と学生さんに食べてもらいます。
この前は、きれいな花をみつけたので持っていきました。
そんなふうについ「買っていきたくなる」歯医者さんなのです。


今日は治療が終わると患者は私一人でした。(最後かな)
すると先生が
「仲島さん、これ貰い物だけど、持って帰ってね」
と紙袋をいただきました。
ずっしり重い紙袋の中には
りんご、バナナ、みかん、生卵1パック、煎餅、そして巻きずし
が入っていました。

これはきっと今日一日で、患者さんからもらったものだ とすぐに
わかりました。
患者さんが「これ、先生食べてね」と持ってきたのでしょう。
そのお裾分けです。

離島の小さな学校に赴任した先生に、村のお母さんやおばあちゃんが
「先生、これ畑で取れた新鮮な野菜だよ」と持ってきてくれることが
ありますが、そんなシーンが頭に浮かびました。

この歯医者さんは、そんな存在なのです。
地域に根付いて40年近く、みんなに愛されてきた先生なのです。


その歯医者さんが、今危機なのです。
入っている施設の都合で、夏までに出ていかなくてはいけなくなった
そうなのです。
「こういう機会に歯科医院をたたもうかな。もう歳だし・・」
そんな弱気なこと言う先生をみんなで
「やめたらアカン、絶対やめたらアカン」
先生本人も元気なので
「まだやりたい気持ちはあるんだけど、場所がないから・・」
「場所はみんなで探すから、やめないで〜。やめたらアカン」
ホンマに不動産屋さんにあたろうかと考えている私です。


私は先生に
「先生は『弱い人を助ける小さな街の歯科医』としてテレビに出る人や」
「20年後には『92歳の現役歯科医』として情熱大陸で紹介される人や」
と言い続けています。

「先生、やめたらアカン」


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Posted by naka602 at 20:30 | TrackBack (0)
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