カラーブリードについて。


特にダックスフンドのクリームコートについて様々な情報に耳を傾けますと、「クリームは弱い」とか、
「クリーム同士の交配(ブリーディング)は避けるべき」などと頻繁に聞くことが出来ます。

私自身、先達からの至極当然のこととして今まで疑問も持たず盲目的に信じ、それに添った発言も
してまいりました。
しかし、それは本当に事実なのでしょうか?

希釈遺伝子であるcchがフェオメラニン色素に作用し、レッド・コートをゴールド若しくはクリームコートを作出することは理解できます。

アルビノでしたら、網膜上での光の受容が不十分なことによる視覚障害や、皮膚の紫外線に対する耐性が極めて低いことによる皮膚がん発病のリスクが高いなど危険性は分かります。

・では、cchの掛け合わせを続けることによってメラニン色素は減少し続けるのでしょうか?
・と言うことは、クリームコートのブリーディングを続けるとアルビノを産むことになるのでしょうか?
・ユーメラミン色素に作用しチョコレートコートを作るB(Brown)ブラウン遺伝子を続けてブリーディング
 することで健康には問題が無いのでしょうか? 
・クリームやブルー、イザベラ等の希釈遺伝子を持つ子は虚弱なのでしょうか?
※ダイリューション遺伝子を持つ犬種の中でColor Dilution Alopecia(CDA)と呼ばれる皮膚
 疾患を発症させる子がいることは承知しております。

調べてみたのですが、クリームコートのブリーディングを続けることによるアルビノの作出データは得られませんでした。
クリームコートなどの希釈遺伝子を持つ犬種は「虚弱体質」や「病弱」になるなどの資料も得られませんでした。

となりますと、医学的見地からもクリームコートなどの希釈遺伝子を持つ犬種も他毛色に比べ特に肉体的・病的に虚弱であることは言えず、同色犬とのブリーディングも忌避することもないと考えることが当然であると言える気がします。

そもそも、ダックスフンドのブリーディングではクリームコートのブリーディングに関し注意を促される方が多いのですが、同じくクリームコートがいるポメラニアンやチワワでもクリームコート同士の交配は良くないと言えるのでしょうか?
少しでもメラニン色素が多い犬種を是と言うのならば、マルチーズやスピッツなどのホワイトコートしかない犬種は健康について危険性を持つこととなるのでしょうか?

「メラニン色素が多ければ健康である」、「メラニン色素が少なければ虚弱である」となるなら、作出する犬の健康に最も気を使うべきブリーダーはブラックソリッド(黒毛)の犬しか繁殖するべきではないことになります。

健康を害する可能性の高いカラーを求めたブリーディングは計画交配であるほど罪深いことになりえます。

これは犬の話ですが、人間に置き換えると大きな問題にもなりかねません。
金髪・青瞳の白人は、生き物として虚弱なこととなります。
遺伝学上、健康に関し優良な人種は、 黒人 > 黄色人 > 白人 の図式が出来上がってしまいます。
遺伝学での人種差別や劣等人種が作られることになってしまいます。

頭髪がプラチナブロンドやゴールデンブロンド、虹彩の色がブルーである北欧系白人と、有色人種との死亡率や平均寿命なども見比べてみました。
やはり、目立った差異は見受けられませんでした。
※生活環境、衛生環境、医療環境、国籍、収入等での差異が圧倒的に大きく、メラニン色素量の多少による人種間の差異は推測すらできませんでした。

ダックスフンドは他犬種よりもカラー遺伝子についての研究がなされており、マール(ダップル)やスポット(パイボールド)等の遺伝子による危険性が広く認識されております。
そのことが伝わる中で、クリームコートも健康に危険性を持っているとあやふやな考えが間違えて広まってしまったのならば良いのですが。

先達たちからの教えですから、十分注意を払い、あまりにも色素低下を招くようなブリーディングは今後も継続して避けますが、正しく検証できるまで今までの「クリームコートの継続した掛け合わせは健康を害する」等の私の発言は撤回させていただきます。

詳しく理解されている方がおられましたら是非ご教授願いたいと存じます。
インターネット上で検証できるサイトなどお教え頂ければ幸いです。

                                                  2009.8/1 0


最近、カラーブリードについて色々な話を聞きます。

まず、カラーブリードとは何でしょうか?
遺伝学に基づいて、作出したい毛色の仔犬をブリーディングすること。

クリームについてご存知ですか?

美しい色です。
日本人はこの様な色合いが好きですよね。
私達のメインのカラーブリーディングはクリームと考えております。

その分、とても難しい色であることもご承知下さい。

クリームを発生させるカラー遺伝子は、Color(Albino)Locus/カラー(アルビノ)ルーカス とされております。
優性遺伝子では、C
劣性遺伝子では、cch   と表現されます。

私達は、ゴールド、クリームをそれぞれ5種類のカラーに分けて区別をします。

クリアゴールド        a-    +  Ccch  +  ee   輝く澄んだ感じのゴールド。
ゴールド          ayay + Ccch  +  E-   少し濃い目のゴールド。
ピュアゴールド        ayay  +  Ccch  +  ee   薄く淡い感じのゴールド。
シェイジェットゴールド    ayat  + Ccch  +  E-   黒い差し毛の入ったゴールド。
ブラック&ゴールド     atat  + Ccch  +  E-    タンマークがゴールド。
  
クリアクリーム         a-    +  cchcch +  ee  輝く澄んだ感じのクリーム。
クリーム           ayay  +  cchcch +  E-  少し濃い目のクリーム。
ピュアクリーム        ayay   +  cchcch  + ee  薄く淡い感じのクリーム。
シェイジェットクリーム    ayat   +  cchcch +  E-  黒い差し毛の入ったクリーム。
ブラック&クリーム     atat   +  cchcch +  E-  タンマークがクリーム。
 
伝学上の区別ですから、言葉で発色を言い表すことは難しいです。
同じ遺伝子座でも個体によって発色が異なります。(個性と言うことになります)
カラー遺伝学は研究者によって捉え方が様々で確定されておりません。(これは、パピーズママ流と申しましょうか)

当然のこと、b(ブラウンシリーズ)、k(ブラックシリーズ)、d(ダイリューションシリーズ)、m(マールシリーズ)等がホモ・ヘテロ結合している事によっても発色の変化はあります。
計画交配によって望む毛色を作出することが、クリームコートのカラーブリーディングの最も面白いことではないでしょうか。

注意するべき事柄も多くあります。

クリームの作出を追い求め続け、淡い色のみを掛け合わせて行きますとアルビノカラーの子が産まれる危険性が高くなります。
致死遺伝子として流産してしまう場合が多いのですが、稀に命を持ってしまう場合もございます。
真っ白な毛色に、お鼻、パット、爪、おヒゲも白一色。
瞳は血液の赤色。
視聴覚、内臓疾患、生殖欠陥、知覚障害…
どの様な障害を持っていても不思議でない短命を約束された子が産まれてしまいます。

美しいクリームを求めるあまり、色素の薄い子同士を掛け合わせ続けた結果、お鼻やアイラインの抜けたりレバー色になってしまう子も現れます。
最も多い欠陥が、この鼻抜けしてしまった子でしょう。
計画交配も行えない繁殖屋によって作出されてしまいます。

ダップルが入ってしまっても一般の方には色合いの見分けがつきません。
怖い事は次世代に更にダップルが掛かるダブルダップル。
7〜9割は視聴覚や内臓疾患等の重篤な障害を持つ子になってしまいます。
この場合、ミスカラーとしてホワイトポイントが入った場合、非常に間違いやすいので区別は必要です。

購入されるは一般の方が多いのです。
ブリーダー、パピーセーラーは、血統と交配の遺伝情報を間違いないものとし、正確な情報を的確に購入者に伝える必要があります。

他、チョコレートの子との掛け合わせは止めましょう。
ヘテロ結合の場合でも、発現型は僅かばかりでも黒を薄めるチョコレートの発色が表れ、お鼻がボケた感じとなるはずです。

パイボールドとの交配も、ダップルと同じ理由で発現の見分けがつきにくく危険です。

遺伝子座を研究し、それでも発色に違いが現れ、追い続けると欠陥が現れる…
それ程難しいのですが、ピュアクリームの美しさと言ったら!
日差しに輝くホワイトクリームなんて神がかり的な色と言えます。
いつかはホワイトコートのダックスフンドも現れるはずと信じております。

本当に素晴らしいカラーです。
研究を重ね、ブリーダーとしての自信を持てる子のブリーディングを目指したいものです。


カラー遺伝子についてご質問お受けします。
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同じ愛犬家として、知っている限りお答え致します。
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