fjrigjwwe9r2mt_entry:entry_text 土曜夜のNHKドラマ「フルスイング」は、元プロ野球のコーチから高校教師に転じた高畠導宏さんをモデルにした物語なのですが、その高畠さんの言葉に心がふるえました。 「コーチの信念は 『教えない』 ことです。 大きな耳、小さな口、優しい目で待つんですわ」
今から25年前、私は自分の教育の基本を教えて頂いた土谷正規先生と運命的な出会いをしました。土谷先生はこう話されました。 「子どもの躍動を望むなら、『教えない』ことです。 教師が指示、教示をして子どもが『出来た』と喜んでいる姿は、躍動ではありません。 指導の半分は、がまんして待つことです。 あとの半分は子どもの中にとび込むことです」 私は教師になった頃、自分の知識や技術を子どもたちにいっぱい教えたいと思っていたし、事実教えまくっていました。そんな教え魔の私が、土谷先生と出会い、変わりました。5年生のバスケットの授業をする時、土谷先生から私はこう言われました。 「教えたらダメだ。がまんするのです。まあ、だまされたと思って 『教えないバスケット』の授業 をしてごらんなさい」 こうして、私の 「教えないバスケット」 が始まりました。私は中高大と10年間バスケットをしてきた経験者です。だからバスケットを「教えない」ことは、本当にしんどかったです。でも、でも、でも 「待つ」 と本当に子どもたちが変わっていったのです。一番運動の苦手な子の目が輝いていき、一番運動の得意な子がイキイキと動き回るのです。みんながつながり、躍動していきました。そしてそれは体育だけにとどまらず、算数の時間も国語の時間も、子ども同士が支え合う学習をやり始めたのです。 それから2年後、私はある研究会の全国大会で、「教えない体育」 というテーマで発表しました。いっぱい批判されました。助言の大学教授に 「考えられない」 とも言われました。当時はそれに私はうまく反論は出来ませんでしたが、目の前の子どもが生き生きしているのですからナント言われようとも気にはなりませんでした。やったことのない人にはわからないかもしれませんが、やってみると実感するのです、子どもが躍動するのを・・・・。 「教えない」・・・土谷先生はそう言いました。でも 「動かない」 とは言っていないのです。土谷先生は常々 「かまぼこ先生になってはいけない」 とも言われていました。かまぼこのように黒板の板にへばりついて子どもを見ていては、何も見えない。黒板の板から離れて子どものそばに寄り添い、その子が今何を考え、何に悩み、何をしたいのかを理解してやることが大事だ、と私たちに熱っぽく語られていました。
そんな土谷先生や、高畠先生には、まだまだ達していない私ですが、 「教えない」 ということを、若い先生たちに 「教えたい」 と思っています。
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