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2009年1月23日
太郎が恋をする頃までには・・・
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「太郎が恋をする頃までには・・・」 作・栗原美和子 幻冬舎 1575円
 
とにかく凄い小説でした。 あっという間に読んでしまいました。
 
私の脳裏にかつて読んだ島崎藤村の「破戒」がよぎる。主人公の姿が今、目の前で床の1点を見つめている太郎の姿と重なる。小説の世界に涙した私が、今現実の世界に涙している。(文中より)
生まれて初めて出逢った人生を賭けて愛せる人。しかし、日本にこびりついた長く暗い歴史が二人の前に立ちはだかる。男の壮絶な人生を、女は受け止められるのか。衝撃の長編恋愛小説。  ・・・・・そんな帯がついている本です。
 
 この小説は、元フジテレビキャスターの栗原美和子さんが「本当の自分を描きたい」と自分の生き様を書いた「私小説」です。内容は、被差別部落出身の猿回し芸人村崎太郎氏との結婚に至る真実をもとに書かれたものです。フィクションですが、ノンフィクションともいえる小説なのです。
 この本を評価する人、しない人、さまざまです。でもここに書かれている話は紛れもない事実なのです。これが部落差別の現実なのです。まだまだこんな差別が残されているのです。
 実際、栗原さんは村崎さんとの結婚で母親の猛反対を受けます。今どきナンセンスと思っていたのに、部落差別なんてもうないと思っていたのに・・・藤村の「破戒」の世界に直面するのです。それは今から、つい2年ほど前のことなのです。
 
 昨年12月に人権フォーラムでご一緒した川口泰司さん(山口県人権センター)の友人も結婚に関して、大好きだったおじいちゃんの猛反対を受けます。そのおじいちゃんが亡くなった時、友人は 「これで差別をする人が一人減ったんだ」 と大好きなおじいちゃんの死を複雑な想いで送るのです。なんて悲しくつらい出来事なのでしょう。
この事実も、ほんの数年前のことです。
 
部落差別はまだ解決していないのです。
 
寝た子を起こすな、逆差別、同和利権、えせ同和・・・・・いろんな噂や事件が人を混乱させます。
川口泰司さん曰く 「偏見は圧倒的な情報不足だ」
しっかり勉強して、しっかり事実をみつめていきたいものです。
 
あの同対審(1965年)の頃、村崎太郎氏が生まれます。
太郎氏の両親は、そんな赤子を抱いて、差別反対のデモに参加します。
その時、この言葉が生まれました。
 
太郎が恋をする頃までには・・・・・差別のない世の中が訪れますように
太郎が恋をする頃までには・・・・・すべての人間が平等に扱われますように
太郎が恋をする頃までには・・・・・様々な問題が解決されますように
 
部落差別はまだ解消していないのです。
 
 
(※この小説では、猛反対に遭い、結局離婚するのですが、実際には栗原さんと村崎さんは別れていません。そして反対していたお母さんの心も和らいできています)
 
 
 
 

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Posted by naka602 at 07:55 | TrackBack (0)
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