« 前のエントリー | Main | 次のエントリー » | TrackBack |


2019年11月28日
他人の握ったおにぎりは食べられない
2019年の横浜市立大学医学部入試の小論文の問題が話題になっているようです。おにぎりのことです。
「あなたは高校の教師です。ある日、授業の一環として稲刈り体験作業があり、へき地の農家に出かけた。稲刈り体験の後、農家のおばあさんがクラスの生徒全員におにぎりを握ってくれた。しかし多くの生徒は他人の握ったおにぎりは食べられないとたくさん残してしまった」
問1、あなたはおにぎりを食べられない生徒に対してどのように指導しますか?
問2、あなたはこの事実をおばあさんにどのように伝えますか?

こんな小論文の課題があるんやと驚きましたが、実際に食べられない人が
多いのが今の世の中のようです。それは若い世代だけでなく、40代50代も
いるというのに、私は衝撃を受けました。

そしてさらに驚いたのが、子どもの実態です。
2018年ベネッセが、子どもを持つ保護者を対象にしたアンケートで
「お子さまはどのおにぎりなら食べられますか?」の質問に
・お母さんが握ったもの85.6%
・友人・知人が握ったもの45.8%  
という結果が出たそうです。
他人が握ったものは半数以上の子が食べられない。
そしてもっと驚いたのが、お母さんでも14.4%が食べられない。

えっなんで?
なんで〜〜〜?
こんな考えの私はもう古いのか、おかしいのか。
私なんか誰が握ってくれても食べますよ、何の気にもせずに。
そしてありがとう!美味しい!って言いますよ。

なかでも母のおにぎりは最高の味ですよ。
今でも舌が覚えていますからね。
私が握るおにぎりも母の味が基本になっています。

私は現場にいた時、給食で残ったご飯は、おにぎりにして子どもたちに
分けていました。おにぎりにするとみんな喜んで食べていました。
家から塩をもってきて、先生の愛情おにぎりやと言ってましたし、
韓国のりで巻くとみんな美味しい美味しいと韓国を身近に感じていました。
これも一つの授業だと思っていました。
だからいつも残食はいつも0でした。

この20年で世の中は変わってしまったのでしょうか。
いや、当時も嫌だった子もいたかもしれませんね。
気づかなかっただけかもしれませんね。
今だと保護者からクレームがつくのでしょうね。

あ〜あ。


ところで大学の小論文の解答ですが、これが正解というのは
ないようですが、こんな解答が望まれているようです。

★お忙し中、稲刈りの作業の体験をさせていただいた上に、とれたての米を
炊いて美味しいおにぎりをこしらえてくれた農家のおばあさんには、感謝
しなければなりません。しかし私は教師として、おにぎりを食べることを
生徒に強制しません。従来の社会常識、通年からは出されたおにぎりを食べ
るのが妥当と思えるかもしれません。しかし他人の握ったおにぎりを食べら
れない人は、この事例のように確実に存在します。他人の握ったおにぎりを
拒絶することは違和感のある行動と映るかもしれませんが、そういう人々の
権利を擁護することも教師の大切な役割だと私は考えます。

★おにぎりを食べられなかった生徒がいることを正直に言うことは人間と
して大切な姿勢です。しかし、食べられない生徒の数が多すぎます。
大半の生徒がおにぎりを残した旨を聞いた農家のおばあさんはどう思うで
しょうか。今どきの若者はそんなものだと割り切れるでしょうか。
いや、むしろ自分の手が汚いから、私の握ったおにぎりは嫌われたのだと
ショックを受けることでしょう。
どのような場合でも嘘は慎むべきでしょう。しかし「嘘も方便」ということ
もあります。クラスメイトの中には残ったおにぎりを全て平らげてしまう猛者
も複数いるでしょうし、私も一緒に食べても構いません。おばあさんには、
「とても美味しく皆で分担して喜んできれいに平らげました。ありがとうご
ざいました」と伝えるのではないかと思います。



Posted by naka602 at 17:58 | TrackBack (0)
TrackBack

この記事へトラックバックするには、このURLをお使いください:
https://www.bbweb-arena.com/trackback.asp?entry_id=117925