仔犬のお引渡時期、お留守居番、お子様・赤ちゃんとの同居についての考察


お引渡の日程(生後何日でお引渡できるか?)について。

我が家では、生後50〜60日でのお引渡日が良い時期であると考えております。
*極小(ティーカップサイズ)のチワワ、ヨークシャテリア、パピヨン、プードルなどは除く。

様々な意見があることも承知しております。
生後3ヶ月以上とか、半年は親と一緒にしておいた方が良いと言われる方もおられます。

今までのペットショップでは生後35〜45日程度にもかかわらず仔犬をショーケースに入れて展示販売しておりました。
生後35〜45日程度と言いますと人間の赤ちゃんに換算して2〜3才ほどではないでしょうか。
換算方法も色々ありますが、生後35〜45日ならば離乳食から赤ちゃん用のフードへ変わる頃でもあり、少しは上手に食べられるようになる頃でもあります。

あまりにも早いタイミングに親・兄弟から離してしまうと、情緒不安、コミュニケーションが苦手、社会性が身に付かない、α症候群になりやすい、無駄鳴きや噛み癖がでる、遊びや攻撃(噛むこと)に加減が出来なくなるなどと言われております。

これが生後50〜60日にもなりますと、人間では幼稚園児頃まで育っております。
仔犬の格別に愛らしい時期からこそ手元で育てる楽しみもございますし、大人に頼ったり甘えたりで保護者の存在が欠かせないこの頃から育てると、まだまだ親を頼る時期なので育ての親となることにより信頼感と絆は一層深まると考えます。

新しく改定されると思われる厚生省からの動物愛護管理法でも仔犬の引渡は8週齢を超えるものは問題なしとされるでしょう。
又、欧米の一般的な基準も同程度(生後50〜60日程度)満たしていると思っています。

小型犬と大型犬の差もございますし、同じ小型犬といってもパグとチワワでは赤ちゃんの育ち具合から大きさまで差が広いので一概には申せませんが。
生長具合を見て、虚弱体質や未熟児や生長不良でなく、犬種なりに順調に育ち、食欲もあり、排泄も順調ならば大丈夫だと思います。
専門知識と経験を積んだブリーダーの確認の元にですが。

逆に、数ヶ月間はママと一緒に過ごさせた方が良いという方もおりますが、私達は2ヶ月ほど(子犬の成長によりますが)でママから離す方が無難と考えています。

なぜなら、仔犬はママのオッパイをいつまでも吸おうと試みます。
ところが仔犬特有の小さいけれど尖って鋭い歯がオッパイに当たってしまうのです。
ママは痛がって仔犬を排除しようとますし、仔犬がしつこかったり、タイミングによっては少し攻撃的にすらなります。

自然の摂理と申しましょうか、子離れ・親離れのチャンスなのだと思っております。
子離れ・親離れのチャンスに恵まれず、そのまま一緒に育ってしまうとどうなるのでしょうか?
生後8〜12ヶ月には成犬と同じ様に生殖機能が発達しています。
近親交配が行われ、奇形や短命により種が滅びる原因ともなります。
太古の昔に犬族が発生し、乳歯が生える時期によっては淘汰や絶滅すらあったかもしれません。
自然の法則に則って、最も良い子離れ・親離れのタイミングがこの時期であり、これに合わせた飼育(親から仔犬を離す)をすべきと考えます。





お留守番について。

一人ぼっちにさせる事が可哀想と仰る方がいらっしゃいます。
お仕事に出掛けられたり、お買い物や遊びに行かれる際のお留守居番のことだと思います。

いつも一緒にいる必要があるなどとは思いません。
留守番は可哀想なので、その様にされる方には飼育する権利すらないなんて申しません。

留守番している姿をビデオカメラなどに写しておくと実際にはほとんどの間寝ているだけなのです♪

これも考え方の差だと思います。
ワンコは飼い主さんが自宅にいる限り全身全霊を込めて注意深く注目し、一瞬の隙もなく愛情を注いでくれます。

ある意味では、全く休む暇もなく神経を尖らしている状態なのかもしれません。

一人ぼっちの留守番の時間が持てれば、その間はゆっくりくつろぎ、休む事が出来ます。

文献によってまちまちなのですが、ワンコの睡眠時間は12〜18時間(仔犬ならば15〜2 0時間)とも言われております。

留守番は孤独な時間が辛いのではなく、自分だけの時間をのんびり休める休暇とお考えになられればいかがでしょうか。

案外、ワンコ達はお留守番を楽しんでいるように感じます。
自由にお昼寝は出来ますし、帰られた皆さんからは「良い子」と褒められますし、久しぶり(たとえ数時間であろうとも)に会えた貴方の声が聞こえ、お顔が見れた喜びに包まれるのですから!





お子様のいるご家庭について。

「我が家には小さい子がいるのですが…」
「仔犬と一緒に育ててはいけませんか?」
「仔犬を譲ってはいただけませんか?」

この様なお問合せを頂く場合がございます。

全く問題ございません!
むしろ大喜びで嫁がせたいと思います。

お子様はとても喜んでくれるでしょう。
か弱い小動物を慈しまれることは、お子様の情操教育に非常に良いと言われております。
小さく、か弱いワンコと暮らすことで、自分よりも弱いものを大切にする優しさが生まれます。
力の加減を覚え、感情のままにぶつかるようなこともなくなります。
思いやりを持ち、寿命の短いワンコとの繋がりから命の大切さも覚えます。

ワンコも幸せを感じてくれます。
人が大好きなのです。
そして、なによりも飼い主さんが大好きなのです。
きちんと育ったワンコ(α症候群や極度なシャイなどのない子)が前提ですが。
女の子(雌犬)なら、子供に対して母性まで生まれ、慈しみ、育ててくれると言います。
男の子(雄犬)なら、子供を守り、保護し、信頼関係を持って接してくれると言います。
お年寄り、赤ちゃん、性別など全く関係なく、フレンドリーに、愛情を深く与えてくれます。

動物由来感染症という言葉があります。
動物由来感染症とは、動物から人間、人間から動物へ移る感染症を示します。
「人畜共通感染症」「人獣共通感染症」「ズーノーシス」と表す場合もあるようです。

伝播(感染症が移ること)は、直接伝播(咬傷、なめられる、引っ掻き傷、排泄物、咳・くしゃみ)と間接伝播(水系汚染や土壌汚染による環境媒介、ノミ、ダニ、カ、シラミの吸血等かにのベクター媒介、動物性食品の摂取)の2経路に別けられます。

野生動物、都市型野生動物、学校動物、家畜、魚介類、展示動物、実験動物からも感染するケースがございますが、ペットからの感染も多くの事例があります。

ブルセラ症、レプトスピラ症、皮膚糸条菌症、犬・猫回虫症、パスツレラ症、瓜実条虫症、エキノコックス症、日本国内では撲滅できましたが狂犬病などがあります。

日常気をつけること。
・過剰なふれあいは避けましょう。(Kiss、口移しの餌やり、スプーンや箸の共有)
・動物に触ったら必ず手を洗いましょう。
・外出から帰ったら必ず手を洗いましょう。(特に砂場や公園で遊んだら)
・ワンコの身の回りはキレイにしてあげましょう。
・他所のワンコと遊んだ後は衛生管理(洗ったり、拭いたり)に心配りしましょう。
・糞尿は速やかに処理しましょう。
・海外で犬(哺乳類)に触れないようにしましょう。(狂犬病が流行っている地域も多いのです)
・ワンコも定期的に検診を受け健康に注意しましょう。
・体に不調を感じたら早めに診察してもらいましょう。

過剰に恐れる必要はありませんが、衛生管理に気をつけ、人もワンコも健康のために注意を払うべきです。

又、ワンコのフケや抜け毛などからアレルギーを起こしてしまうケースが最近非常に目にするようになりました。
子供の為に、家族として大切に育ててきたワンコを里親などに出さなくてはならなくなります。
子供にとっても、ワンコにとっても大きな悲劇です。
お子様やご家族の皆様の動物アレルギーを計るためにも、家族に迎えようと考えられましたら出来るだけ多くのワンコに触れて欲しいと思います。





お年寄りから妊婦さんに対し「赤ちゃんが生まれる前に、現在育てている犬を捨てなさい」
と辛く切ない言葉を投げられたと、泣きながらお電話を頂いた事がございます。

ご両親、ご親戚、ご近所の高齢者からの言葉に多く見受けられます。

昔の言い伝えとして「犬が新しく生まれる赤ちゃんに愛情が注がれるので嫉妬する」「犬の抜け毛で赤ちゃんが肺炎になる」「犬の嫉妬心から赤ちゃんが呪われる」「赤ちゃんのミルクの匂いに釣られた犬が赤ちゃんの口元に寝そべり窒息させられる」とか…

ただの迷信・言い伝えであり、学術的・医学的根拠等全くございません。
そんなもので捨てられるワンコは至極迷惑なだけであり、将来に大切なワンコを捨てたのは自分の為だったと言われた子は生涯思いに苦しむことになりましょう。

それどころか、赤ちゃんの異変(のどにミルクを詰まらせた)に気がつき知らせてくれたとか、赤ちゃんをあやしてくれていたとか、這いずる赤ちゃんを危険物から遠のかせたなど、ワンコの母性から赤ちゃんを守ってくれた話こそ掲載しきれぬほど数多くございます。

無意味な迷信から、愛情を注いだ家族の一員であるワンコを手放すなど一切考えないで頂きたいと思います。

                                    2008年7月9日

パグ・イタグレ
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