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著書(My Books)
 
『Swift:グローバル金融ネットワークの全貌』

 東洋経済新報社
2024年11月

中島真志(単著)


 
 本書は、「Swift」の機能や仕組み、そしてその変貌や変革について幅広く論じた1冊である。

 Swiftは、金融機関の金融取引の関するメッセージ通信を国際的なネットワークによって提供する組織である。

 金融業界に対して、これだけの規模と内容の通信サービスを提供しているのは、Swiftが唯一の存在であり、
このため、Swiftは国際決銀行によって、金融業界に対する「極めて重要なサービス・プロバイダー」として認定されている。

目次は、以下の通り。

********************************

1部:『Swiftの基礎的理解』

1章:「Swiftの概要」

2章:「Swiftの設立と発展の経緯」

3章:「Swiftの組織とガバナンス」

2部:『Swiftの仕組みとメッセージング・サービス』

4章:「Swiftのネットワークとアクセス方法」

5章:「Swiftのメッセージング・サービス」

6章:「Swiftのメッセージ標準」

7章:「Swiftメッセージに使われるコード体系」

3部:『Swiftの業務の広がり』

8章:「証券業務におけるSwiftの利用」

9章:「市場インフラにおけるSwiftの利用」

10章:「事業法人によるSwiftの利用」

4部:『Swiftの変革』

11章:「国際送金の改善に向けたSwiftの対応」

12章:「トランザクション・マネージャー(TM)の構築」

13章:「Swiftのセキュリティ対策の強化」

14章:「Swiftにおけるコンプライアンス対策の強化」

15章:「金融制裁におけるSwiftの利用」

16章:「CBDCやトークン資産に対するSwiftの取り組み」

5部:『Swiftに対するオーバーサイトとコミュニティ活動』

17章:「Swiftに対するオーバーサイト」

18章:「Swiftのコミュニティ」

*****************************

 

 『お札で学ぶ キャッシュレス時代とお札の未来』

 くもん出版
 2021年10月

中島真志(単著)

 
 この本は、「お札で学ぶシリーズ」の4冊のうちの1冊であり、主として中学生向けの書籍として企画されました。

 当初は、「お札で学ぶ歴史」「お札で学ぶ日本の経済」など、お札の話が中心のシリーズとして企画されていたのですが、今の時代には「キャシュレス」の話が必須であるということから、決済やキャッシュレスの分野に詳しいということで、中島に白羽の矢が立ち、執筆することになりました。

 さすがに、中学生向けに、ビットコインや中銀デジタル通貨(CBDC)について分かりやすく説明するのは、
なかなか大変でした。

中学生のお子さんをお持ちの方は、ぜひ1冊どうぞ。
親子ともども楽しめます (知らんけど)。

<主な目次>
・ お金の発展の歴史
・ キャシュレス決済とは
・ 「キャッシュレス大国」スウェーデン
・ クレジットカード
・ デビットカード
・ 電子マネー
・ コード決済
・ 仮想通貨
・ 中銀デジタル通貨
・ 20年後のお札の展望

 
『アフタービットコイン2
  仮想通貨 vs. 中央銀行』


 新潮社
 2020年6月

 中島真志(単著)


 
  5万部のベストセラーとなった『アフター・ビットコイン』の続編として、出版されました。

 本書では、その後の動きとして、「リブラの野望」「ステーブルコインとは何か」「中銀によるデジタル通貨」などについてまとめています。
 リブラ(グローバルコイン)、テザー(ステーブルコイン)、中銀デジタル通貨(CBDC)については、最も詳しい1冊となっているものと自負しています。

<目次>
第1章 リブラとは何か
第2章 巧みにデザインされたリブラの仕組み
第3章 混乱続く仮想通貨業界
第4章 仮想通貨の発展
第5章 デジタル通貨への流れ
第6章 中央銀行によるデジタル通貨
第7章 現金のデジタル化

*********************

<アマゾンの書評1>
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日本語の本で中央銀行デジタル通貨まで含めてこれだけ分かり易くもしっかり書いてある本はかなり少ない。

前著もかなり奥深く突っ込んだ有難い本ではあったが,この3年での進展は大きい。
2019(令和元)年のリブラ構想1.0の発表とその挫折,その後や,デジタル人民元やカンボジアのバコンなどを初めとするCBDC(中央銀行デジタル通貨)の動きは1冊出る必要があるだけの進展といえるだろう。前著が出た2017(平成29)年の時点であれば,政府発行などを想定したCBDCはそこまで危機感を持って広がり始めるとはまだ思われていなかった。

特に,(CBDCの前に)ちゃんとテザーについて踏み込み,リブラ構想1.0とその後(2.0)に踏み込み,CBDCについて銀行の役割なども含めてしっかり踏み込んであって分かり易いのは有難い。デジタル通貨の1つにCBDCがあり,民間のデジタル通貨などもある点などは整理する上で非常に助かる。

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<アマゾンの書評2>
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まず、類書にない簡潔明瞭で体系的な解説が豊富な図解とともになされており、大変分かり易い。本テーマは、決済ビジネスに関わる全ての者にとって極めてタイムリーかつ重要な内容であるが、英語資料が多く、日本語資料も大変難解なものが多いので、取り組みにくい。しかし、本書は新書以上に分かり易く書かれており、大変高度な内容ながら初心者でも十分理解できる。これだけの力量で明快に書かれた本は諸外国にもまだないと断言できる。
 次に、この本は、マスコミの誤報やリブラ・中央銀行等の裏の狙い等に関する筆者の的確な見解や推測が述べられており、私のような専門家の端くれにとっても大変刺激的で面白い部分が盛りだくさんである。また、私は、専門の法律分析の前に、正確かつ体系的で偏りのない事実認識を持つ必要があるが、この本はそうしたニーズにピッタリである。恐らく、同様に本分野に取り組む経済学者、暗号技術者、税務会計専門家など、多くの他の専門家にとっても大変有用であることは間違いない。
 さらに、この本を読むことで、数多くのビジネスパーソンは確たる将来展望を持つことができよう。例えば、デジタル人民元など、各国の中央銀行がデジタル通貨を発行する流れは一般に考えられてきたよりもずっと早く、数年で決済環境は塗り替えられる。他方、中央銀行デジタル通貨ができても、あまり利用されないかもしれず、事態は民間銀行や企業、仮想通貨(暗号資産)に中央銀行(政府)が加わったバトル・ロイヤルの様相を益々強めている中、商機はどこなのかを見極める体系的な視点を、この本は読者に提起している。

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 『アフター・ビットコイン』

新潮社

2017年10月

中島真志(単著)
 

 ビットコインとブロックチェーンについて書いています。

 基本的には、ビットコインには、いろいろと問題があり、その将来性については厳しい見方をしておいた方がよいのではないかとの見方を示しています。
 (実際に、この本が出版された2017年10月の2か月後の12月には、ビットコイン・バブルが破裂し、その後、価格は低下傾向を辿っています。また、コインチェック事件の発生などにより、夢の通貨としての見方にも陰りが出ました)。

 一方で、ブロックチェーンについては、金融のあり方を変える大きな変革になる可能性を指摘しています。
 その具体例として、国際送金や証券決済における利用の例を挙げて説明しています。

 また、中央銀行がブロックチェーンの技術を使って、公的なデジタル通貨を発行する可能性についても、
最先端の技術を使って通貨を発行してきたのは歴史の流れであり、自然なこと、として、実例をあげて、
中銀の取り組みについて説明しています。
 
 お陰様で、アマゾンや大手書店では、売上ランキングの上位に入りました。
 約5万部のベストセラーとなり、当方の出した著作としては、最も売れた1冊となりました。

 成毛眞氏(元日本マイクロソフト社長)に、以下のようにブログで激賞して頂いたお蔭で、出だしが極めて好調でした。

<成毛眞氏の書評>
******************************
直前の投稿で3メガによるデジタル通貨連携について雑感を書いてみたのだが、じつはそのネタ本がこれである。
この本一冊で中央銀行を含む既存金融機関が関与するデジタルマネーの動向が一発で理解できる。
ブロックチェーンについてはいろいろ読み込んでいたのだが、各国の中央銀行や民間銀行などの金融機関の現実の動向については情報が不足していた。本書は驚くべきほどの情報量を含んでいて、英訳されても売れるであろう。
本書を越すまとまった情報源は英語圏のネットにもないだろう。決済は実際に銀行業務に関わった人じゃないと感覚的に理解できないだろうから、IT関係者が書いたブロックチェーン本とは一線を画すのだ。
まちがいなく金融ブロックチェーンの底本となる一冊である。
ただし「ですます調」で書かれているけど、かなり覚悟を決めてきっちり読まないと意味ないのでご注意を。
金融がからむIT、またはその逆でメシ食うつもりのある人は読んでおかないと来年には骨董品と呼ばれることになるだろう。
ボクの2017年最高のビジネス書おススメ本だ。オレなら即ポチする。
数時間後にはAmazonでは売り切れるかもよ。

*******************

 
<目次>
 序章 : 生き残る次世代通貨は何か
 第1章 : 謎だらけの仮想通貨
 第2章 : 仮想通貨に未来はあるのか
 第3章 : ブロックチェーンこそ次世代のコア技術
 第4章 : 通貨の電子化は歴史の必然
 第5章 : 中央銀行がデジタル通貨を発行する日
 第6章 : ブロックチェーンによる国際送金革命
 第7章 : 有望視される証券決済へのブロックチェーンの応用


 
 


『外為決済とCLS銀行』

東洋経済新報社

2016年2月

中島真志(単著)





 

  銀行間の外為取引では、各通貨が各国の市場で別々に受渡しされるため、時差の存在によって決済上のリスクが生じます。実際に、「ヘルシュタット銀行事件」など、売った通貨を支払ったのに、買った通貨を受取れずに多大な損失を被った事件がいくつか発生しています。こうした外為決済リスクを回避するために設立されたのが「CLS銀行」であり、売渡通貨と買入通貨の受け渡しをワンセットで行う「PVP決済」という仕組みによってリスクを削減しています。

本書では、外為決済リスクの発生原因や性格について分析したうえで、CLS銀行の仕組みや機能を詳細に解説しています。また、現在、国際金融当局が世界的にCLS銀行の義務付けに動いていることなど、当局の関与にも焦点を当てています。さらに、CLS銀行がリーマン・ショック時に巨額の外為取引を無事に決済し、危機拡大の防止に極めて大きな役割を果たしたことを明らかにしています。

本書は、外為決済において重要な役割を果たしている割には、これまでわが国で認知度の低かったCLS銀行に脚光を当て、わが国の銀行にPVP決済の利用を促す内容となっています。

<目次>

 序章 外為決済と外為決済リスク
 第1章 外為取引の手法と規模
 第2章 外為市場における取引形態
 第3章 コルレス銀行の役割と個別行の外為決済体制
 第4章 外為決済リスク
 第5章 当局の懸念と外為決済リスクの削減策
 第6章 外為決済リスクの顕在化と当局の対応
 第7章 CLS銀行の機能
 第8章 CLS銀行のリスク管理と機能拡大
 第9章 金融危機時の教訓とPVP決済の義務付けの動き

 → トムソン・ロイター・マーケッツ社長の富田秀夫氏による書評はここから

 

”Analyzing the Economics of Financial Market Infrastructures”

金融市場インフラの経済分析) 

IGI Global

2015年7月

中央銀行関係者との共著
 
  米国のIGI Globalという出版社から刊行された英語の書籍です。

 世界の中央銀行の関係者(ECB、ブンデスバンク、オランダ中央銀行、ブラジル中央銀行など)が分担して、金融市場インフラ(決済システム、清算機関、証券決済機関など)についての執筆しました。

 中島も、

      Liquidity Saving Mechanisms in Payment Systems and Settlement Liquidity:
             
The Experience of Japan's Next-Generation RTGS Project
       
 (決済システムにおける流動性節約機能と決済のための流動性:
           -日本の次世代RTGSプロジェクトの経験を踏まえて-)

 というタイトルで、1章を書いています。

 わざわざ英語で読もうという方は少ないかもしれませんが、興味のある方は、以下のウェブサイトからどうぞ。

 If you are interested in this book, please visit the website below.

 →ウェブサイト
『入門 企業金融論』

東洋経済新報社

2015年2月

中島真志(単著)

 
 

 企業金融論の入門書として書きました。
 サブタイトルは、「基礎から学ぶ資金調達の仕組み」となっています。

 本屋には、コーポレートファイナンス系の書籍があふれています。
 コーポレートファイナンスは、直接金融が中心の理論的なアプローチですが、米国から輸入された学問体系であるため、わが国の実情にはややそぐわない面もあります。
 本書では、銀行借入、企業間信用、資金繰り、会計的な視点など、従来のコーポレートファイナンスの書籍ではあまり扱わない分野も含めています。

 <目次>
 序章 企業金融とは何か
 第1章 企業の資金需要
 第2章 資金調達の形態
 第3章 財務諸表の見方
 第4章 キャッシュフロー
 第5章 借入金(1):借入の種類と返済方法
 第6章 借入金(2):借入金利とメインバンク制
 第7章 借入金(3):担保
 第8章 借入金(4):保証
 第9章 社債(1):社債の種類
 第10章 社債(2):公募債と私募債
 第11章 社債(3):格付け
 第12章 株式(1):株式による資金調達
 第13章 株式(2):企業の合併・買収
 第14章 アセット・ファイナンス
 第15章 ベンチャー・ファイナンス

 この本もまた、多くの方に読んで頂ければうれしいです。

 
『金融読本』(第29版)

東洋経済新報社

2014年3月

(島村高嘉氏との共著)
 金融読本の3年ぶりの改訂です。
 今回で、なんと第29版になります。今回も、島村高嘉氏との共著です。

 初版からの累計では、42万部のロングセラーになります。

 今回は、前半の章(第1章~第8章)を全面的に見直して、かなり大幅に書き直しました。

 金融政策の部分では、「非伝統的な金融政策」を書き込んだほか、テイラー・ルールなど「ルールと裁量」を書き加えました。
 また、欧米中央便行の金融政策の枠組みを追加しました。

 また、プルーデンス政策について、金融機関のリスクをまとめたうえで、「不良債権の問題点」を追加しました。

 なお従来、第14章を充てていた金融経済理論については、マクロ経済学の発展・複雑化が著しいため、本版では、思い切って削除しました。

 このところ、金融を巡る動きは、目まぐるしいものものがあり、改訂を行ううえでは、見直す部分が多くて大変です。

 「最も多くの大学で採用されている金融論の教科書」です。
 また、多くの金融機関での新入行員向けのテキストとしても使われているようです。

 ◎目次は以下の通りです。

 第1章 金融とはどういうことか

 ――貨幣と金融機関、経済活動と金融、インフレとデフレ

 第2章 金融業務

 ――預金業務、貸出業務、為替業務、信託業務、証券業務、リスク管理

 第3章 金融機関

 ――日本銀行、銀行、中小企業金融機関、農林水産金融機関、証券会社、保険会社

 第4章 金融市場と金利

 ――預金金利、貸出金利、短期金融市場、債券市場、株式市場


 第5章 デリバティブと証券化
 ――デリバティブ取引、証券化の手法、証券化商品

 第6章 企業金融と消費者金融

 ――資金需要の種類、資金調達の形態、住宅ローン、消費者信用


 第7章 資金循環

 ――通貨の産業的流通と金融的流通、金融構造の変化


 第8章 決済システム
 ――資金決済システム、証券決済システム

 第9章 金融政策

 ――金融政策の目標と手段、金融政策と通貨、近年の金融政策


 第10章 信用秩序維持政策

 ――金融機関のリスク、セーフティネット、破綻金融機関の処理方法


 第11章 金融制度の変革

 ――金利自由化、業務分野規制の緩和、金融ビッグバン、公的金融改革


 第12章 外国為替 

 ――国際収支、外国為替相場、外国為替市場


 第13章 国際金融の諸問題

 ――国際通貨、国際金融市場、欧州通貨統合、国際通貨危機





 『ファンドマネジメント大全』

同友館

2013年12月
(三好秀和編著)
 

立命館大学の三好秀和先生が中心となって編纂された1冊です。
「ファンドマネジメント大全」と銘打っているだけあって、34人の執筆者が、全部で1100ページ以上を書いています。

中島も、このうち「証券決済制度」の部分について書かせてもらいました。
(国債の決済を中心に執筆しました)

「資産運用会社の業務知識」についての第1部は、フロント、ミドル、バックオフィスが、それぞれどんなことをやっているかについて詳しく書いてあり、特に興味深いものと思います。

1,000ページを超える大部な本となったため、定価が6,000円+税となってしまったのが玉にきずですが、必要な人はこの値段でも買うのでしょう(他に類書が見当たらないので)。

こういった大きなプロジェクトに参画させて頂いたことは、有難いことで、感謝しています。

 
 『決済システムのすべて』
(第3版)


東洋経済新報社

2013年2月

(宿輪純一氏との共著)
 

 2005年に出版した『決済システムのすべて』(第2版)の全面改訂版です。
 本書は、第1版の出版(2000年)以来、10年以上にわたって、必読の書として広く読まれているようです。
 また、いくつかの大学や大学院においては、教科書や参考文献として用いられています。

 8年ぶりの大改訂ですが、この8年の間に、各国の決済システムは大きく変化しました。
 EUでは、TARGETがTARGET2になり、ユーロの単一決済圏を作ろうとするSEPAプロジェクトも進められています。英国ではファスター・ペイメントが新たに導入されました。
 CLS銀行でも、取扱通貨を増やし、業務分野を拡大しています。
 わが国でも、日銀ネットが次世代RTGSされ、流動性節約機能が追加されるとともに、外為決済や大口内為決済が集約化されました。
 
 本書では、こうしたさまざまな動きを盛り込んで、最新の動きをカバーするように心がけました。
 また、初心者のために基礎理論や基本的な知識を幅広く整理するという従来からの方針も堅持しています。

 決済システムに興味のある方は、是非、手に取ってみてください。

 
 
”Payment System Technologies and Functions: Innovations and Developments”

(決済システムのテクノロジーと機能:イノベーションと進化)


IGI Global

2011年7月

単著

 

 米国の出版社(IGI Global社)から出版した、中島にとって、初めての英文での単著となります。

◎本書でカバーされているトピックは、以下のようなものになります。
  • Classifications of Payment Systems
  • Driving Forces for Innovation in Payment Systems 
  • DTNS Systems and RTGS Systems
  • Evolutionary Trends of Payment Systems 
  • Hybrid Systems and Integrated Systems
  • Legal Issues Regarding Payment Systems
  • Operational Reliability of Payment Systems
  • Payment Systems in the US, EU, and Japan
  • Settlement Risk

 まあ、日本人でわざわざ英文の本を読もうという人はいないかもしれませんが、
お知り合いの外人の方で決済システムに興味をお持ちの方がいたら、お勧めください。

 詳しくは、ここから。

 
 『金融リスクマネジメントバイブル』

金融財政事情研究会 

2011年5月

東京リスクマネジャー懇談会編

 
 東京リスクマネジャー懇談会のステアリンク・コミッティーのメンバーを中心に、実務家が中心となって、金融機関のリスク管理についてまとめた一冊です。

 「バイブル」というだけあって、信用リスク、市場リスク、流動性リスク、決済リスク、オペレーショナルリスクなど、様々なリスクについて、リスクの定義・認識、リスクの評価・測定、リスクの管理・運営・モニタリング、リスクの検証、実務上の留意事項など、詳細にわたって記述されています。

 中島は、このうち「決済リスク」(第8章)を執筆しています。

 定価4,600円というやや高価な本ですが、金融機関でリスク管理に関係する方にとっては必須の1冊でしょう。
 全部を読むというよりは、手元に置いておいて、必要に応じて関係する部分を参照するといった使い方になるのでしょうね。

 章立ては、以下の通りです。

 第1章 リスクマネジメント概論
 第2章 金融リスクマネジメント発展の歴史
 第3章 ファイナンス基礎理論
 第4章 バリュー・アット・リスク(VaR)
 第5章 市場リスク
 第6章 信用リスク
 第7章 流動性リスク
 第8章 決済リスク
 第9章 オペレーショナルリスク
 第10章 統合リスクマネジメント
 第11章 ALM
 第12章 リスク資本管理(RAPM)
 第13章 デリバティブ取引のリスクマネジメント
 第14章 不動産のリスクマネジメント
 第15章 事業法人のリスクマネジメント
 第16章 保険業界のリスクマネジメント
『金融読本』(第28版)

東洋経済新報社

2011年4月

(島村高嘉氏との共著)
 2年ぶりの改訂です。
 今回で、なんと28版になります。今回も、島村高嘉氏との共著です。

 今回は、リーマン・ショック(2008年9月)からの2年間の動きを盛り込みました。
 具体的には、金融危機に対応したいわゆる「非伝統的な金融政策」を盛り込んだほか、金融政策のトランスミッション・メカニズムについても、いくつかのルートを整理して書いてあります。

 また、プルーデンス政策について、全面改訂を行い、体系的に記述しました。

 このところ、金融を巡る動きは、目まぐるしいものものがあり、改訂に際しても、なかなか見直す部分が多くて大変です。

 「最も多くの大学で採用されている金融論の教科書」です。
 また、多くの金融機関での新入行員向けのテキストとしても使われているようです。

 慶応大学の池尾先生からは、「今や定番中の定番」とのお言葉を頂きました。

 


『SWIFTのすべて』

東洋経済新報社

2009年7月

中島真志著(単著)
 国際的な金融ネットワークである「SWIFT」についての本邦初の包括的・網羅的な解説書です。
SWIFTの全貌を知るのに最適の1冊となっています。
「SWIFTの全貌がここに明らかに!」といったところでしょうか。

 SWIFTのアジア太平洋地域統括役員のイアン・ジョンストン氏の推薦となっています。
 どうもこの手の本としては、世界でも初めてのSWIFTに関する包括的な著作のようです。

  色は、おなじみのSibosカラーのオレンジです。
表紙の絵は、繋いだ手の上を人々が行き交う姿で、ネットワークをイメージしています。
 本書の目次と主要内容は、以下の通りです。

1章 SWIFTとは
      -SWIFTとは何か、SWIFTの役割、SWIFTは誰のものか

2章 SWIFTの設立と発展の経緯
      -設立の経緯、発展の経緯、参加国・ユーザー数・メッセージ量の推移

3章 SWIFTの参加資格とガバナンス
    -参加資格、ユーザーカテゴリーの見直し

4章 SWIFTのネットワークとアクセス方法
    -ネットワークの構成、直接接続と間接接続、接続パッケージ

5章 SWIFTのメッセージング・サービス
    -FINサービス、InterActサービス、FileActサービス、Browseサービス

6章 SWIFTのメッセージ標準
    -MTのメッセージ、MXのメッセージ、MTからMXへの移行計画

7章 SWIFTメッセージに使われるコード
    -銀行識別コード、国名コード、通貨コード、国際証券識別コード

8章 SWIFTソリューション
    -Accordサービス、TSUサービス、FIXサービス、デリバティブ・サービス

9章 事業法人によるSWIFTへのアクセス
    -MA-CUGによるアクセス、SCOREによるアクセス、事業法人のSWIFT利用状況

10章 日本の金融機関のSWIFT利用状況
    -わが国のユーザー数、メッセージ量、世界における位置づけ、わが国の特徴

11章 SWIFTのセキュリティ
    -SWIFTにおける情報セキュリティ、BKE方式、SWIFTNetフェーズ2

12章 決済システムにおけるSWIFTの利用
    -決済システムにおけるSWIFTの利用、証券決済システムにおけるSWIFTの利用

13章 SWIFTと標準化
    -標準設定機関としてのSWIFT、標準管理機関としてのSWIFT

14章 SWIFTに対する規制・監督
    -中央銀行によるオーバーサイト、データ・プライバシー問題

15章 SWIFTの新しい動き
       -ネットワークの再編計画、アライアンス・ライトの導入、わが国におけるSWIFT対応の動き

 本書は、構想20年、執筆に1年半の力作です(と自分で言うのもなんですが)。
業務でSWIFTを利用している方、SWIFTの機能に興味を持っている方などのお役に立つものと思います。

  書評は、ここから。

『金融読本』(第27版)

東洋経済新報社

2009年4月

(島村高嘉氏との共著)


 この本は、1950年の初版の発行以来、日本銀行の関係者が半世紀余りにわたって改訂を続けてきたもので、今回でなんと第27版となります(こんなロングセラーの本は、めったにありません)。

 大学でのテキスト採用の実績も多く(東洋経済新報社の金融部門ではナンバーワン)、これまで、累計20万人以上の方に、金融の入門書として利用されてきました。
 今回は、島村高嘉氏と中島の2名が改訂作業を行いました。

 今回は、サブプライムローン問題が発生したこともあり、「デリバティブ」と「証券化」について、新たに章を設けて解説を行っています。
 また、決済システムについても、改めて1章を設けてあります。
 歴史的な変遷については、今回から「補論」として、本文とは分割して記述しました。

 「初学者から実務家まで幅広いニーズに応える金融入門のスタンダード・テキスト」であり、「金融入門テキストの決定版」となっています。学生、社会人などの幅広い方々に利用して頂けることを期待しています。

 
アマゾンへ


『Electronic Business: Concepts, Methodologies, Tools, and Applications』

Edited by In Lee

IGI Global
2008年12月

 ウェスタン・イリノイ大学のリー教授が、Eビジネスなどの分野の論文を編纂して作成した4巻ものの書物です。
 「pretigious reference collection」(一流の参考文献のコレクション)とされています。

 この中の「Chapter8.9」に、中島の書いた「Global Trends of Payment Systems and the Next-Generation RTGS Project in Japan」(決済システムのグローバルな潮流と日本における次世代RTGSプロジェクト)が入っています。
 「innovative reserch contributions」(革新的なリサーチ論文)だけを厳選したとなっているので、これに選んでもらったことは光栄なことです。

 しかし、4巻で1,650ドル(約15万円)の本を誰が買うのでしょうかね? 

『証券決済システムのすべて(第2版)』

東洋経済新報社

2008年4月

(宿輪純一氏との共著)

 本書は、2002年2月に刊行した第1版の約6年ぶりの全面改訂版になります。

 執筆していて、改めてこの間の証券決済をめぐる変化の大きさを実感しました。
特に変化が大きかったのは、日本と欧州です。
 わが国については、第1版の刊行時には、ちょうと証券決済改革に向けての機運が盛り上がっていました。この時期に検討段階や構想段階にあったもの(証券法制、DVP決済の導入、CCPの設立など)が、今ではいずれも現実のものとなっています。
 また、欧州においては、ユーロの導入以降、証券市場の統合化を目指して、生き残りをかけた様々な合従連衡が行われてきています。また、当局サイドでも、ジョバンニーニ・レポート、MiFID、CESAMEグループ、T2Sプロジェクトなどの動きがあります。
 こうした動きを丹念に書き込んでいったところ、第1版よりだいぶ厚くなってしまいました。

 以下は、本書の目次と主要項目です。

第1章 「証券決済」をめぐる基礎知識
 --証券決済までのプロセス、CSDとは、CCPとは、カストディアンとは、証券決済法制、クロスボーダー証券決済

第2章 証券決済リスク
 --証券決済リスクの分類(元本リスク、再構築リスク等)、エクスポージャーの測定、リスク削減策(ネッティング、DVP等)

第3章 証券決済のトレンド
 --決済期間の短縮化(T+1など)、ペーパーレス化、証券決済インフラの統合化(合併・経営統合など)、STP化、標準化(ISO20022など)

第4章 証券決済の改革に向けた勧告
 --2つのG30勧告、ISSAの勧告、CPSS/IOSCOの勧告(RSSS、RCCP)

第5章 米国の証券決済システム改革 
 --Fedwire、DTC、NSCC、FICC、Omgeo、DTCC Solutions、Deriv/SERV、T+1化プロジェクト、STP化プロジェクトなど

第6章 欧州の証券決済システム改革
 --ユーロクリア、クリアストリーム、LCH.Clearnet、Eurex Clearing、証券市場統合化の動き、ジョバンニーニ・レポート、金融商品市場指令(MiFID)、コード・オブ・コンダクト、T2Sプロジェクト

第7章 わが国の証券決済システム改革
 --わが国の証券決済改革のこれまでの流れ、日銀ネット国債系、証券保管振替機構、JBネット、日本証券クリアリング機構(JSCC)、ほふりクリアリング、日本国債清算機関(JGBCC)、決済照合システム、残された課題

第8章 アジアにおける証券決済システムの新潮流
 --アジア債券市場育成イニシアティブ(ABMI)、アジア債券ファンド(ABF)、アジアの証券取引所連合(AOSEF)、アジア太平洋CSD会議(ACG)、香港における証券決済システムの対外リンク

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『金融システム論の新展開』

黒田晁生 編


金融財政事情研究会
2008年2月

 本書は、明治大学の黒田晁生先生が中心となって編纂された本です。金融システムを6つの基本的な機能に分けて分析するという「Functional Perspective」の方法論(もともとハーバード・ビジネススクールが提唱)によって、わが国の金融システムの分析を試みたものです。

 私も、このうち、「第2章 決済制度と決済手段の提供」を執筆しており、①資金決済システム、②証券決済システム、③リテールの決済手段について書いております。

 章建ては、以下の通りです。

 第1章 日本の金融システム:展望          (黒田晁生<明治大学>)
 第2章 決済制度と決済手段の提供       (中島真志<麗澤大学>)
 第3章 家計の資産運用と金融機関の説明義務 (新保恵志<東海大学>)
 第4章 金融グローバル化とプルーデンス規制  (勝 悦子<明治大学>)
 第5章 貸出市場と証券化              (黒田晁生<明治大学>)
 第6章 日本のコーポレートガバナンス       (広田真一<早稲田大学>)

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『Cyberlaw for Global E-Business: Finance, Payments and Dispute Resolution

Information Science Reference

2008年1月

久保田隆 編著

 本書は、早稲田大学の久保田隆教授が編集された本です。

E-Finance、②E-Payment、③E-contracts and Dispute Resolutionの3つのセクションから構成されており、日本、欧米、アジアの研究者が15の章を執筆しています。

 中島は、このうちChapter 6: Global Trends of Payment Systems and the Next-Generation RTGS Project in Japanを書いています。内容的には、世界的な決済システムの発展の経緯、その背景などについて解説したうえで、そのコンテクストの中で、日本銀行の進めている次世代RTGSシステムの特徴や意義についてまとめています。

 当方としては、初めての米国の出版社(Information Science Reference社)から発行された英文の本となります。

 表紙の写真は、パソコンのキーボードがITを、木槌が法廷を表して、合わせて「サイバー・ロー」(Cyberlaw)ということでしょうか(まあ、分からないでもないです)。

 章建ては、以下の通りです。

Section 1: E Finance

Chapter 1: Cybercrime, Cybersecurity and Financial Institutions Worldwide 
  (Pauline Reich, Prof. Esq. Waseda University, U.S. and Japan)

Chapter 2: Enhancing Cyber Risk Management with the Framework of ERM and Basel
 
                  
(Junji Hiwatashi, Director, Bank of Japan, Japan)


Chapter 3: IT Development and the Separation of Banking and Commerce: Comparative Perspectives of the U.S. and Japan
         (Takashi Kubota, Prof. Waseda University, Japan)

Chapter 4: Laws and Regulations on Proprietary Trading System (PTS) in Japan          (Motoaki Tazawa, Prof. Meijo University, Japan)

Chapter 5: The Holding and Transfer of Interests in Securities in England and Japan Compared with the Holding and Transfer of Funds  (Tomonori Fujiike, Esq. Hori and Partners, Japan)

Section 2: E Payment

Chapter 6: Global Trends of Payment Systems and the Next-Generation RTGS Project in Japan                                         (Masashi Nakajima, Prof. Reitaku University, Japan)

Chapter 7: Technical and Legal Concerns about Global Card Payments
    
(Fernando Barrio, Senior Lecturer, London Metropolitan   University, U.K.

Chapter 8: The Regulation of New Forms of Electronic Fund Transfers in Japan Focusing on Electronic Money
   
(Takashi Nakazaki, Esq. Anderson Mori & Tomotsune, Japan)

Chapter 9: Commodity Based Digital Currency ? A Legal Analysis(Evelyn Lim Meow Hoong, Associate member of Malaysian Institute of Chartered Secretaries and Administrators, Malaysia)

Chapter 10: Mistake in Remittance to Account
      
(Masao Yanaga, Prof. Tsukuba University, Japan)

Section 3: E Contracts and Dispute Resolution

Chapter 11: Doing International Business Online for the Small and Medium Enterprise
  
(Sam Edwards, Esq. Assistant Prof. Nagoya University, U.S. and Japan)

Chapter 12: Consumer Protection in Cross-Border E-Commerce Markets
   
(Shino Uenuma, Esq. Toranomon-Minami Law Office, Japan)

Chapter 13: Cyber Contract and Indian Law
   
(Jibitesh Mishra, Associate Prof., College of Engineering & Technology, India, Biswajit Tripathy, Senior Lecturer, Synergy Institute of Engineering & Technology, India)

Chapter 14: E-Commerce and Dispute Resolution: Jurisdiction and Applicable Law in a Dispute Arising from a Computer Information Transaction
   
(Naoshi Takasugi, Prof. Doshisha University, Japan)

Chapter 15: Cross-Border Court Jurisdiction and Economic Law Application in Electronic Commerce   
           
(Takeshi Kawana, Researcher, Waseda University, Japan)

 本書の概要は、ここから。

『金融読本』(第26版)

東洋経済新報社

2007年4月

(呉文二氏、島村高嘉氏との共著)

 本書は、学生や金融機関に就職された若手の社会人向けの金融の基本書、テキストブックとして、幅広く用いられているものです。

 本書の初版は、なんと1950年で、日本銀行調査局のメンバーが中心となって執筆されました。その後、呉文二氏(元立正大学)が改訂作業を重ねられ、1992年からは島村高嘉氏(元中央大学)が、そして今回の改訂から中島が改訂作業に加わり、今回は、3名の共著として出版されました。

 今回は、金融情勢の大幅な変貌を受けて、ゼロ金利政策と量的金融緩和政策、企業金融、国際金融の動向などについて、最新の状況までを盛り込んで、これまでにない大幅な改訂・加筆を行っています。

 本書の特徴は、日銀マンが長年に亘って書き継いできたことから、わが国における金融政策、金融行政、金利自由化、業際問題などについて、実際に何が行われてきたかという歴史的な経緯が詳しく書き込まれていることで、この点が、金融の理論面が中心の他の金融論の本との違いとなっています。

 こうしたことから、「実務に立脚した基本的な金融入門書」として好評を博し、出版が続けられているものです(第26版というのは、東洋経済でも他に例がないそうです)。

 本書は、日本銀行の若手行員用の基本書にも選定されており、実は、私も新入行員の時代にこの本で金融を基礎から勉強しました。


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   書評(ビジネス・アイ)


『決済システムのすべて』
(第2版)


東洋経済新報社

2005年2月

(宿輪純一氏との共著)
 2000年12月に出版した「決済システムのすべて」の全面改訂版です。
 旧版は、決済関係の実務者などの間では、「座右の書」、「必読の書」などと言われ、幅広く利用されているようです。
 また、いくつかの大学や大学院においては、テキストや参考文献として用いられています。

 --たとえば、中央大学・金融情報ネットワーク論神戸大学・貨幣論学習院大学・商法演習(決済及び決済制度の法律問題)明治大学・ゼミ(金融情報システム論)など。

 中国語版も、中国人民銀行によって、翻訳・出版され、人民銀行の参考図書に指定されました。この出版記念パーティーに共著者の宿輪純一氏が招かれ、人民銀行より表彰を受けました(2005年3月)。

 この4年間には、決済システムには、大きな変化がありました。旧版では、予定であった「日銀ネットのRTGS化」、「ドイツのRTGSplus」、「CLS銀行」がすでに稼働を開始し、現実のものとなっています。

 また、ECBでは「TARGET2プロジェクト」が進められ、欧州ではSTEP1に続いてSTEP2が導入され、シンガポールでは、「MEPSplus」が構築されるなど、新しい動きも続々出てきています。

 重要なことは、欧米におけるハイブリッド化、インテグレイテッド化の動きが、いよいよわが国にも波及してきたことです。全銀協の提案している「新大口決済システム」が、これにあたります。
 海外から国内まで、こうした動きについてアップデートしたい方は、是非ご一読を!

 本書では、決済についての基礎理論、決済の基本知識を網羅した「決済の基本書」とするという方針は堅持しつつ、こうした最新の動向を盛り込んでいます。
 決済の実務関係者はもちろん、金融に興味がある人にお勧めします。

 2005年7月には、アマゾンの銀行業務部門で、堂々の第1位を達成しました(限られた分野の中ではありますが、初めての経験であり、うれしかったです)

 東京大学・宮田教授の書評はここから。
 アマゾンのカスタマー・レビューはここから。
 
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「毎日エコノミスト誌」の書評 (2005年3月29日)

 日々のおカネの決済は、すべてコンピュータ上で行われる。この世界のシステム進化は早く、知識はあっという間に陳腐化する。初版(2000年12月)から全面改訂。米国の新システム「CHIPS Finality」、当時は計画段階だった日銀ネットの「RTGS化」などを網羅。図解を多くし、基礎知識の解説から専門家の要求まで応えている。



『証券決済システムのすべて』

東洋経済新報社

2002年1月

(宿輪純一氏との共著)
 「決済システムのすべて」が資金決済システムについてであったのに対して、本書では、株式、国債、社債などの証券決済についてまとめています。
 本書では、証券決済をめぐる基礎知識を網羅するとともに、欧米諸国で進められていた証券決済改革の動きや最新動向を紹介しています。

 本書の刊行時には、ちょうどわが国において証券決済システム改革に向けての議論が盛り上がりを見せていました。
  わが国の証券決済システムは、国際的にみて立ち遅れが目立っていましたが、その後、2002年から2005年にかけて、証券のペーパーレス化法制の整備、清算機関の設立、DVP決済の導入、決済照合システムの導入によるSTP化などが、急速に進みました。

 ちなみに、当時、金融庁の証券決済改革の関係者のデスクの上には、グリーンのカバーの本書がお決まりのように置かれていました。もちろん、証券決済改革の進展は、官民が一体となった関係者の努力の賜物ですが、そうした動きに本書が少しでもお役にたったとすれば、著者としては嬉しいことです。

 おかげさまで、刊行時には、ベストセラーの仲間入りをしたりもしました(丸善千代田書店など)。その後も、根強いニーズがあり、増刷が行われています。

 なお、韓国では、本書の韓国語訳が密かに作成され、関係者の間で流布しているようです。ソウル大学の教授から「韓国の関係者はみんな読んでいます。著者の方にお会いできて光栄です」と握手を求められてしまいました。「大丈夫です。関係者が読んでいるいるだけですから」といわれましたが、それって、本当は....(まあ、お役にたっているのならよいのですが)。

  東大・神田先生の書評

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宿輪純一氏の著作
共著者の宿輪純一氏は、中島との共著のほかに、このような本も書かれています。多才ですね。

  「アジア金融システムの経済学」
  「円安vs円高」
  「社長になる人のための経済学」
  「マネークライシス・エコノミー」

『決済システムのすべて』(第2版)韓国語版

 韓国銀行訳
 韓国の中央銀行である韓国銀行から申し出があり、行員の教育用に韓国語版を作りたいとのこと。もちろん、すぐに快諾しました。それから数ヶ月たって送られてきたのがこの本です。
 なかなか素早い仕事ぶりで、2005年10月の発行となっています。
 韓国銀行内のみの限定配布のため、残念ながら非売品です。

 表紙をめくったところに著者名らしき「中島真志、宿輪純一」という漢字の表記があるだけで、あとは、下の写真のとおり、すべてハングルで書かれており、まったく解読不可能です。
 ところどころにある図や表だけが、なんか見覚えがあるなあという感じです。

 翻訳に当たってくださった韓国中銀の方々、どうも有難うございました。
この本で、韓国における決済システムの理解が深まり、また韓国の決済システムの改善につながれば、筆者としてこんなにうれしいことはありません。



『決済システムのすべて』

東洋経済新報社

2000年12月

(宿輪純一氏との共著)
 本書の出版当時、中島は、金融情報システムセンター(FISC)の調査企画部長として、外為の取引・決済に関する「外為EDI研究会」の事務局を務めておりました。また、宿輪氏は、都銀における決済の有識者として、この研究会に参加していました。
 同研究会の海外現地調査のため、欧米主要国を訪問した二人は、海外の決済システムの革新的な動きに目を見張りました。当時、ハイブリッド・システム、インテグレイテッド・システムといったこれまでには考えられなかったような斬新な決済システムが続々と登場してきていたのです。

 しかし、この時期、国内では、目先に「日銀ネットのRTGS化」(2001年1月実施)という大プロジェクトを控えていたこともあり、海外の動きにまで目配りしている余裕はありませんでした。このままでは、わが国の決済システムが国際的に遅れたものになってしまうという懸念を持った著者二人が、こうした海外の動きを国内に紹介すべく、執筆したので本書です。

 この分野では、それまで類書がなかったため、おかげさまで、本書は「決済の基本書」として関係者から好評を得て、刊行時にはベストセラーとなった(紀伊国屋<金融・証券分野2001年:年間第7位>)ほか、その後も版を重ね、これが第2版の出版にもつながっています。

 また、このときに詳しく解説したハイブリッド化、インテグレイテッド化の動きが、日本銀行の推進している「次世代RTGSプロジェクト」として結実しようとしていることは、まことに喜ばしいことです。

  池尾先生の書評

  行間を語る(日経金融新聞)


『ユーロと日本経済』


東洋経済新報社

1999年1月

(内海氏、吉野氏らとの共著)
 本書は、97年から98年にかけて、JCIF(国際金融情報センター)において行われた「EMU研究会」の研究成果をとりまとめたものです。ちなみにEMUとは、「欧州通貨統合」のことで、各国のレガシー通貨(独マルク、仏フランなど)が廃止されて、新通貨「ユーロ」が導入されました。

 当時は、ユーロの導入(1999年1月)を目前に控えて、ユーロが国際通貨システムのなかでどういう位置づけを占めるのか、ユーロ圏の経済はどうなっていくのか、金融市場にはどのような影響が出るのかといったことが問題となっていました。本書では、7名の専門家がそれぞれの立場から、こうした問題について分析しています。

 当時、中島は、日本銀行の国際局において、国際金融分野のリサーチを担当しており、本書の中では、第4章「欧州中央銀行の金融政策」を執筆しています。当時から、インフレ率を政策目標として、各種のオペを中心として、市場金利を上限金利と下限金利の間に誘導するという金融政策の枠組みは変わっていません。

 本書の特徴は、その豪華な執筆陣でしょう。
内海孚・慶応大学教授(当時)を初めとして、吉野直行・慶応大学教授、小川英治・一橋大学教授、河合正弘・東大教授、嘉治佐保子・慶応大学教授などがそれぞれ、専門分野について執筆しています。
 「ユーロは、ドルに並ぶ基軸通貨となる」との本書の主張は、徐々に現実味を帯びてきています




『北東アジア-21世紀のフロンティア-』

毎日新聞社

1996年

(ERINAでの共著)
 本書は、環日本海経済研究所(ERINA)が、研究結果を初めて世に問うた著作です。
 ERINAは、新潟県、新潟市、東北6県などが出資して1993年に設立された財団法人であり、新潟市に所在します。ERINAでは、北東アジア経済についての情報収集と調査・研究、そして経済交流の推進を進めています。毎年「北東アジア経済会議」を開催し、対岸の研究所ともネットワークを構築するなど、北東アジア研究では、一番の老舗です。
 北東アジアとは、中国、ロシア、韓国、北朝鮮、モンゴル、日本の6カ国を指しており、わが国では「環日本海経済圏」とも言われます。

 中島は、94年から97年にかけて、ERINAの創設期のお手伝いをさせて頂きました。現地調査として、中国の東北部やロシアの沿海州、そして北朝鮮にまで足を伸ばしたことは貴重な経験でした。

 本書では、第4章:中国と第7章:北東アジアの国際プロジェクトを執筆しています。本書は、その後も数年ごとにアップデート版が出され、「北東アジア経済白書」として継続的に発刊されています。


『海外経済指標の読み方』


東洋経済新報社

1986年

(日銀での共著)
画像なし
 本書は、日本銀行調査統計局の有志(日本銀行国際統計研究会)が、海外の経済指標の利用上の注意点やクセなどについて解説したものです。
 「海外経済に明るくなる!待望の解説書。ビジネスマン必携の書。」というのが、当時の東洋経済新報社の売り(セールス・トーク)でした。

 外為市場などでは、米国の経済指標が発表されると、それに敏感に反応して相場が上がったり下がったりすることが多いのですが、本書では、例えば、失業率では、「軍人を含むベース」と「含まないベース」ではどちらが注目されるかとか、何度も発表されるGDP統計ではどれが重要か、といったマーケットへの影響度合いも含めて解説しているのが特徴です。中島は、全体の半分ほどのボリュームを占める第1章:米国の経済指標を執筆しました。

 本書は、1993年に改訂版(新版)が出版されましたが、民間から類似の書籍が出たこと等から、その後は改訂が行われていません。

 当時は、「外為ディーラー必読の書」であったらしく、ディーリング・ルームに配属になった友人たちは、「まず、ディーリングを始める前に、おまえの書いた本を読めといわれた」と言っていました。


<著書の発行年リスト>
発行年 決済システム
関連
金融関連 英文書籍
 2024年  『Swift:グローバル金融ネットワークの全貌』  『お金のビックリ事典』  
 2023年    『金融読本(第32版)』
『デジタル化する証券市場』
 
 2022年      
 2021年   『ファイナンス入門』(共著)
『お札で学ぶ キャッシュレス時代とお札の未来』 
 
 2020年  『アフター・ビットコイン2 仮想通貨 vs. 中央銀行』  『金融読本(第31版)』
『金融規制の原則』(共訳)
 
 2019年      
 2018年      
2017年 『アフター・ビットコイン』 『金融読本(第30版)』  
2016年 『外為決済とCLS銀行』    
2015年 『入門 企業金融論』 "Analyzing the Economics of Financial Market Infrastructures"
2014年     『金融読本(第29版)』  
2013年  『決済システムのすべて(第3版)』   『ファンドマネジメント大全』(共著)  
2012年    
2011年    『金融読本(第28版)』
『金融リスクマネジメントバイブル』
(共著)
 "Payment System Technologies and Functions: Innovations and Developments"
2010年      
2009年 『SWIFTのすべて』 『金融読本(第27版)』
2008年 『証券決済システムのすべて(第2版)』 『金融システム論の新展開』(共著) “Cyberlaw for Global E-Business: Finance, Payments, and Dispute Resolution,” Information Science Publishing

“Electronic Business: Concepts, Methodologies, Tools, and Applications,” IGI Global
2007年 『金融読本(第26版)』
2006年
2005年 『決済システムのすべて(第2版)』
2004年
2003年
2002年 『証券決済システムのすべて』
2001年
2000年 『決済システムのすべて』
1999年 『ユーロと日本経済』(共著)