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2012年12月

T2Sへの移行計画が明らかに

 T2Sへの移行は、20156月の稼働開始とともに、一気にすべてのCSDが移行を行う「ビッグ・バン方式」ではなく、3つの移行時期(migration wave)に分けて行うこととされているが、このほど、3つの移行時期に、どのCSDが移行するかの計画が明らかになった。 

移行時期

CSD

の数

対象CSD



1

20156月)

 

5

BOGS(ギリシャ)

モンテ・ティトリ(イタリア)

マルタ証券取引所(マルタ)

ルーマニアCSD(ルーマニア)

SIX SIS(スイス)




2

20167月)

 

7

NBB-SSS(ベルギー)

ユーロクリア・ベルギー(ベルギー)

ユーロクリア・フランス(フランス)

ユーロクリア・オランダ(オランダ)

インターボルサ(ポルトガル)

スロバキアCSD(スロバキア)

イベルクリア(スペイン)




3

201611月)

 

10

OeKB(オーストリア)

VPセキュリティーズ(デンマーク)

エストニアCSD(エストニア)

ユーロクリア・フィンランド(フィンランド)

クリアストリーム・バンキング(ドイツ)

KELER(ハンガリー)

リトアニアCSD(リトアニア)

VPルクス(ルクセンブルク)

ルクスCSD(ルクセンブルク)

KDD(スロベニア)

 (注)当初、参加予定とされていたキプロス証券取引所が入っていないため、合計は22CSDとなっている。

2012年7月

欧州の23CSDT2Sのフレームワーク協定に調印 

 73日に、14CSDT2Sのフレームワーク協定に調印を行った。5月には、すでに9CSDが調印を行っており、これでT2Sに参加するCSDは、合計23となった(下表を参照)。

 このうち、ユーロ圏内のCSD18であり、5つはユーロ圏外からの参加となる。ユーロ圏の17ヵ国のうち、アイルランドからは参加がなかった。また、ベルギーとルクセンブルクからは2つのCSDが参加している。

 ユーロ域外国からは、スイス、デンマーク、ルーマニア、ハンガリー、リトアニアの5ヵ国が参加している。

 これら23CSDの参加により、T2Sは、20156月に稼働を開始する予定である。  


                    ▽T2Sへ参加するCSD 

(ユーロ圏内):17ヵ国

国名

人口(万人)

CSD

ドイツ

8,132

クリアストリーム・バンキング

フランス

6,339

ユーロクリア・フランス

イタリア

6,002

モンテ・ティトリ

スペイン

4,511

イベルクリア

オランダ

1,647

ユーロクリア・オランダ

ギリシャ

1,112

BOGS

ベルギー

1,067

NBB-SSS
ユーロクリア・ベルギー

ポルトガル

1,060

インターボルサ

オーストリア

831

OeKB

スロバキア

539

スロバキアCSD

フィンランド

529

ユーロクリア・フィンランド

アイルランド

424

-----

スロベニア

201

KDD

エストニア

134

AS Eesti Väärtpaberokeskus

キプロス

77

キプロス証券取引所

ルクセンブルク

48

LuxCSD
VP LUX Sárl

マルタ

40

マルタ証券取引所

 (ユーロ域外国):5ヵ国

国名

CSD

ルーマニア

Depozital Central S.A.

デンマーク

VP Securities A/S

ハンガリー

KELER

リトアニア

リトアニアCSD

スイス

SIX SIS

  

2012年3月

SWIFTがイランの銀行へのネットワークを切断

  世界的な金融メッセージ・サービスを提供するSWIFTでは、欧州理事会(EU Council)の決定に基づいて、EUのイラン制裁の一環として、イランの金融機関に対する通信サービスを切断することを、315日に公表した。

 今回の欧州理事会の決定は、SWIFTなどのような専門的な金融メッセージング・サービスを行っている企業に対して、イランの銀行に対するサービスの提供を禁止する内容となっている。SWIFTは、ベルギー法に基づく協同組合として設立されており、母国政府の命令として、従わざるを得ない状況にある。
 この措置は、317日(土)から実施に移される。 

 SWIFTは、世界の210カ国以上、1万以上の金融機関を結んで金融メッセージの通信サービスを行っており、世界的な資金移動のためのインフラとなっている(詳しくは、拙書『SWIFTのすべて』を参照)。

このネットワークから除外されたイランの銀行は、事実上、海外への送金や海外からの資金の受取などができなくなる。

 SWIFTが国家間の経済制裁の手段として用いられるのはこれが初めてであり、SWIFTCEOであるラザロ・カンポス氏も、「異例で前例のない措置(extraordinary and unprecedented step)である」としている。

 2010年には、イラン国内の19の銀行と25の企業が、SWIFTを使って、欧州との間だけでも200件以上の受送金を行い、350億ドルの取引を行ったものとされている。

  SWIFTについては、これまでも米国のCIA(中央情報局)が、その送金データを「テロ資金追跡プログラム」に用いてアルカイダ関係者の逮捕につなげるなど大きな成果を上げたことがあり、それ以来、規制のツールとして注目されるようになっている。 

詳しくは、ここから。

2012年3月

ロンドン証取がLCH.Clearnetを買収へ

  ロンドン証取が清算機関(CCP)であるLCH.Clearnetの株式の最大60%を取得し、LCH.Clearnetを傘下に収める計画であることが、39日に明らかになった。

 この買収提案は、すでにLCH.Clearnetの約半数の同意を得ており、2012年第4四半期までに実施される見込みである。

 LCH.Clearnetの既存の株主は、1株について20ユーロの支払いを受ける。

 ロンドン証取は、最大60%までの株式を取得する一方、LCH.Clearnetの既存の株主は、最低でも40%以上を保持することとされている。

 ロンドン証取では、今回の買収のメリットとして、収益の多角化やコストの削減が可能になる点を上げている。

  LCH.Clearnetの買収に対しては、ロンドン証取のほかにも、ナスダック取引所、NYSE、金融情報サービス会社のMarkit社などが申し入れを行ったものとされている(LCH.Clearnetでは複数の申し入れがあったことを認めている)が、昨年9月ごろからロンドン証取が交渉権を獲得して条件面の詰めを行っていた。 

 LCH.Clearnetでは、これまで同じ清算機能を有するCCP同士が合併・統合するという「水平モデル」(horizontal model)を取っていたが、今回の買収により、証券取引所が清算機関を保有・支配するという「垂直モデル」(vertical model)に転換することになる。

 ドイツ取引所では、従来から、証取のグループがCCPをグループ内に保有する「垂直モデル」を取ってきており、今後、欧州内において垂直モデルが有力となっていく可能性があるものとみられる。 

詳しくは、ここから。