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2008年11月
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ユーロクリアが、スウェーデン、フィンランドのCSDとの経営統合を完了
ユーロクリアでは、10月31日付けで、スウェーデン、フィンランドのCSD(VPCとAPK)を傘下に擁する「NCSD」(Nordic Central Securities Depository)との合併手続きを完了したと発表した。
この統合は、2008年6月に発表されたが、その後、関係するすべての当局の認可が得られたことによるもの。
この統合により、今後、旧APKは、「ユーロクリア・フィンランド」、旧VPCは「ユーロクリア・スウェーデン」と呼ばれることになる。
これら2つのCSDへのユーロクリアの「単一プラットフォーム」(Single Platform)の導入は、2011年の単一プラットフォーム化の完了(5つのCSDを対象)後に行われる予定である。
ユーロクリア・グループは、すでに5カ国の市場(英国、フランス、ベルギー、オランダ、アイルランド)の証券決済を行う「欧州最大のCSD」となっているが、今回の統合により、対象は7カ国に拡大する。
詳細は、本ページの6月の項目を参照のこと。
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2008年11月
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Liffeが2009年から自己清算に移行
「Liffe」(ロンドン国際金融先物取引所)は、これまで清算機能を清算機関(CCP)である「LCH.Clearnet」に委託してきたが、今年末でこの契約を打ち切り、清算機能を内製化して、自己清算(self-clearing)に移行することを決めた。新しい清算機能は、「LiffeClear」と呼ばれる。契約打ち切りに伴い、LCH.Clearnetは、一時金として、260百万ユーロを受け取る。
今回のLiffeの動きは、ライバルであるEurexがグループ内に清算子会社(Eurex Clearing)を有しているのに対抗するものであり、割高なLCH.Clearnetのコストを削減して、取引所としての競争力を高めることを企図している。
今後Liffeは、自らがCCPとして、売り手と買い手の双方にとっての取引相手となる。ただし、決済保証(guarantee arrangement)およびそれに関連するリスク管理(デフォルト・ポジションの管理等)については、引き続きLCH.Clearnetに委託(outsource)される。
Liffeのほか、エネルギー関係の先物・オプション取引所であるICE(インターコンチネンタル取引所)でも、同様に、LCH.Clearnetへの清算サービスの委託を打ち切り、自己清算に移行する方針を打ち出している。こうした自己清算化の動きにより、LCH.Clearnetでは、収益的に大きな打撃を受けるものとみられ、それが先日のDTCCとLCH.Clearnetとの合併の動きの一因になっているものとみられている。
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2008年10月
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米国でのCDSの清算機関設立に4つの陣営が名乗り
米国では、NY連銀に関係者が集まって、今次の世界的な金融危機の一因ともなっているCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)の清算機関(CCP)を設立する動きを進めているが、そこに4つの陣営が清算機関設立の構想を持ち出していることが明らかになった。
CDS清算機関の構想を持っているのは、①Eurex Clearing、②ICEとTCC連合、③CMEとCitadel連合、④NYSEユーロネクストの4つである。
(1)Eurex Clearingの動向
このうち、Eurex Clearingは、欧州最大(フランクフルト所在)の先物・オプション取引所であるEurexの傘下にある清算機関である。
Eurex Clearingでは、CDS清算機関のための共同事業体(コンソーシアム)を設立する意向であり、第1段階では、iTraxx 指数に基づくCDSのインデックス取引と個別企業のCSD取引(single name CSD)を対象に清算業務を始め、Markit社のライセンスが得られ次第、CDX指数に基づくインデックス取引も追加するとしている。また、第2段階として、2009年前半には、ISDAの基本契約書に基づく信用デリバティブ全般を清算対象とする予定である。また、清算結果をDTCCグループの一員であるDeriv/SERV社の「ウェアハウス・サービス」と直接リンクさせる計画である。
(2)ICEとTCC連合の動き
また、ICE(インターコンチネンタル取引所)は、もともと石油、ガス、電力などエネルギー関係の先物取引所であったが、このほど、シカゴ所在の先物・オプションの清算機関であるTCC(The Clearing Corporation)を買収することを決めた。TCCは、もともとBOTCC(Board of Trade Clearing Corporation)が名称を変更したものである。
ICEでは、TCCを「ICE US Trust」に名称変更し、またNYベースの限定目的信託会社(limited purpose trust company)に衣替えする予定である。そして、このプロジェクトは、欧米の有力金融機関(バンカメ、シティ、クレディスイス、ドイチェバンク、ゴールドマンサックス、JPモルガン、メリルリンチ、モルガンスタンレー、UBS)のサポートを受けているとしている。ICEでは、このサービスのためのシステムの最終的なテスト中であり、今年10~12月にはスタートできるとしている。
TCCでは、もともと今年の初めにはDTCCと協力してCDSの清算機関業務への参入を計画していたが、途中でパートナーがICEに変更された。このプロジェクトは、Markit社やリスク・メトリックス社がサポートしているものとされている。
(3)CMEとCitadel連合の動き
CMEとCitadelでは、10月初に共同で、CDSの電子取引を行う子会社(ジョイント・ベンチャー)を設立する計画を発表した。このプラットフォームで取引されたCDSは、CMEの清算部門においてクリアリングが行われることとされている。両社では、取引関係者にジョイント・ベンチャーへの出資を呼びかけている。
(4)NYSEユーロネクストの動き
NYSEユーロネクストでは、傘下にあるLiffe(ロンドン国際金融先物取引所)を通じて、CDSの清算サービスを提供する計画である。Liffeでは、「BClear」というシステムを有しており、米国当局の認可が得られれば、米国内でのサービスが可能になるものとしている。
(コメント)
CDSの清算機関設立は、当局(NY連銀)の慫慂もあって、ここに来てブームの様相を呈している。4つの陣営とも、まだ構想段階であり、実現までには、まだ相当な紆余曲折があるものとみられる。このうちでは、Eurex ClearingとICEの構想が具体性が高く、実現に向けて近い位置にいるものとみられる。
わが国でも、東証と大証がCDSの清算機関の設立に名乗りを上げており、東京金融取引所でも検討を始める構えである。
CDSの清算機関は、こんなに多くは必要ないものと思われるが、このうちいくつの構想が実際のサービス提供に結びついていくのか、今後とも注視していく必要があろう。
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2008年10月
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DTCCとLCH.Clearnetが合併計画を公表
米国のCCPを傘下に有する「DTCC」と欧州のCCPである「LCH.Clearnet」では、10月22日に合併計画を公表した。
DTCCは、傘下に「NSCC」(株式、社債等)、「FICC」(国債、モーゲージ証券等)、「EuroCCP」(ターコイズへの清算業務)などの清算機関(CCP)を有している。
一方、LCH.Clearnetは、LCH(英国)とClearnet(仏)が2003年に合併して設立された欧州では最大のCCPであり、株式については、ユーロネクストの4市場(パリ、アムステルダム、ブリュッセル、リスボン)の清算業務を行っているほか、Euronext.liffeでのデリバティブ取引、商品先物・エネルギー先物の清算などを行っている。
両者の合併により、世界最大の清算機関(CCP)が誕生する見込みである。この大西洋を跨いだ清算機関(transatlantic clearing house)は、ユーザー所有でユーザー・ガバナンスの組織となり、コスト・ベースで運営する組織となる見込みである。
ユーロクリアは、LCH.Clearnetの株式の15.8%を所有する最大の株主であるが、基本的にこの合併を支持している。
現時点での合併の条件としては、
①DTCCが、LCH.Clearnetの普通株式の100%を取得する。
②その対価として、LCH.Clearnetの株主は、1株当たり10ユーロの対価を受け取る(合計739百万ユーロ)。
③LCH.Clearnetの株主は、新DTCCの株式の34%を取得する。
④合併後、1年~1年半の間に、利用量とオーナーシップを合致させるために、LCH.Clearnetの株主の保有分についての「リバランス」(調整)を行う。
現時点では、さほど拘束力の強くない合意(non-binding heads of terms)に止まっており、今後の合併交渉の行方が注目される。両者は、2009年3月までに、合併条件の詳細を固める予定である。
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2008年10月
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ナスダックOMX取引所が清算機関にEMCFを指名
ナスダックOMX取引所では、ストックホルム証取、ヘルシンキ証取、コペンハーゲン証取、アイスランド証取における株式取引の清算機関(CCP)として、EMCF(European Multilateral Clearing Facility)を利用することを決め、このほど、この「北欧クリアリング・サービス」(Nordic clearing service)について、両者が覚書に調印を行った。
CCPの利用は、任意利用(optional clearing)が2009年1月から、強制利用(full clearing)が2009年6月から、開始される予定である。
OMXは、北欧とバルト諸国の証取において統合を進めてきており、7市場(コペンハーゲン、ストックホルム、ヘルシンキ、アイスランド、リガ、タリン、ヴィリニュス)を傘下に収める。OMXは、2008年2月に、米国のナスダックの傘下に入り、「ナスダックOMX取引所」となっている。
EMCFは、ベルギー・オランダ系の大手銀行であるフォルティス銀行の一部門である。フォルティス銀行は、サブプライムローン問題による経営悪化を受けて、2008年10月にベネルクス三国によって国有化された。EMCFは、オランダ政府によって買収されたオランダの事業部門の一部であるが、国有化によって、サービスには特に影響がないものとしている。
EMCFは、すでにMTF(多角的取引機関)である「Chi-X」や「ナスダックOMXヨーロッパ」にCCPサービスを提供しているほか、近々スタート予定の「BATS Europe」に対しても清算機能を提供する予定であり、LCH.Clearnet、Eurex
Clearingに次ぐ第3の勢力として、存在感を高めてきている。
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2008年10月
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日銀ネットの次世代RTGSシステムが稼動を開始
10月14日、日銀ネットの「次世代RTGSシステム」が稼動を開始した。日銀ネットは、従来、純粋なRTGSシステム(pure RTGS system)であったが、次世代RTGSシステムは、これに「流動性節約モード」を追加して、少ない流動性で効率的に決済を進めることを可能としたものである。
初日となった14日には、特に混乱もなく決済が進められた。
なお、今回の稼動は、次世代RTGSプロジェクトのうち、1期対応分であり、全銀システムからの大口決済(1件1億円以上を目処)の日銀ネットへの集約化である2期対応は、2011年を目処に行われる予定である。
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2008年9月
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ターコイズが正式に取引を開始
9月22日、ターコイズ(Turquoise)が正式に取引を開始した。ターコイズは、9行の大手投資銀行が欧州の主要株式を取引するための取引プラットフォームを創設するプロジェクトである。
ターコイズは、MiFID(金融商品市場指令)における「MTF」(多角的取引機関)に該当する。清算機関には、EuroCCPを利用している。
ターコイズでは、現状、欧州全域の1,300銘柄の取引が可能となっている。ターコイズを推進している9行の大手行は、ロンドン証券取引所をはじめとする欧州の主要取引所において、5割以上の取引シェアを有しており、既存の取引所にとっては大きな脅威になるものとみられている。
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2008年9月
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東証・JSCCなどがOTCデリバティブのポストトレード処理に関する研究会を設置
日本証券クリアリング機構(JSCC)、証券保管振替機構、東京証券取引所は、9月9日、協同で「OTCデリバティブのポストトレード処理の整備に関する研究会」を設置したことを公表した。
OTCデリバティブは、取引所での取引ではなく、当事者が個別に取引を行う形態のデリバティブ取引である。したがって、ポストトレード(照合、清算、決済)処理も、当事者間で個別に行われている。
このポストトレードの部分には、共通のルールが存在しないほか、個別に行われているためシステム化が進んでおらず、紙ベースの処理が中心であるなどの問題点があった。
この研究会では、こうした市場におけるポストトレードの実態を明らかにしたうえで、ポストトレード処理の標準化・集約化のニーズについて議論することとしており、9月下旬より研究会を開始して、2009年3月末までに報告書をまとめることにしている。
詳しくは、ここから。
(コメント)
海外(特に米国)では、OTCデリバティブの取引が急増したため、ポストトレード処理が間に合わず、大量のバックログ(未処理案件)が発生し、中央銀行であるFedがこうした事態に警告を発するという事態に発展した。このため、業界ぐるみでの対応策がとられたり、証券決済機関(CSD)であるDTCCの子会社(Deriv/SERV社)が取引照合サービスや取引後の情報蓄積を行う「ウェアハウス・サービス」を行うなど、ポストトレードの集約化・標準化が進められてきている。また、国際的なCSDであるユーロクリア・バンクやクリアストリームでも、同様なサービスを開始してきている。
今年8月には、元NY連銀総裁のコリガン氏が委員長を務める業界の政策グループが、「システミック・リスク防止へ-改革への道」と題するレポート(コリガン・レポート)を発表した。この中で、OTCデリバティブの清算・決済について、①当日照合(T+0 matching)の実施、②照合と決済のリンク構築など、決済制度の整備を求めている。
わが国においても、OTCデリバティブの取引が急速に増加してきており、手作業での清算・決済処理が限界となるのは、時間の問題とみられていた。何らかのシステム的な手当てについて検討すべき時期になってきている。
この報告書により、市場にニーズがあることが確認されれば、JSCCや保振機構が、OTCデリバティブの清算・決済に向けた中央処理サービスを構築していくという方向に向かうものとみられる。
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2008年7月
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バーゼル銀行監督委員会が、カバー・ペイメントに関する勧告案を公表
バーゼル銀行監督委員会では、「国際送金のカバー・ペイメントに関するデュー・デリジェンスと透明性確保のための勧告案」を公表した。
国際的な送金を行う際に、送金銀行(originator bank)と受取銀行(beneficiary bank)との間に直接のコルレス関係がない場合には、送金銀行は受取銀行に対して受取人への支払を依頼するとともに、仲介銀行(intermediary bank)を通じて、送金資金の払い込みを行う。これを「カバー・ペイメント」と呼ぶ。
これまで、このカバー・ペイメントには、送金人(originator)や受取人(beneficiary)の名前を記載することは必要とされていなかった。しかし、これを意図的に悪用すると、テロや犯罪に関する資金が送金できてしまう可能性が指摘されていた(2007年4月のウォルスベルグ・グループとTCH<ザ・クリアリング・ハウス>による提言など)。
銀行界では、こうした国際的な送金にはSWIFTのネットワークによるメッセージ交換が用いられており、送金銀行から受取銀行への送金指図にはMT103が、カバー・ペイメントにはMT202が用いられている。SWIFTでは、上記の提言を受けて、すでにメッセージの見直しを進めており、2009年11月に新しいメッセージが導入される予定である。
今回のバーゼル銀行委の勧告案は、新しいMTの利用を世界のすべての金融機関に働きかける(事実上、強制する)ことを目的としている。具体的には、各当事者は、以下のような責務を負うものとされる。
(1)送金銀行は、①送金メッセージに、送金人と受取人のデータを含めること、②送金人についてのデュー・デリジェンスを実施することを求められる。
(2)仲介銀行は、①送金人などの必須データが記載されていることを確認すること(リアルタイム・モニタリング)、②必須データ以外の点について不明確な点があった場合に事後的に確認すること(事後モニタリング)、③怪しいパターンや取引についてチェックを行うこと(疑わしい行動のモニタリング)、④当局の取引禁止・資金凍結命令などのリストに対するチェックを行うこと(禁止名簿に対するモニタリング)、などを求められる。
(3)受取銀行では、①送金銀行からのメッセージと仲介銀行からのメッセージ内容の突合を行うこと、②受取人に対するデュー・デリジェンスを実施すること、などが求められる。
(4)金融監督当局では、上記のようなモニタリングが確保されるように、各国の銀行が、適切な方針や手続きを定め、それを実行しているかどうかをチェックすることとされている。
なお、本勧告案は、暫定版であり、2008年9月16日までコメントが受け付けられる。本案を作成したアンチマネロン専門家グループ(AML/CFT Expert Group)には、わが国の金融庁も参加しており、最終案が策定された場合には、わが国においても、遵守状況が検証されることになろう。
詳しくは、ここから。
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2008年7月
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Eurex ClearingがOTCデリバティブ向けのCCPプラットフォームの構築を計画
ドイツのCCP(清算機関)であるEurex Clearingは、
7月22日に、OTCデリバティブ向けのCCPプラットフォームを構築する計画を発表した。
OTCデリバティブは、現状、取引当事者間でバイラテラルに清算・決済が行われているが、これをCCPを通じて行おうとするものである。新しいプラットフォームは、Eurex Clearingの既存の機能に、新しい機能を追加することによって構築される。CCPを導入することにより、ネッティングによるポジションの圧縮やマージンの最適化、人手による処理エラーの排除、カウンターパーティ・リスクの削減などが図れるものとしている。
当初の対象商品は、最近、取引が急増している「クレジット・デフォルト・スワップ」(CDS)であり、2009年前半の稼働開始を予定している。その後、市場のニーズに応じて、株式や債券のデリバティブなどに対象を拡大していく方針である。
詳しくは、ここから。
<コメント>
OTCデリバティブの取引後処理の合理化については、米国でも、DTCCがCDSを対象に、取引情報の蓄積やネッティングを行う「ウェアハウス・サービス」を2006年に導入し、対象商品の拡大を図っている。
また、ユーロクリア・バンクでも、2007年にOTCデリバティブの取引照合とネッティングを行うサービスである「DerivManager」を開始している。
今回のEurex Clearingの動きは、こうした他機関の動きに対抗するものであり、米国・欧州で、OTCデリバティブ向けのサービスの導入競争が行われているかたちである。
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2008年7月
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ECB理事会が、T2Sプロジェクトの開始を正式に決定
ECB理事会(Governing Council)では、7月17日に、「ターゲット2証券プロジェクト<TARGET2-Securities Project>」(以下、T2Sプロジェクト)を正式に、スタートさせることを決定した。
またECB理事会では、T2Sシステムの開発と運用を、ブンデスバンク(独の中銀)、スペイン中銀、フランス中銀、イタリア中銀の4中銀に委託することを決めた。
この決定は、5月23日付けで発出された欧州内のすべての証券決済機関(CSD)に対するT2Sへの参加の呼びかけに対する回答を受けて行われた。このT2Sへの参加提案には、T2Sへの参加による経済的なメリット、法的なアセスメント、T2Sのユーザー要件の詳細、ガバナンスなどについてのレポートが含まれていた。
ECBでは、ユーロ域内ほとんどのCSDから、①T2Sプロジェクトの継続を支持する、②2009年3月末までに法的な契約を締結する用意がある、③T2Sが稼働した時点で利用する意向である、との回答を得て、上記の決定に至ったものである。
ユーロ域外のCSDについても、①デンマークのCSDがすでに参加の意向を示しているほか、②スウェーデンとスイスのCSDがユーロでの決済分について参加の意向を示している(ただし、自国通貨での決済分についての正式な決定は未了)。
詳しくは、ここから。なお、T2Sプロジェクトの詳細については、『証券決済システムのすべて(第2版)』(東洋経済新報社)を参照のこと。
<コメント>
2006年7月の構想発表から2年を経過して、ついにT2SプロジェクトについてのECB理事会による正式な決定が行われた。T2Sは、現在、欧州の20以上のCSDに分散して行われているユーロ建ての証券(国債、株式など)を、ECBが集中して行おうとするものである。これにより、すべてのユーロ証券の決済が、T2Sの単一プラットフォームにおいて集中して行われることになる。
この間、証券決済機関としての業務の重要部分を取り上げられる形となる各国CSDからは、強硬な反発があったが、ECBでは、最終ユーザーである金融機関のサポートを得て、こうした反対を押し切り、ついにプロジェクトを発車させることに成功した。
今後、ECBから委託を受けた4中銀がシステム構築を行うことになる。T2Sシステムが実際に稼働を開始するのは、2013年の予定である。これにより、ユーロ圏における証券決済インフラのランドスケープが大きくかわることになるものとみられる。
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2008年6月
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NYSE Euronextが、カタールのドーハ証券取引所に資本参加
NYSE Euronextグループでは、ドーハ証券取引所(DSM:Doha
Securities Market)に2.5億ドルを支払って、株式の25%を取得する予定である。
これは、NYSE Euronextグループとしては、海外の取引所に対するこれまでで最大の投資であり、中近東にプレゼンスを確立することを目的としている。手続きは、2008年末までに完了する予定である。
ドーハ証券取引所では、NYSE Euronextの提供する技術をもとに、現物とデリバティブの両方を取り扱う市場を開設する予定である。
中近東においては、すでに、NASDAQ OMXグループが、ドバイ国際金融取引所に対して、33%の資本参加を行っており、今回のNYSE Euronextの動きは、これに対抗するものとなる。
FT紙によると、ロンドン証券取引所(LSE)も、ドーハ証券取引所に対して、同様の資本提携の提案を出していたが、条件面でNYSE Euronextに敗れたものとされている。
(コメント)
東証にも、海外から資本提携を迫る動きが遠からず、来るものとみられる。
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2008年6月
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LCH.Clearnetが香港の商品先物取引所に清算サービスを提供へ
欧州(英・仏)の清算機関(CCP)であるLCH.Clearnetでは、6月25日に、近く新設される香港の商品先物取引所である「香港マーカンタイル取引所」(HKMEx:Hong Kong Mercantile Exchange)に対して清算機能を提供することを発表した。
同取引所は、国際商品市場と中国市場との橋渡しの役割を果たすことを目的としており、提携先のNASDAQ OMX取引所が、取引システム(trading
engine)を提供する予定である。
清算機関が、国境を越えて他の国の取引所の清算業務を行う例は、欧州ではいくつかみられているが、アジアと欧州といった地域を越えた組み合わせは極めて異例である。
HKMExは、同じ時間帯にあるわが国の商品取引所に対する強力なライバルとなる可能性もあり、今後の動向を注視する必要があろう。
詳しくは、ここから。
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2008年6月
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スウェーデン・フィンランドのCSDがユーロクリア・グループへの統合に合意
スウェーデンとフィンランドの証券決済機関(CSD)である「NCSD」(Nordic Central Securities Depository)は、6月2日、ユーロクリア・グループに株式を売却し、同グループに統合することについての覚え書(MoU)に調印した。
NCSDグループは、スウェーデンのVPCが、2004年にフィンランドのAPKを買収することによってできた北欧2カ国のCSDである。主要株主は、Nordea, SEB、Svenska
Handelsbanken、Swedbankの4行(各24.82%を保有)であり、この4行で99%以上を保有する。この統合(買収)は、関係当局の認可を得たうえで、2008年第Ⅳ四半期に実施される予定である。
ユーロクリア・グループは、すでに5カ国の市場(英国、フランス、ベルギー、オランダ、アイルランド)の証券決済を行う「欧州最大のCSD」となっているが、今回の統合により、対象は7カ国に拡大し、さらに「欧州のリーディングCSD」としての地歩を固めることになる。
統合後の新ユーロクリア・グループは、Eurotop300銘柄の65%の決済を行うとともに、ICSD(国際的なCSD)であるユーロクリア・バンクも含めると、欧州内の債券の約5割を対象とすることになる。
NCSDでは、北欧2カ国における証券決済をユーロクリア・グループが導入を進めている「単一プラットフォーム」(Single Platform)に移管する計画である(移管時期は、単一プラットフォーム化が完了する2011年ごろの予定)。この統合によるユーロクリア/NCSDの顧客のコスト削減効果は、毎年3.5億ユーロと見積もられている。
詳しくは、ここから。
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2008年6月
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BISのCPSSが「決済システムの相互依存関係」に関するレポートを公表
BIS(国際決済銀行)のCPSS(支払・決済システム委員会)では、6月4日、「決済システムの相互依存関係について」(The Interdependence of Payment and
Settlement Systems)と題する報告書を公表した。
本報告書では、まず複数の決済システム間の結びつきが強まっている点を分析している。決済システムの相互依存関係は、①「DVP決済」を行うための資金決済システムと証券決済システムとの間の結びつき、②「PVP決済」を行うための資金決済システム間の結びつき、③大手の金融機関が複数の決済システムにおいて決済活動を行うことを通じた間接的な結びつき、④多くの決済システムが、SWIFTのような共通のメッセージ・サービス業者などに依存することによる結びつき、などを通じて強まっているとしている。
こうした決済システム間の相互依存関係は、混乱が生じた場合に、それが広範囲かつ迅速に伝播していく危険性を高めているものとしている。こうしたリスクを「決済システム間リスク」(cross-system risk)と呼んでいる。
こうした決済システム間リスクに対応するために、以下の3つのアクションが推奨されている。
①広範囲のリスク管理の観点
-相互依存関係を通じて他者からもたらされるリスクについて、定期的に点検すること。
②関係者の役割に応じたリスク管理策
-相互依存関係を通じて伝播するリスクに対して、自らが適切なリスク管理策をとっているかどうかを定期的に評価すること。
③広範囲の調整
-各当事者は、自らの危機管理策が、相互依存関係を通じた関係者の間の協調を確保できるかどうかを定期的に点検すること。
また、中央銀行のほか、銀行監督当局、証券監督当局は、相互依存関係のもたらすリスクに対して、協調して対応を進めていくことが提言されている。
詳しくは、ここから。
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2008年5月
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CLS銀行が2通貨を決済対象通貨に追加
CLS銀行では、イスラエルのシェケルとメキシコのペソの2通貨を決済対象通貨として追加した。これでCLS銀行の取り扱い通貨は、17通貨となる。
現在、CLS銀行を通じた決済ボリュームは、1日平均で50万件、米ドル換算で4兆ドルに上っている。
CLS銀行には、6月初時点で、60行がCLS銀行で直接決済を行う「メンバー」となっているほか、銀行、投資ファンドなど2,800社以上が、決済メンバーの顧客である「サード・パーティ」としてCLS決済を行っている。
CLS銀行の決済対象通貨
第1次通貨:7通貨
(2002年9月)
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米ドル、カナダ・ドル、英ポンド、ユーロ、スイス・フラン、日本円、豪ドル
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第2次通貨:4通貨
(2003年9月)
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デンマーク・クローネ、ノルウェー・クローネ、スウェーデン・クローナ、シンガポール・ドル
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第3次通貨:4通貨
(2004年12月)
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香港ドル、ニュージーランド・ドル、韓国ウォン、南アフリカ・ランド
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第4次通貨:2通貨
(2008年5月)
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イスラエル・シュケル、メキシコ・ペソ
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2008年5月
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Vocalinkがファスター・ペイメントの稼働を開始
APACS(英国決済協会)では、「ファスター・ペイメント」(Faster Payment)のサービスがVocalink社によって、5月27日より開始されたことを発表した。
同サービスは、当初2007年11月のスタートを予定していたが、半年遅れのサービス開始となった。
ファスター・ペイメントは、従来、送金人の送金依頼から受取人の受取まで3日間を要していた英国の小口決済のスピード・アップを図るために導入されるものである(この背景には、決済までに時間がかかりすぎるとして改善を求めるOFT<Office of Fair Trading:公正取引局>の圧力がある)。
対象となる取引は、第1に、インターネットや電話による送金依頼である。送金人は、銀行の営業時間外や休日にも、送金依頼を行うことができる。これらは、小口決済の2%を占めるのみであるが、今後、急速に拡大することが予想されている。また対象の第2は、継続指図(standing order)であり、これは小口決済の6%を占める。
ファスター・ペイメントを利用することにより、これらの送金は、いずれも数時間以内(within hours)で相手の口座に届くことになる。これ以外の92%の小口決済(送金および自動引落し)は、従来どおり英国の小口決済であるBACSを通じて、3日のサイクルで行われる。
ファスター・ペイメントを利用できる送金には上限金額が設けられており、インターネットと電話による送金は1万ポンド(約200万円)、継続指図は10万ポンドとされている。
ファスター・ペイメントには、英国の主要13行が参加するが、これら13行は、英国における小口決済の95%以上を占めている。
ファスター・ペイメントは、段階的な導入(phased rollout)を行っていく方針であり、当初は、送金と受取ができるのは一部行のみで、残りは受取のみの取扱いとなる。また、継続指図については、取扱いが6月6日からとなる。また、当初は、いくつかの銀行では、上記の上限金額を下回る自主的な上限(lower initial limit)を設定している。
なお、ファスター・ペイメントを運営するVocalink社は、BACSの運営を行うVoca社とATMのネットワークを運営するLink社が、2007年7月に合併して誕生した決済システム・ネットワークの運営会社である。
詳しくはここから。
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2008年5月
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ECBがT2Sプロジェクトへの参加CSDを募集
ECBの理事会は、5月23日に、T2Sプロジェクト(TARGET2-Securities Initiative)に参加するCSD(証券決済機関)の募集を行う旨を発表した。
参加を希望するCSDは、7月4日までにECBに申し込みを行うこととされている。
同時に、以下の資料が発表された。
①経済的な影響の分析
②ユーザー要件の詳細(860ページにも及ぶ膨大なもの)
③法的なアセスメント
④T2Sのガバナンス
⑤T2Sのコンテクストにおけるハーモナイゼーションの努力
<コメント>
T2S(ターゲット2証券プロジェクト)は、ECBの資金決済システムであるTARGET2のプラットフォーム上でEU内の証券決済を集約して行おうとするプロジェクトである。
これに参加しないと、事実上その国の証券市場が、EU内で孤立することになるため、EU内の殆どのCSDが参加を申し込むものとみられる。これらの各国CSDは、すでにECBとともに、T2Sのユーザー要件の詳細の検討の作業に参加している。
詳細は、ここから。
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2008年5月
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スウェーデンが小口決済を英国VocaLinkにアウトソース
英国の小口決済を行うVocaLink社では、5月15日に、スウェーデンの小口決済システム(Swedish Bankgiro System)の運営者である「BGC」との間で、アウトソーシングの契約に調印を行った。
この契約によると、BGCは、スウェーデン国内の送金(credit transfer payment)と自動引き落とし(direct debit)の処理をVocaLinkに外注する。スウェーデン国内の顧客との関係(customer relationship)は、引き続きBGCが担当するものの、IT面での開発・処理は、全面的にVocaLinkに移管される。 実際のオペレーションの移管は、2010年初めごろが目処とされている。
EUでは、決済市場(European payment market)の統合化を進めているが、国内の決済処理を海外の業者にアウトソースする動きは初めてであり、今後、同様な動きが広がるかどうかが注目される。
(コメント)
これは、例えて言えば、「全銀システム」の運営を香港やシンガポールの業者に委託するようなものである。それだけ、EUでは、国境の概念が低くなってきているということであろう。
詳しくはここから。 |
2008年5月
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CHAPS Euroが閉鎖へ
英国のAPACS(決済に関する協会)では、「CHAPS Euro」を5月16日(金)限りで閉鎖し、サービスを中止することを発表した。
CHAPS Euroは、①英国内におけるユーロのRTGS決済を行うこと、②英国所在の銀行のTARGETへのアクセスを確保すること、を目的として、ユーロの導入と同時に1999年1月から稼働を開始していた。
閉鎖の理由としてAPACSでは、①ユーロへの参加に向けた英国のスタンスが後退していること、②CHAPS Euroの利用が急速に減少していること、③TARGET2にアクセスする他の方法が確保されていること、などを挙げている。
CHAPS Euro は、9年間の稼働により幕を閉じることになるが、この間、CHAPS Euroは、5千万件、338兆ポンドの決済を行った。この金額は、EUの2007年のGDPの約50倍に匹敵する。
(この間のCHAPS Starling<英ポンドの決済システム>の決済量は、2億45百万件、484兆ポンドであり、CHAPS Euroは、CHAPS Starlingに対し、件数ベースで2割、金額ベースで7割の決済を行ったことになる)
因みに、TARGET2の稼働開始(第1陣:2007年11月、第2陣:2008年2月)以降、CHAPS Euroの利用は激減しており、2008年1~3月の決済件数は、前年の半減(前年比△53%)となっていた。
<コメント>
英国は、TARGET2に参加しないことを決めているため、ロンドン所在の銀行は、いずれにしてもTARGET2へのアクセスの手段を確保することが必要となっていた。
このため、英国所在の銀行では、TARGET2において認められている「Addressable BIC」という制度を使う。これは、TARGET2参加国内にある「主たるアクセス先」(RTGS口座の保有先:EU圏の支店)が、本店や他の支店などに特別なBICによりアクセスを認める方法である。
たとえば、主たるアクセス先は、フランクフルト支店として、ロンドンの本店が、Addressable BICにより、直接、ユーロの支払指図の受送信を行う。このため、ロジカル(形式的、システム的)には、フランクフルト支店がTARGET2へのアクセス先となるが、ユーロ決済のオペレーションは、これまで通りロンドンで行われる(このため、オペレーションの実質には、変更はない)。
主たるアクセス先としては、バークレーズ、JPMC、Citi、RBSなどがフランクフルトとする一方、ロイズTSB、HSBCなどはアムステルダムを選定している模様である。
詳しくはここから。
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2008年5月
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英国の決済協議会が「決済改善計画」を公表
英国の「決済協議会」(Payment Council)では、5月14日に、初めての「決済改善計画」(National Payments Plan)を公表した。
決済協議会は、英国財務省や公正取引局(OFC:Office of Fair Trading)の支援のもとに、英国における決済サービスの将来像について検討することを目的として、2007年3月に設立されたものである。
同協議会では、2007年11月から、関係先からの意見聴取(public consultation)を行ってきており、今回のレポートが初めての提言となる。
同計画では、以下のような点が優先課題とされている。
(1)小切手
(2)小切手保証カード(Cheque Guarantee Card)
(3)自動引き落とし(Direct Debit)
(4)口座番号のフォーマット(Account Number Formats)
(5)モバイル決済(Mobile Payments)
(6)サプライ・チェーン
(7)決済に関する教育
(8)標準化
この中で例えば、小切手については、長期的な利用減少傾向を受けて、取扱いの取り止め(phase out)について検討すべきとしている(コンサルテーションの中では、2018年を利用取りやめの目標年次にすることが提案された)。
英国における小切手の利用は、2007年には前年比△9.3%と、1991年に減少が始まって以来、最大の減少幅となった。これは、大手のスーパー・マーケットやガソリン・スタンドなどが、相次いで小切手の受入れを中止していることが影響しているものとみられている。
このほか、小切手の利用減少を受けて、小切手保証カードの機能の見直しについても、喫緊の課題とされている。自動引き落としについては、一回限りの引き落とし(one-off direct debit)や企業間の引き落とし(business-to-business direct debit)の導入などが検討課題とされている。モバイル決済については、携帯電話による銀行口座間の送金サービス(bank account to bank account mobile payment
service)の開発を行うかどうかが課題とされている。
優先課題としては、上記のように、主としてリテール決済の項目が多く並んでいる一方で、「CHAPSと大口決済」や「SEPAとクロスボーダー決済」などは、「その他項目」として整理されており、優先度合いは低いものとされている。
これらの項目については、それぞれ行動計画が立てられており、進捗状況については、年に1回程度の報告が行われる予定である。また、改善計画自体についても、3年に1度程度の頻度で見直しが行われる予定である。
詳しくは、ここから。
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2008年5月
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BISが外為決済リスクに関する報告書を公表
BIS(国際決済銀行)の決済システム委員会(CPSS)では、5月13日に「外為決済リスク削減の進展について」と題する報告書を公表した。
CPSSでは、これまでにも外為決済リスクに関するレポートをいくつか公表してきているが、今回は、現状における外為決済リスクの管理の現状についてまとめたもの。具体的には、外為市場における活発なプレーヤーである100以上の金融機関の外為決済リスクの管理の現状についての大規模なサーベイを行い、その結果をとりまとめている。
そのうえで、更なるリスク削減に向けた提言を行っているが、その中で、①「バイラテラル・ネッティング」(bilateral netting)の利用拡大の可能性、②CLS銀行における決済対象として、当日決済取引(same day trade)や翌日決済取引(next day trade)を追加する可能性(現状の対象は、T+2決済の外為取引のみ)、などに言及している点が注目される。
なお、本報告書は、2007年7月に公表された暫定版(consultative report)の最終版であるが、暫定版と大きな違いはない。
詳しくは、ここから。
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2008年4月
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「クリアリング機能の強化に関する研究会」が報告書を公表
経済産業省・農林水産省の「クリアリング機能の強化に関する研究会」では、4月24日に、「クリアリング機能の強化に向けた今後の取組について」と題する報告書を公表した。
同研究会は、わが国の商品先物市場の清算機能を担っている「日本商品清算機構」(JCCH)の清算機能の強化について検討を行ってきた。
報告書では、①クリアリングハウスの経営基盤の確立と、②クリアリングにおける信用力の強化が2本柱となっている。
前者としては、イ)組織・体制の整備、ロ)運営財源の確保、ハ)経営方針の明確化、などが課題として挙げられている。
また後者としては、a)違約対策財源の充実、b)清算参加者の信用力の強化、c)清算リスク管理のあり方、などが課題となっている。
本報告書には、「取組の実施時期について」というマイルストーン表が含まれており、この工程表に沿って、課題の解決に向けた対応をスピード感とメリハリをもって進めていくものとされている。
<コメント>
本研究会には、中島も委員として参加し、多少の貢献を行った。この報告書に沿って、JCCHの清算機能の強化が速やかに行われることを期待したい。
詳しくは、ここから。
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2008年4月
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欧州委員会がCESAMEⅡグループを組織
欧州委員会では、EUにおける証券清算・決済システムの統合を進めるためのアドバイスとモニタリングを行うCESAMEグループ(Clearing and Settlement Advisory and
Monitoring Expert group)の任期が2008年6月に切れるのに伴い、その後継グループである「CESAMEⅡグループ」を設置することを決めた。
CESAMEⅡグループは、民間部門と公的部門のハイ・レベルの約30名で構成されることになる見込みであり、参加希望者は5月末までに申込みを行うこととされている。
CESAMEⅡグループでは、引き続き、欧州におけるクロスボーダーの証券の清算・決済に関する障害(「ジョバンニーニ・バリア」と呼ばれる)を除去するために、各種の解決策の実施状況に関するモニタリングや働きかけ、サポートなどを行う予定である。
詳しくはここから。
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2008年4月
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欧州の7つの証券決済機関(CSD)が相互リンクを計画
4月2日、欧州の7つのCSDは、相互リンクのための「Link Up Markets」プロジェクトを立ち上げることで合意した。
参加する7つのCSDは、以下の通り。
国名
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CSD名
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ドイツ
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クリアストリーム・フランクフルト
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ギリシア
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Hellenic
Exchange
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スペイン
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IBERCLEAR
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オーストリア
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OeKB
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スイス
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SIS
SegaInterSettle
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デンマーク
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VP Securities
Services
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ノルウェー
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VPS
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Link Up Marketsプロジェクトは、これまで個別に行っていたCSD間のリンクを共通のインフラを通じて共通の手順で行えるようにするものである。これにより、各国市場の市場参加者は、国内のCSDをアクセス・ポイント(single point of access)として、他の市場のCSDにアクセスすることができる。これにより、欧州内のクロスボーダー証券決済のコストを最大80%まで削減することができるものとしている。
参加する7社は共同で、マドリッドに「Link Up Capital Markets社」を設立する計画であり、この会社が共同インフラの構築にあたるものとされている。
Link Up Marketsは、2009年前半の稼働開始を目指している。
<コメント>
このLink Up Marketsプロジェクトは、欧州内のクロスボーダー証券決済の合理化を目指している点で、欧州中央銀行(ECB)が進めている「T2Sプロジェクト」(TARGET2-Securities)と完全にバッティングするプロジェクトとなっている。
しかも、T2Sプロジェクトでは、EU域内のすべてのCSDの口座が集約化の対象となるのに対して、Link Up Marketsプロジェクトでは、そのうちの一部のCSDのみしか対象となっているいない。また、欧州の最有力CSDグループであるユーロクリア・グループは参加していないため、欧州全体での証券決済インフラの統合という意味では中途半端なものとなっている。
市場関係者の間では、Link Up Marketsプロジェクトは、クリアストリーム・フランクフルトを中心とするプロジェクトであると受け止められており、5つのCSDの集合体となっているユーロクリア・グループに対抗するグループを作ろうとする狙いがあるものとみられる。
また、この夏にも予定されているT2Sプロジェクトについての最終決定に向けた牽制(T2Sの必要性がないことを訴える)の狙いもあるものとみられる。
ただし、T2Sプロジェクトが実現し(稼働開始は2013年の予定)、すべての欧州内での証券決済がTARGET2上で行われるようになれば、Link Up Marketsプロジェクトは、T2Sの下にある「中2階」的な存在になることも考えられ、その存在はあまり意味をなさないことになる可能性がある。 その意味では、二重投資となる危険性もはらんだプロジェクトであるとみることもできよう。
詳しくは、ここから。
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2008年4月
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Equens(オランダ+ドイツ)がIberpay(スペイン)、Seceti(イタリア)との相互リンクを始動:欧州初のACH間リンクを構築
オランダ+ドイツのACHであるEquensでは、4月8日に、Interpay(スペイン)、Seceti(イタリア)との間で、バイラテラルな決済指図の交換を始めたと発表した。これは、欧州のACHでは、初めてのバイラテラルなリンクの構築となる。
Equens(オランダ+ドイツ)、Interpay(スペイン)、Seceti(イタリア)、STET(仏)、VovaLink(英)の5つのACHは、2007年10月に、相互リンクを行う計画を発表しており、今回はその第1弾となる。その他のバイラテラル・リンク(注)も、今後、順次始動していく予定とされている。
今回のリンクは、2007年8月にEACHA(欧州ACH協会)が作成・承認した「技術的な相互運用性フレームワーク」(Technical Interoperability Framework
version 3.0)に基づいている。またEquensでは、今回のリンクは、欧州決済協議会(EPC)のルールブックや、ISO20022(UNIFI)のメッセージ標準、汎欧州ACH(PEACH)の条件などの業界標準にも準拠したものであるとしている。
今回のリンクにより、たとえば、オランダの送金人がスペインやイタリアの受取人あてに資金を送ることが、効率的にできるようになる。
欧州全域を対象とするACHサービスとしては、すでにユーロ銀行協会(EBA)が「STEP2」を稼働させており、今回のバイラテラル・リンクは、これに対抗する動きとなる。
詳しくは、ここから。
(注)5つのACHがすべての間で相互リンクを結ぶためには、全部で10のリンクが必要となる。今回は、そのうちの2つのリンクの構築となる。
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2008年4月
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金融庁が「決済システム強化推進室」を設置
4月1日付けで、金融庁総務企画局企画課に「決済システム強化推進室」が設置された。室長は、これまで調査室長であった高橋康文氏(調査室長も兼務)。
当面は、金融制度審議会で検討が始まるいわゆる「電子マネー法制」に向けた活動が中心となる模様であるが、担当分野には、大口資金決済システムや証券決済制度改革も含まれる。
金融庁に「決済システム」という名前が付く組織が設置されるのは初めてのことである。昨年度から盛り上がりを見せている「決済システムの高度化・国際競争力の強化」の議論を受けた動きとみられ、今後の活動内容が注目されるところである。
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2008年3月
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Fedwireがメッセージ・フォーマットの変更を検討
Fed(米国の中央銀行)が運営する資金・証券の決済システムである「Fedwire」では、資金決済に関するメッセージ・フォーマットの変更を検討しており、利用者に対するサーベイを実施している(締め切りは3月14日)。
変更を予定しているのは、①カバー支払(Cover Payment)と②送金明細データ(Business
Remittance Information)の2点である。
(1)カバー支払(Cover Payment)
カバー支払は、国際的なコルレス・バンキング業務で使われる支払である。例えば、日本のA行(Originator’s Bank:送金銀行)の顧客X社が、海外のコルレス先であるB行(Beneficiary’s Bank:受取銀行)の顧客Y社に送金を行うものとする。そして、事前の取り決めにより、A行とB行間の資金のやり取りは、仲介銀行(Intermediary Bank)である米銀C行における米ドル口座で行うことになっているものとする。こうした場合における当該送金のためのA行からC行への送金がカバー支払にあたる。
現行のカバー支払のためのメッセージ・フォーマットでは、最初の送金人(originator:上の例ではX社)と最終的な受取人(beneficiary:上の例ではY社)が含まれるかたちになっていない。
2007年4月に、民間銀行の団体である「ウォルフベルグ・グループ」と米国のACH運営主体である「TCH」(The Clearing House Payments Company)では、こうした点が、マネーロンダリングやテロリストの送金に利用されかねないとして、送金人と受取人のデータを必ず含めるように送金メッセージのフォーマットを見直すことを求める提言を出していた。
これに対して、銀行監督当局の集まりである「バーゼル銀行監督委員会」では、2007年10月に、ウォルフベルグ・グループの提言を支持する声明を出していた。⇒ 詳しくはここから。
また、こうしたカバー支払には、銀行間のネットワークであるSWIFTの「MT202」が使われているが、SWIFTでも、同グループの提言を受けて、国際送金の透明性を高めるための作業を進めている。SWIFTが開発中の新しいフォーマットでは、カバー支払のメッセージに、送金人と受取人のデータが含まれる。また、最大1万文字(character)のフィールドが設けられ、ここに送金銀行が、1件のカバー送金に相当する複数の送金に関するデータを書き込むことができるようになる見込みである。この新しいカバー支払のメッセージは、2009年11月に導入される予定である。
(2)送金明細データ(Business Remittance
Information)
送金明細データは、請求書の番号など、送金の内容を示すデータである。この情報があると、送金の受取企業では、「決済データ」(受け取った資金のデータ)と社内にある「請求データ」との「照合」を自動化することができ、効率化を達成できる。
FedwireとCHIPSでは、標準化し、構造化された(standard and structured)「送金明細データ」を支払指図に添付することを可能にする計画である。これは、2006年10月に行われた「FedとCHIPSの共同調査」において、企業の送金明細データに対する強い要望が明らかになったことに対応するためである。
新しいメッセージでは、最大9,000文字までの送金明細データを添付することが可能となる見込みであり、Fedでは、これにより、1件の送金につき、25~30件の請求書データを添付することができるものとみている。
送金明細データのフォーマットとしては、EDIフォーマットである「STP820」や、ISO20022のXMLフォーマットなど、幅広いフォーマットを使用可能とする予定である。
送金明細データに含まれるカテゴリーは、以下の通りである。
カテゴリー
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内 容
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送金人
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名前、住所、口座番号
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受取人
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名前、住所、口座番号
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送金明細データ
(第1次)
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支払に関連する文書のタイプ(請求書など)とIDナンバー
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文書日付
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請求書(または他の書類)の日付
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グロス請求金額
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請求書(または他の書類)上のグロス請求金額
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実際の支払金額
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請求書(または他の書類)に基づく実際の支払金額
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ディスカウント金額
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請求書(または他の書類)上のグロス請求金額から差し引かれる交渉によるディスカウント額
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調整項目
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その他の調整額(グロス請求金額から差し引かれる額)とその理由
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送金明細データ
(第2次)
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送金に関する追加情報。請求書番号以外のデータ(注文番号など)を記入することができる。
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フリー・テキスト
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送金に関する追加情報を記入するフリー・テキストのエリア
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(コメント)
米国では、すでに小口決済システムである「ACH」が最大80万文字までの送金明細データを送ることのできる「EDIサービス」(Electronic Data Interchange)のサービスを提供しており、利用件数は急増(毎年2桁の伸び)している。
また、欧州においても、SEPA(単一ユーロ決済圏)を目指す取組みの中で、EU内における標準的な送金手順(SEPA Credit Transfer)が策定され、この中で、140文字の送金明細データの転送が標準化されている。
わが国では、全銀システムにおいて「マッチング・キー方式」が導入されているが、マッチング・キーの最大長が20桁であるため使い勝手が悪く、殆ど利用されていない。
このままでは、わが国は、「送金明細データの後進国」、「EDIの周回遅れの国」となってしまうのではないかとの懸念がある。2007年中の金融審議会のスタディ・グループでも、金融EDIへの対応が必要であることが有識者から指摘されており、早急に検討を開始することが望まれる。
詳しくは、ここから。
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2008年2月
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Fedが、日中O/Dを有担化へ
FRB(米国連邦準備制度理事会)では、2月28日に、「決済システムリスクにかかる方針の変更」(Proposed Changed to its Payment System Risk
policy)を公表し、Fedwireの利用者からのコメントを求めた(コメントの締め切りは6月4日まで)。
FRBでは、Fedwire の利用者(民間銀行)の日中当座貸越(日中O/D)の利用が増えていることや、1日の終わりの資金決済が増えていることについて、兼ねてから、懸念を表明しており、2006年にも見直し案のコンサルテーション・ぺーパーを公表して、市場関係者のコメントを求めていた。今回の変更提案は、こうしたマーケットの反応も勘案したものとなっている。
見直しの柱は、これまで、有料(1分ごとに課金)であったが、無担保で利用できた日中O/Dを「有担化」することにある。ただし、有担化は、義務付けではなく、自主的(voluntary)なものとされている。
有担化を進めるため、①有担の日中O/Dの利用料金は無料(zero cost)とする、②無担保での日中O/Dの利用料金の大幅な引き上げ(36ベーシス・ポイント⇒50ベイシス・ポイント)、③小口の利用者に対する配慮として、利用料金の免除額(fee waiver)の引き上げ(25ドル⇒150ドル)、などがセットで提案されている。
また、④日中O/Dの利用上限額(net debit cap)の見直し、⑤外銀に対する日中O/D利用枠の拡大手続きの改善、⑥利用料金からの控除額(deductible)の廃止、⑦日中O/Dに関するペナルティ・レートの引き上げ、などの見直しも含まれている。
FRBでは、利用者からのコメントを検討したうえで、最終案を確定し、2年後の実施を予定している。
(コメント)
FRBの日中O/Dの利用は、世界の中央銀行の中では珍しく、「無担・有料」であったが、これを原則として「有担・無料」に変更するものであり、大きな方針転換となる。
詳しくは、ここから。
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2008年2月
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シンガポール取引所がシンガポール商品取引所を買収し、総合取引所へ
シンガポール取引所(SGX)は、シンガポール商品取引所(Sicom)の株式の95%以上を取得して買収することを2月27日に発表した。
もともとSGXは、株式等を取り扱う「シンガポール証券取引所」(SES)と「シンガポール国際金融取引所」(SIMEX)が、1999年12月に合併してできた取引所である。
現在のSGXの取扱い商品は、以下の通りである。
<証券>
?
Bonds, Debentures and Loan Stocks
? Business Trusts
? Equities
? Exchange Traded
Funds (ETFs)
? Global
Depository Receipts (GDRs)
? Infrastructure
Funds
? Real Estate
Investment Trusts (REITs)
? Warrants
<デリバティブ>
?
Short-Term Interest Rate Futures and Options on Futures
? Long-Term
Interest Rate Futures and Options on Futures
? Equity Index
Futures and Options on Futures
? Structured
Warrants
? Certificates
一方、今回の買収の対象となるSicomは、ゴムを中心とする商品先物取引所であり、今回の買収でSGXは、証券、デリバティブ、商品先物を手がける「総合証券取引所」となる。
わが国に例えると、東京証券取引所と東京金融取引所と東京工業品取引所が合併するようなものである。わが国でも、2007年中には、政府の「経済財政諮問会議」などで「総合取引所構想」が検討されたが、関係者の反対などもあり、その後、この構想は取扱い商品の相互乗り入れなどの議論に矮小化されている。
わが国における議論が行き詰まりを見せる中で、シンガポールでは、いち早く、総合取引所構想を実現するものである。内外のスピード感の違いを感じさせる出来事である。
詳しくは、ここから。
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2008年2月
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米司法省が先物取引所のクリアリング・サービスに対するコントロールを問題視
米国司法省では、2月6日、先物取引所のクリアリング・サービスに対するコントロールが競争制限をもたらしているとするレポートを公表した。
このレポートによると、オプション取引については、OCC(Option Clearing Corp.)が、株式取引については、NSCC(National Securities Clearing Corp.)が、それぞれ複数の取引所やECNを対象として、クリアリング・サービス(清算業務)を行っているため、取引所間の競争が促進され、フィーの低下、スプレッドの縮小、システムのイノベーションなどがもたらされている。
これに対して、先物取引については、CME(Chicago Mercantile Exchange)が、傘下にあるCME Clearing Houseをコントロールするかたちで清算業務を行っているため、CMEがほぼ100%の市場シェアを有する独占状態となっている。こうした清算業務の集中化がネックとなって、BTEX(BrokerTec Futures Exchange:BrokerTecの子会社)、USFE(U.S. Futures Exchange:Eurexの子会社)、Euronext.Liffeなどの米国先物市場への進出がいずれも失敗に終わっている。
このため、司法省では、先物取引所のクリアリング・サービスに対するコントロールを止めさせる方向で、政策の転換を図るべきであるとしている。
このレポートは、米財務省からの要求(request for comments)に応じて作成されたものであり、財務省では、このレポートを受けて、CMEにおける取引所部門と清算部門との分離を促すような政策をとる可能性があるものとみられる。
なお、わが国においては、東証における先物・オプション取引は、独立した清算機関(CCP)である「日本証券クリアリング機構」(JSCC)において清算が行われているが、大証における先物・オプション取引や、東京金融取引所における金融先物取引(金利・外為関連)については、各取引所自身が行うかたちとなっており、米国における取引所機能と清算機能の分離が本格化すれば、わが国においても、同様の見直し議論につながる可能性があるものとみられる。
詳しくは、ここから。
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2008年2月
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ユーロクリアが香港にアジアのオペレーション・センターを開設予定
ユーロクリアでは、このほど、香港にアジア・太平洋地域のオペレーションセンターを開設することを発表した。同センターには、25名以上のオペレーションの専門家のほか、これまでブリュッセルの本部にいたシニア・レベルのスタッフや法律の専門家などが転任する。これにより、アジア・太平洋地域の顧客は、アジアのビジネス時間帯に質問等の対応を受けることができるようになるため、ユーロクリアでは、サービス・レベルが格段に向上するものとしている。こうした動きは、ユーロクリアのアジア重視の姿勢の表れと言えよう。
ユーロクリアでは、香港当局(HKMA)の承認を得て、香港の事務所をEuroclear Bankの支店に昇格させ、2008年4月に同センターを開設する予定である。
また、ユーロクリアは、2008年4月に、北京に事務所を開設する。北京事務所は、アジア地域では、香港、シンガポール、東京に次ぐ4番目の拠点となる。中国市場の重要性が高まってきている証左とみることができよう。
SWIFTでも、香港オフィスを拡充する動きにあり、アジア・太平洋地域のセンターとして、香港の位置づけが高まっている。2007年12月に発表された「金融・資本市場競争力強化プラン」に掲げられたように、東京市場の国際化を急ぐ必要があろう。
詳しくは、ここから。
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2008年1月
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SEPAがスタートへ
EUでは、1月28日に、SEPA(Single Euro Payments Area:単一ユーロ決済圏)が正式にスタートした。これを祝して、欧州委員会、欧州中央銀行(ECB)、欧州決済協議会(EPC:European Payment Council)では、同日に、ブリュッセルにおいて、“SEPA GOES LIVE”という式典を行った。
この日にスタートしたのは、順送金である「SEPA Credit Transfer」であり、EU域内の送金が、統一的なルールのもとに国内送金と同じように送れるようになる。一方、逆送金(引き落とし)である「SEPA Direct Debit」については、2009年末に導入される予定である。
さらに、クレジットカードについての「SEPA Cards Framework」については、汎欧州のカード・スキームが登場することが期待されている段階にある。
詳しくはここから。
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